武官と武士の違いとは? わかりやすく解説

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武官と武士の違い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 04:02 UTC 版)

武士」の記事における「武官と武士の違い」の解説

武士は、一般に家族共同体あるいは兵法家のこと」とされるが、これだけでは平安時代以前律令体制下の「武官」との違いはっきりしない例えば、武人として名高い征夷大将軍坂上田村麻呂は、すぐれた武官であるが、武士であるとはいえない。また、中国朝鮮の「武人」との違い明確でない中国朝鮮には「武人」は存在したが、日本の「武士」に似た者存在しなかった。中国官僚登用試験では文官科挙武官武科挙登用するなど試験段階から分けられていた。 時代的言えば、「武士」と呼べ存在国風文化成立期にあたる平安中期10世紀)に登場する。つまり、それ以前の武に従事した者は、武官ではあっても武士ではない。 では、武官と武士の違いとは何か。 簡単に言えば武官は「官人として武装しており、律令官制の中で訓練受けた常勤公務員存在」であるのに対して武士は「10世紀成立した新式武芸を家芸とし、武装朝廷国衙から公認された『下級貴族』、『下級官人』、『有力者家人からなる人々であって律令官制訓練機構で律令制式の武芸を身につけた者ではなかった。ただし、官人として武に携わることを本分とした武装集団ではあった。 また、単に私的に武装する者は武士認識されなかった。この点が歴史学において十分解明されていなかった時期には武士国家統制外で私的に武装する暴力団的なものと捉える見解もあった。ただし、武装集団である武士社会行動原理に、現代社会ではヤクザなどの暴力団組織特徴的に認められる行動原理無視できないほど共通しているのも確かである。 軍事武芸)や経理(算)、法務明法)といった朝廷行政機構を、律令制機構内で養成され官人から様々な家芸を継承する実務官人の「家」にアウトソーシングていったのが平安時代王朝国家体制であった。そして、軍事担当した国家公認の「家」の者が武士であった王朝国家体制では四位五位どまりの受領任命されるクラス実務官人である下級貴族諸大夫しょだいぶ)と、上級貴族諸大夫仕え六位どまりの技能官人家人を侍(さむらい)と呼び、彼らが行実務担っていた。武芸実務技能官人たる武士もこの両身分またがっており、在京清和源氏桓武平氏などの軍事貴族諸大夫身分大多数在地武士が侍身分であった地域社会においては国衙君臨する受領諸大夫身分であり、それに仕えて支配者層形成したのが侍身分であったこうした事情武士の発生時期から数世紀下る17世紀初頭日葡辞書に、「さむらい」は貴人意味し、「ぶし」は軍人意味する区別して記載されていることにもその一端現れている。 よく言われるように貴族仕え存在として認識され武士を侍と呼んだと言うよりも、むしろ、上層武士を除く大多数武士が侍身分一角形成したと言った方が正確であろうまた、武士などの諸大夫、侍クラスの家の家芸は親から子へ幼少時からの英才教育伝えられるとともに能力見込んだ者を弟子郎党にして伝授し、優秀であれば養子迎えた武士公認される家もこのようにして増加していったと考えられる。 言わば、国家から免許受けた軍事下請企業家こそが武士の実像であった。そして、朝廷国衙必要に応じて武士の家に属する者を召集し紛争収拾などに当たったのである。 なお、これとは別に中世前期の頃までは、他者に対して実力による制裁行使できる者を公卿クラス含めて武士と言い表す呼称存在した。このことは、院政下で活躍した北面武士などもその名簿参照すると、侍身分以外の僧侶神官などが多数含まれていることでも分かる

※この「武官と武士の違い」の解説は、「武士」の解説の一部です。
「武官と武士の違い」を含む「武士」の記事については、「武士」の概要を参照ください。

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