自民党政権の交代後、現在の議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 00:11 UTC 版)
「憲法改正論議」の記事における「自民党政権の交代後、現在の議論」の解説
社会保障費の増大や日本の財政問題に対して、2009年8月の衆議院選挙で消費税増税に明確な反対をした民主党が308議席を獲得して、自民党は1955年の結党以来初めて衆院第1党から転落した。当時の大阪府知事であった橋下徹は地方が国の奴隷となっている行政の矛盾を参議院改革に絡めて訴え、一時は憲法改善が大きく取り上げられた。 2010年には自民党・憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)が“憲法改正論点整理の要旨”を発表。天皇の明文元首化や国歌国旗の制定、永住外国人の参政権否定の他に、徴兵制度を定めることについて検討すると明記されていたことが論議を呼んだが、大島理森幹事長は「公式なものではない」と話して徴兵制度の導入を否定した。2012年に大阪維新の会が一院制への移行を含めた憲法改正の方針となる「維新版・船中八策(維新八策)」を提示し、9月には自らの身を切る議員定数削減の覚悟を踏まえて現在の衆議院議員も半減する方針を明記した。 2012年4月には自民党も2005年に作成していた改憲草案を修正して、野党として保守色を高めた新憲法改正草案を国会へ提出する方針を示していた。いずれも国家運営の体制改革を意図したものであった。その後、2012年12月に民主党が消費税の増税を断行し、解散総選挙によって民主党は議席を約4分の1に減らし、自民党及び公明党が与党に復帰した。2013年7月の参議院選挙では、自民党・公明党が連立与党として過半数を大きく超える議席を確保し、その後は他の党とも連携して、具体的な改正内容を精査し現実的な改正手順も模索されている。 リチャード・アーミテージとジョセフ・ナイは、憲法第9条と集団的自衛権について、「―何も日本は憲法を改正する必要はないということです。(以下略)」(アーミテージ)、「個人的な見解ですが、“九条改正”という戦いに精力を注ぐよりも “解釈改憲”で行くべきだと思います。(以下略)」(ナイ)と述べている。もっともアーミテージは、2012年7月22日の読売新聞への寄稿では、「……だが、こう言わなければ正直ではあるまい。日本の憲法上の制約は今後、日米同盟にとって、さらに重大な問題になるだろう。」と述べている。2015年には、安倍内閣が安保法案に関して集団的自衛権に対する解釈改憲を進めたため、9条を根拠とした改正の必要性は低下したと指摘されている。 政教分離問題や一票の格差問題に関して過去多くの裁判が提起され、そのうちの幾つかについては最高裁判所判決では憲法違反あるいは違憲無効といった判決が示されている。また憲法を改正すべきだとする意見が過半数を占める世論調査結果があり、これらをもって憲法を改正すべきとの論がある。改憲の発議に係る憲法上の条文に関しては、結局は国民が新しい憲法を要望し賛成するかの問題になるものだが、「憲法尊重擁護義務」を求められる国会議員が憲法改正を訴えることは「新憲法の制定」や「クーデター」に相当するだろうという議論もある。 2016年(平成28年)の第24回参議院議員通常選挙では改憲勢力とされる自由民主党・公明党・おおさか維新の会・日本のこころを大切にする党が初めて衆参両院で三分の二に達することとなった。 2018年(平成30年)3月、自由民主党は4つのテーマの憲法改正条文イメージを公表した。4つのテーマの概要は、自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消・地方公共団体、教育充実である。
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