武器としての熊手とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 武器としての熊手の意味・解説 

武器としての熊手

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 06:01 UTC 版)

熊手」の記事における「武器としての熊手」の解説

長い柄の先に熊の手模した鉄製の爪をつけたもので、平安時代末期より武器として使用された。敵を引っ掛けて倒したり馬上から引きずり下ろしたりするなどの目的用いられた。中国では「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」(杜甫前出塞九首』)とあるが、『源平盛衰記』において、老武者が、昔はそのようなことをせず、その後そうした法(馬を射殺して落ちたものを狙う)が行われるようになったと語る場面があり、日本古来弓矢の道では馬を射るという発想がなかったことが示されており、馬から落とす手段として熊手登場している(後述するが、西洋騎士道では弓矢自体が卑怯とされたため、似た武器登場している)。 『保元物語』に、矢で穴が開いて沈没した舟の仲間熊手引き上げて助け場面があり、海戦では敵船引きつけるための武具としてだけでなく(移乗攻撃#使用される兵器参照)、救助としての役割活用法)も見られる上泉信綱伝の『訓閲集』(大江家兵法書戦国風に改めた書)巻四「戦法」の中の船戦の項に、「熊手投げ鎌を用いる事、船戦の古法なり」と記述されていることからも、水軍において用いられる武器認知されていたことがわかる。また、訓閲集』には、熊手の先だけを縄筒に取り付け鉤縄のようにした武器熊手の柄を廃し改良したバリエーション)が絵図記されている。実例として、『土佐物語』巻第十七「熊川船戦 虎の事」に、朝鮮出兵時、朝鮮側番船熊手引きつける記述があり、長宗我部元親熊手・打ち鉤をもって引きつけたと記されている(その間射られ続け死傷者多数となったとある)。 『平家物語』記述では、平頼盛は兜の頂に熊手掛けられまた、平徳子入水自殺熊手によって阻まれた。13世紀の『承久記』にも記述見られ市川五郎という武士薩摩左衛門の兜の天辺打ち立てて、引き寄せ、首を討つ描写があり、河川戦闘使用された。『平』『承』の記述からも、水辺(海や河川)で敵を引きつけるために使用されたことがわかり、いずれも引っ掛けやすい兜の天辺(頂)を狙っている。また、武蔵坊弁慶背負った七つ道具一つ熊手とされる絵画資料としては、『蒙古襲来絵詞』(宮内庁三の丸尚蔵館国宝)後巻1内に、薙刀をもつ武士の左隣に、その薙刀より長い柄の熊手を肩にかかえた武士の絵画見られる。爪は3つで、人物の背と比較して2倍の3メートル近い長柄として描かれており、他の長柄武器比べて長い(対長柄意識されている)。江戸時代初期17世紀)の『太平記絵巻』(埼玉県立博物館所蔵)では、「新田義貞越前府城事」の渡河場面において、熊手持った徒が騎兵について行く姿が描かれ、「義助朝臣病死事付鞆軍事」では、舟戦にて、舟上で熊手を持つ姿が見られ、川や舟といった水辺関わる戦闘場面で描かれている(こちらも柄の長さ人物の背の倍の長さ)。 狂言演目髭櫓」では、女性用いている。 備考として熊手同様に長柄鉤爪有し馬上相手引っかけて落とすというコンセプト武器は、5世紀前半百舌鳥大塚山古墳4号施設からも出土しており、「鉤状武器」と呼称される(後述、『古代学研206』)。ただし鉤爪は1本だけであり、鉤の重量は1.7 - 1.8キログラム後述書 p.5)。乗馬風習がまだ定着していなかった倭において、こうした武器登場したのは、朝鮮半島での対騎兵戦で苦戦強いられたためとみられ(後述書 p.7)、ヨーロッパでこうした騎馬兵用の武器使われ始めたのは、13 - 16世紀であることから、西洋より約800年早い登場になる。なお騎士道では弓といった飛び道具は卑怯とされており、起因異なるが、熊手似た武器登場する下地がある。

※この「武器としての熊手」の解説は、「熊手」の解説の一部です。
「武器としての熊手」を含む「熊手」の記事については、「熊手」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「武器としての熊手」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「武器としての熊手」の関連用語

1
8% |||||

武器としての熊手のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



武器としての熊手のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの熊手 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS