発電所の運転停止へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 14:33 UTC 版)
「浜岡原子力発電所」の記事における「発電所の運転停止へ」の解説
経済産業大臣の海江田は5日には本発電所を視察し、知事と御前崎市長石原茂雄とも会談したが、3者共従来のスタンスを崩すことは無かった。中部電力社長の水野明久は「国の評価が出てすぐに運転再開ができるとは考えていない。地元にしっかり説明し、地元から(再開について)大丈夫と言われて前に進める」と述べた。 5月6日午後7時、政府は中部電力に対し、安全確保の見通しが立つまで停止中の3号機に加えて4、5号機の運転停止を求める要請を行う旨、テレビ会見で表明するとともに海江田経済産業大臣名で要請文を発表した。これは、法規的根拠のある要請ではないが、社長の水野明久は同時刻に行われた海江田経産相からの電話要請に対して返答を保留した。電力供給自体は当発電所なしでも賄えるとされているが、余裕が大幅に減少することから、万が一他のトラブル等でさらに電力供給が落ち込んで、さらに他社からの電力融通も受けられなかった場合、中部経済の混乱が懸念されている。これらは全て仮定の条件であるが、すでに「中部製造業にトリプルパンチ」との記事もある。 一方、地元を代表する製造業であるスズキ会長兼社長の鈴木修は「国の最高決定権者として正しかったのではないか。自分がもしそういう立場だったら、同じようなことをしたと思う」と首相の決定を支持している。また愛知県や岐阜県に航空機部品などの生産工場がある川崎重工業会長である大橋忠晴・神戸商工会議所会頭も、「一国の首相として、当然だと思う」と支持する考えを示した。 共産党の市田忠義書記局長は「世論に押されて停止したのは一歩前進だ。全国的な原発の廃炉を目指して国民運動を起こしていきたい」、社民党党首の福島瑞穂も「首相の決断を歓迎する。『脱原発』の未来を切り開く大きな一歩となるはずだ」、自民党衆院議員の河野太郎も「残りの原発に関してもきちんとしたストレステストをすべきだ」と、それぞれ菅首相の要請を評価した。民主党国民運動委員長の渡辺周は「いったん停止して安全確認をするのが地元のコンセンサスだ」と評価したが、「地元自治体は原発関連の補助金に財源を頼っており、財政的な配慮が必要だ」とも指摘した。 自民党政調会長の石破茂は「政府の判断は重く受け止める必要があるが、どういう理由で判断に至ったのかを政府は説明する責任がある」と指摘。公明党代表の山口那津男も「中部電力や静岡県などに根回しした形跡は見受けられず、唐突さがぬぐえない。将来のエネルギー政策の展望を示さず、国民の協力で乗り越えられるというのでは不安だけが残る」と述べ、首相の対応を批判した。 5月8日、中部電力は本発電所を停止した場合の火力発電燃料を調達するため、カタールと接触した。また、関西電力はLNGの融通の検討を始めた。 5月9日、中部電力は運転中の4、5号機を停止することを決定。4、5号機については、準備が整い次第速やかに停止し、停止中の3号機についても、当面運転再開を見送ることと発表した。今後、津波に対する安全性を一層高めるため、防波壁の設置などの対策を速やかに実施し、早期の運転再開を目指すこととしている。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}5月13日、中部電力は4号機を停止[要出典]。 5月14日、中部電力は5号機を停止。これにより、本発電所の全ての原子炉が停止した。但し停止作業中に原子炉冷却水に海水400トンが混入してしまったため塩水除去作業が必要になり、また混入した海水中のヒ素が放射化され、ヒ素76を排気ダクトにて検出するトラブルを起こした。 民主党の岡田克也幹事長は大村秀章愛知県知事から停止に伴う代替火力の費用負担を求められた際、「中電のリストラでやってほしい」などと否定的な見解を示した。
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