自宅・宿泊療養
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:21 UTC 版)
「日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の記事における「自宅・宿泊療養」の解説
2020年4月3日時点では厚生労働省はPCR検査で2回連続陰性か14日間、増悪がない場合は宿泊・自宅療養を解除としていた。 埼玉県では入院できずに2020年4月14日に1人、21日に1人が亡くなった。23日時点で357人が自宅待機していた。このケースを受け、加藤勝信厚労相(当時)は基本として宿泊療養で対応する方針を示している。 女優の岡江久美子は2020年4月3日に発熱し、医師から4、5日間の自宅での療養指示を受けたが、同月6日に症状が悪化し緊急入院した。その後、PCR検査で新型コロナウイルスに感染していることが判明し、ICUで治療を行ったが、感染予防の観点から家族は見舞うことができず、闘病の末同月23日に死去した。 フリーアナウンサーの赤江珠緒は、テレビ朝日に勤務し『報道ステーション』の制作スタッフである夫とともに2020年4月18日に新型コロナウイルスに感染していたことが判明。夫が既に同月15日の時点で入院しており、赤江は発熱の症状がありながらも解熱剤を飲みながら、2歳になる長女(当時、PCR検査の結果は陰性であったが、後の抗体検査で陽性と確認)の面倒を見るために自宅療養を選択した。感染発覚前の同月16日には「我が家は3人家族で、親が共倒れになった場合の子供の面倒は誰がみるのかという問題があります」と、両親が感染した場合に「子供の面倒を誰がみたらいいのか」という不安感を手記として公表している。その後、夫が退院するとほぼ入れ替わる形で、赤江は発症11日後に入院し療養している。入院の段階で赤江は肺炎を発症しており、4段階あるうちの重症度で「中等症」に分けられ、アビガンなどの投与と抗生剤の点滴を受けて症状が回復し退院。その後は自宅に戻り療養を続け、同年6月8日に仕事に復帰している。 2020年4月24日時点で「特定警戒都道府県」に指定された7府県で約1,100人が自宅で療養していた。感染者が多い東京都では「保健所の調査が追い付いていない」として公表していなかった が、同月30日に初めて東京都が自宅療養者数を公表し、同月28日の時点で軽症者や無症状者のうち、自宅で療養している人が635人に上るとした。都は入院の必要がない感染者について借り上げたホテルでの療養を推進していたが、希望の強い感染者には自宅療養を認めており、ホテル療養者の198人を大きく上回っていた。 2020年冬以降、感染者が増大したことで入院や宿泊先が確定せず自宅待機となっている陽性者が増加し、体調の聞き取りを行う保健所の負担が増加していると報道された。感染者が自宅待機や宿泊療養中に容態が急変し、医療機関以外で死亡した事例が2020年3月から12月まで計122人に上ることが、2021年1月6日に警察庁のまとめで分かった。特に12月は56人と急増しており、このうち自宅や高齢者施設、療養先のホテルなどで死亡は50人だった。 共同通信の調べによれば、2度目の特措法に基づく緊急事態宣言が発出されている11都府県で入院や宿泊療養などの振り分けが「調整中」となっている人が、2021年1月19日時点で少なくとも1万5058人に上ることが明らかになっている。多くの地域で保健所の業務が逼迫し、入院や療養先の調整が追い付いていないことが背景にあるとみられる。 一方で1月22日に衆議院議員で元自由民主党幹事長の石原伸晃は新型コロナウイルス感染が判明し、無症状であるものの不整脈などの既往症があることから即入院となったことに関しては「症状がある人が入院できないのに何で無症状で即入院できるんだ」「特別待遇」「上級国民」などとネット上などで疑念の声が上がっており、同月25日の衆議院予算委員会では立憲民主党衆議院議員で自ら新型コロナウイルスに感染した経験がある小川淳也がこの件を取り上げ、「石原氏やご家族の気持ちを考えると言えないが、現実問題として、入院できずに亡くなっている人がいる。疑念が生じるのも無理はない」と現状の療養体制について追及している。 菅義偉首相は1月26日の衆議院予算委員会での答弁で「必要な検査を必要な時に受けることができない、そうした態勢ができていないことについては責任者として大変申し訳なく思う」と陳謝した。 2021年春以降、変異株の流行により若年層も重症化する傾向が見られ、入院や宿泊療養施設への入所がすぐにできない患者がさらに増加しており、原則全員入院としていた変異株感染者も3月31日以降、厚生労働省は宿泊施設での療養も可能だとの見解を地方自治体に示しているものの、病床や療養施設も逼迫し、自宅療養で待機を余儀なくされるケースが激増している。 厚生労働省が患者情報の集計システム「HER-SYS」で分析したところ、自宅療養中の新型コロナウイルス感染者の死亡について、2021年5月18日までの107日間で計54人に上ることが判明している。自宅療養中に容体が急変し、自治体などが対応できずに死亡するケースは、年末年始に感染が急拡大した第3波以降、全国で相次いでいる。各自治体は自宅療養者に血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターを貸与するなどの対策を講じているが、死者数のペースは落ちていない。特に感染者が急激に増大し医療危機を招いている大阪府では、同年4月29日現在で自宅で療養・待機を続ける患者が1万4000人を超えており、3月1日以降、12人が自宅療養・待機中に死亡したことも判明している。 また、自宅療養者の増加に伴い、同居家族内で感染が起きる「家庭内感染」も増加しており、飲食店を起点とした感染が家庭に持ちこまれるといった傾向もみられ、自治体では自宅療養している感染者の家族らのために、ホテルや滞在場所を確保したり、ホテル費用を助成するなどの動きがみられる。 厚生労働省は、2021年8月10日に立憲民主党が行った新型コロナ対策本部と厚生労働部会の合同会議での質疑応答で、自宅療養中に死亡した人の人数について「把握できていないケースがたくさんあり、網羅的には把握していない」と述べている。自治体側が「HER-SYS」へ入力する作業が遅れている上に、急増する感染者への対応に自治体が追われているのが原因だとした。
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