失速回避機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 05:05 UTC 版)
「XLドイツ航空888T便墜落事故」の記事における「失速回避機能」の解説
失速防止機構は、主として対気速度と迎角、および自重などの情報を基に計算を行って失速を予測し回避するものだが、迎角情報が誤っていたので計算結果も不正確なものとなり、各種の修正が起動する失速速度が低く計算されたため、実際の Vmin(normal lawnormal law[要説明] で操縦が継続できる最低速度)を下回っても全ての失速防止機能による修正が起動しなかった。 パイロットらには速度が下がれば自動的に失速回避装置が動作するはずだとの予断があり、速度が低下して Vmin を過ぎても試験中止といった措置を取らず、そのまま何かが起こるのを待ち続けた。この Vmin は計器パネルの速度計上に速度と一緒に表示されるが、当該機では上述の迎角センサ不具合のために異常な低値を表示していたため、あたかも正常な速度範囲内で飛行しているように見えてはいた。しかし、(印刷された)チェックプログラムには機体重量に対する関係各速度類の表があり、そこには Vmin が107ノットであることは書かれていた。ただし、このチェックプログラムを持っていたニュージーランド航空の機長は、この試験の実施前に当該表に基づいた Vmin の数値を、操縦しているパイロットらには伝えていなかった。 また、離陸時の総重量からそれまでの飛行に費やした燃料重量を差し引いた機体重量と、その時の速度から計算される必要迎角はこれとは別に計算されており、この計算結果と迎角センサの測定値出力の間の差異が過大であることが検出され、計器パネルにはその旨の警報表示はされていた。これにより計測あるいは計算された機体重量、迎角、速度のどれかにエラーがある可能性を予見することは可能であったと考えられているが、コックピットボイスレコーダー (CVR) にはこれについて触れたやり取りは記録されていない。
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