ストール・ストリップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 05:31 UTC 版)
「失速警報装置」の記事における「ストール・ストリップ」の解説
スティックシェイカーの中で最も単純な機構は、主翼前縁にストール・ストリップと呼ばれる突起を設置することである。これは迎角の変化に伴って主翼前縁において気流が上下に分かれる境界よどみ点が移動する原理を利用するものである。迎角が増大するに伴ってよどみ点は前縁下側に移動し、上下に分かれた気流のうち主翼上へと流れる成分は主翼前縁を下側から回り込んでから主翼上面に流れるようになる。主翼前縁の一部の適切な位置にこの流れを妨げる突起ストール・ストリップを設ける。ストール・ストリップを設けた箇所では気流は主翼上面へと滑らかに回り込むことが出来ず、この箇所のみ前縁失速状態となり、乱気流が発生する。この乱気流が昇降舵へ当たることで直接昇降舵を振動させ、操縦桿を前後に振動させる。 突起を設置するだけで電子装置などは不要で、検査も突起が破損していないかを確認するだけで済むため低コストである。また電子装置が介在しないため突起が壊れない限り確実に動作する。一方で突起を設置するため空気抵抗が増え燃費が悪化するため、旅客機など採算を優先する機種では導入しにくい。また氷結時など失速速度や、主翼前縁形状が変化し気流の分布が変化する状態にも対応できない。 後述の電子式が登場した現代でも小型機で利用されている。
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