発電所全体の災害対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 14:33 UTC 版)
「浜岡原子力発電所」の記事における「発電所全体の災害対策」の解説
地震後非常用ディーゼル発電機について取り上げられる機会が増えた。この件で、静岡県の危機管理監が視察した際の説明では、型式の違いから、非常用発電機は福島第一のようなタービン建屋内ではなく、水密扉等で遮蔽された原子炉建屋内にある点が説明された。 中部電力は2011年3月15日、次いで23日付で東北地方太平洋沖地震を教訓とした対応策を発表した。内容は津波対策および全交流電源喪失(Station blackout)対策であり、12m以上の防護壁を地上に設けること、ポンプへ防水壁を設けること、非常用発電設備をより高い位置に移設すること、非常用バッテリーへの電源車の確保などであった。また、資料では、場所の違いから福島第一と想定地震などの環境が異なる点も指摘した。所要事業費は300億円とされる。 3月30日、東北地方太平洋沖地震を受けて、経産省は電力各社に対して津波に対しての緊急安全対策をまとめて提出するように求めている。内容は、津波による各種の機能喪失に対して、「炉心損傷や使用済燃料破損の発生を防止し、放射性物質の放出を抑制しつつ原子炉施設の冷却機能の回復を図る」ものである。 4月6日、中部電力はより詳しい資料となる「東北地方太平洋沖地震を踏まえた 浜岡原子力発電所の対応について」を、静岡県が福島第一原発の事故を受けて臨時開催した「静岡県防災・原子力学術会議」において配布した。内容は、災害対策においては、前述の3月23日発表の対応策と3月30日の原子力安全・保安院の指示(資料の18ページ)の範囲である。 このときこの対策と共に、更に取水ポンプに砂が流入しても大丈夫であるなどと説明がなされたが、「砂丘が津波に耐えられるか検証が必要「想定外の事故に中電はどう対応するのか」などと厳しい意見が相次いだ。 4月12日、建屋上の非常用ディーゼル発電機の設置を完了した。 4月13日、中部電力は従来の想定波高さは8mとの見解は維持したが、周辺住民の不安解消のため、防波壁を12m以上から15m以上に引き上げると発表した。 なお、廃炉となった1、2号機には計1165体の使用済み核燃料が保管されており、1、2号機には耐震裕度向上工事は実施されなかったので、1000Galの水平地震動や、2006年改訂された新耐震指針に沿った800Galの基準地震動への対応工事は実施されていない。使用済み燃料棒保管プールの冷却機能が停止した場合の試験は中電により実施済みであり、通常の30℃から55℃への上昇でストップしたが、水漏れで燃料が露出する事態は想定していない。京都大原子炉実験所の小出裕章助教は3号機以降と同様の補強工事の必要性を述べている。 後述する運転停止後発行された週刊東洋経済でのインタビューにおいて川勝は、中部電力が震災後に打ち出した津波対策を不十分と評し、その根拠として発電所を挟みこむように流れている新野川、筬川を津波が俎上した場合、防波壁の内懐に砂が流れ込み、建屋の通用口が損傷する可能性などを指摘し、更なる津波対策の強化を提言している。一方、中部電力はウェブサイトにて敷地東西の地盤が10mを超える事とシミュレーション結果を根拠にこの可能性を否定している。また、反原発団体の中には、本発電所再稼動に繋がるものとして、防波壁の建設に反対している者達がいる。
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