第4巻: シーズン・オブ・ミスツ
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「サンドマン (ヴァーティゴ)」の記事における「第4巻: シーズン・オブ・ミスツ」の解説
タイトルはジョン・キーツの詩「秋に寄せて (To Autumn)」の書き出しの一句である。この巻は2004年にアングレーム国際漫画祭で最優秀シナリオ賞を受賞した。 実在の神話が全面的に使われた長編 Season of Mists の前後にプロローグとエピローグが置かれ、幕間劇としてイギリスのボーディングスクールを舞台にした短編が挟まれている。本シリーズはホラーとして始まったが、この巻の前後からファンタジー色が強くなっていき、主人公ドリームのキャラクターも複雑さを増して、ストーリー的にも絶頂期を迎えたと評されている。 メインストーリーの作画はケリー・ジョーンズが、プロローグとエピローグはドリンゲンバーグが、幕間劇はマット・ワグナー(英語版)が担当した。「神々や悪魔や天使、混沌の王女や謎の段ボール箱」が入り乱れる奔放なストーリーはジョーンズの画風に合わせて構想されたものである。現代世界における神話のテーマは、後に小説『アメリカン・ゴッズ(英語版)』へと発展した。 Season of Mists エンドレスの長兄デスティニーが招集した家族会議の席上で、ディザイアはドリームが過去の恋人ナダを地獄に落としたことを話題に出し、狭量を嘲笑う。デスの諌めもあり、ドリームは過ちを認めてナダを救い出そうと考える。彼は強大な力を持つルシファーと戦いになることを恐れつつ、臣下や友人に後を託して旅立つ。しかし地獄はもぬけの殻だった。訝るドリームに対し、ルシファーは地獄の支配者としての役割に倦み疲れたと語る。悪魔や罰を求める亡者は全て放逐され、地獄の門は閉鎖される。そして門の鍵はドリームに託される。その重荷を負わせることがルシファーの意趣返しだった。 ルシファー退位の報せを受けた神々はドリーミングに集まり、地獄の所有権を巡ってドリームと交渉する。オーディンは地獄を領地に加えようと考え、奸智に長けたロキを伴って訪れる。エジプトや日本の神々もそれぞれの思惑を持って現れ、「秩序」と「混沌」も謎めいた意図のもとに使節を送ってくる。行き場を無くした地獄の公子アザゼルはナダを人質に鍵を要求する。妖精国からの使者クルラカンは贈り物として美しい妹ヌアラを差し出す。ドリームはヌアラから魅惑の魔法を取り去り、本来の貧相な姿で城に奉公させる。 ドリームは地獄を創造者の手に返すべきだと結論を下し、オブザーバーとして派遣されていた天使たちに鍵を渡す。さらにアザゼルを打ち破ってナダを救い出す。一万年の責め苦から解放されたナダは怒りを爆発させ、ドリームは動揺しながら許しを請う。ナダは彼の元には留まらず、定命の存在として転生することを望んだ。 神々は帰途に就く。ロキは地底の獄に連れ戻されるところであったが、ドリームの助けを得て逃亡する。地上ではビーチに寝そべったルシファーが見事な日没を眺め、不承不承ながら神の御業を賞賛する。一方地獄では、地獄の管理者の役に付いた天使たちのもと、罪深き死者の更生プログラムが整備され、死者たちを嘆かせる。 プロローグではエンドレスが一堂に会する様子が初めて描かれ、末妹ディリリウム(錯乱)が初登場する。唯一顔を見せないディストラクションは第7巻で物語の焦点となる。 妖精クルラカンとその妹ヌアラはシリーズ後半に多くの出番を持つ。ロキのエピソードは第9巻に続く。 In Which the Dead Return; and Charles Rowland Concludes His Education 地獄の閉鎖により地上は亡者で溢れかえる。伝統的な英国のボーディングスクールでただ一人休暇を過ごしていたローランドは、死んだ生徒や教師とともに学校生活を送ることを強いられ、いじめによって命を落とす。しかし、死者たちの対処に追われるデスはローランドを連れ去らなかった。彼は幽霊となり、友人となったもう一人の幽霊ともに、暴力と懲罰が渦巻く地獄の戯画を後にして広い世界に旅立つ。
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