空気圧調整
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 13:36 UTC 版)
「常温内圧」も参照 初期のタイヤは木材や金属の車輪が主流だったが、1800年代中盤に空気の入っていないゴム製のソリッドタイヤが生まれ、1800年代後半には空気入りタイヤが次第に普及した。空気入りタイヤは適正量の空気が入っていなければ役割を果たさない。空気が入って初めて車重を支えることが可能になる。 タイヤおよびその使用車種によって適正な空気圧が指定されており、ドライバー側のドアを開けたときに露出するボディ部分にステッカーなどで表示されていることが多い。適正数値は乗用車の場合200 kPa前後、バス・トラックなどの大型車で600 - 900 kPa程度が指定されていることが多い。チューブレスで3か月程度、チューブタイプで1か月程度ごとに適正な空気圧を保つことが重要である。時間の経過とともに空気が漏れ出したり、暑い時に適正な空気圧で空気を入れたとしても空気の密度が低いので気温の低下により体積の減少=圧力低下を招いたり、様々な原因で空気圧は低下する方向に作用する。 軍用車両では舗装道路から野戦の不整地まで多様な走行状況に対応するため、車体側からタイヤの空気を加減するタイヤ圧調整装置を備えるものが少なくない。砂泥や積雪など軟弱地では空気圧を下げ接地面積を増して沈み込みを軽減し、堅い路面では圧を上げて高速走行時のバーストを避ける。軽度のパンクなら空気抜けを補填して戦闘中の性能低下回避も期待できる。 空気圧過少適正な空気圧の半分程度の圧力になると、潰れが大きくなっていることが目で見て分かるようになる。この状態で運転を続けるとスタンディングウェーブ現象が発生し、破裂(バースト)することがあり、大変危険である。2000年にはファイアストン製を装着するフォード・エクスプローラーで、乗り心地を重視するあまり、過度に低い空気圧指定をしていたため、高速道路などを走行している際の熱の発生により破裂(バースト)を起こす事件も発生している。これを受けてアメリカでは、空気圧を常に監視するTPMSの装着が義務付けられており、その他の国でもTPMSは一部高級車やスポーツカーで採用されている。 指定の空気圧より低い場合、接地面積が増加する。フローテーション(flotation)の増加や低速域でのグリップ向上をと言う効果を期待できる場合もあるが、撓み易くなるので接地面の変形が大きくなり、速度の上昇と共に駆動力・旋回力・制動力(走る・曲がる・停まるのすべての性能)が低下する。 接地面積が増え、変形も大きくなるため、転がり抵抗の増大を招き、燃費が悪くなる。また、トレッドの両肩部から摩耗していく。 ホイールとは内圧により密着性を増しているため、リムの位置がずれたり、場合によってはホイールから外れることがある。 自励振動(シミー現象)の発生を招きやすい。 空気圧過大設計上、2 - 3倍の空気圧で空気を入れても破裂することはないように作られている。 指定の空気圧より高めの圧力の空気が入っている場合、バウンドし易くなり段差や路面の凸凹のショックを直に受け取り、乗り心地が低下するとともに、接地面積の減少により路面への制動力・駆動力の伝達は低くなる。言い換えればグリップの悪化を招く(※グリップは悪くなるが燃費は抑えられる)。トレッドは中心部から磨耗していく。
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