第2の哨戒 1944年11月 - 12月
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「シーデビル (潜水艦)」の記事における「第2の哨戒 1944年11月 - 12月」の解説
11月19日、シーデビルは2回目の哨戒で日本近海および東シナ海方面に向かった。11月末に東シナ海に入って九州方面に進んだシーデビルは、12月1日深夜にレーダーで輸送船団と思われる複数の目標を探知。全速で攻撃位置に向かった。翌2日2時39分、シーデビルは北緯30度24分 東経128度17分 / 北緯30.400度 東経128.283度 / 30.400; 128.283の屋久島西方約150キロ地点で、先ほど探知したミ29船団を発見した。しかし、この時に波を被ってしまい、シーデビルの艦内の至る所に海水が入り込んでしまった。特に機関室や蓄電池室、司令塔が大きく浸水し乗組員は混乱したものの、幸いにも致命的なダメージにはならなかった。 3時20分、シーデビルは船団との距離がおよそ3,000メートルに達し、レーダーは11個以上の目標を明確に探知。天候はやや不利だったものの、シーデビルは攻撃態勢に入った。3時22分、シーデビルは自艦の100メートル以内に浮遊機雷があるのを発見しこれをかわした。シーデビルは波で大きく揺らされたものの、10分後には船団の側面に位置して潜航した。月没は4時ごろであり、潜望鏡で観測するには条件が悪くなった。4時13分には護衛艦を確認したが、気付かれなかった。4時14分、シーデビルはマーク18型魚雷4本を中型貨物船に向けて発射したものの、命中しなかった。4時24分には、5番発射管と6番発射管の魚雷を大型貨物船に向けて発射。40秒後魚雷は輸送船はわい丸(南洋海運、9,467トン)に命中し、はわい丸は大爆発を起こして40秒で沈没していった。4時25分、シーデビルは船団の真ん中に位置し、4時28分に護衛艦がシーデビルの至近を通過。4時29分、シーデビルは距離1,200メートルにある大型貨物船に対して、艦尾発射管から4本の魚雷を発射。潜望鏡を廻してみると、わずか140メートルのところに、魚雷を向けた貨物船より大型の貨物船がいるのを発見。この貨物船はシーデビルの方に突進してきてるようであった。4時30分、魚雷は安芸川丸(川崎汽船、6,895トン)に命中。何度も続いた物凄い爆発と衝撃はシーデビルでも感じられ、その様子から相手には弾薬が満載されていたのだろうと判断された。シーデビルは攻撃後、150メートルの海底でじっとした。はっきりと確認できただけで12発の爆雷が投下されたが、シーデビルの近くには落ちてこなかった。やがて、爆雷攻撃の音は遠ざかっていった。ミ29船団は、シーデビルによる安芸川丸とはわい丸の撃沈で支離滅裂となり、奄美大島や台湾各地に個別に逃げ込む輸送船が続出した。このとき撃沈した輸送船には沢村栄治が乗船しており、この12月2日雷撃で戦死している。『日本商船隊戦時遭難史』によれば、この日に沈没した輸送船は安芸川丸とはわい丸だけであり、沢村はそのどちらかに乗船していたと見られている。 ミ29船団攻撃後もシーデビルは九州近海で哨戒。12月4日には中国大陸から飛来したB-29からの船舶目撃情報がもたらされたが、その位置はシーデビルからは大きく離れていた。12月5日には2隻の小型トロール船を発見。12月8日夜、シーデビルはジグザグコースを取って長崎方向に向かう4つの目標を遠距離に探知した。この時、近くにはレッドフィッシュ (USS Redfish, SS-395) とプライス (USS Plaice, SS-390) がおり、レッドフィッシュもレーダーで目標を探知して追跡を開始していた。シーデビルは魚雷を発射し、反撃を避けるため深く潜航した。0時50分までには水上艦の音は小さくなっていった。1時7分、シーデビルは一旦浮上し目標に向かったものの1時間後に反転し、魚雷を発射した。日没後、プライスはシーデビルに魚雷の目標への命中を知らせたが、その損害見積もりは定かではなかった。のちの報告では、レッドフィッシュが空母隼鷹に魚雷を2本命中させ、隼鷹は終戦まで修理が続いたとし、シーデビルの発射した魚雷は護衛の駆逐艦槇の艦首に1本命中したことが分かった。シーデビルは南下して沖縄島近海で12月中旬まで哨戒を行ったのち、12月29日に哨戒海域を離れた。1945年1月7日にミッドウェー島に寄港。1月11日、シーデビルは54日間の行動を終えて真珠湾に帰投した。
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