機種の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 10:00 UTC 版)
BMWの2輪は他の2輪とは異なる機構を採用している例が多いのが特徴である。特に水平対向2気筒エンジン、乾式単板クラッチ、シャフトドライブ、このいずれかを採用しているものが多い。 縦置き水平対向2気筒エンジン 1923年「R32」に初採用された。シリンダーが左右に突き出した縦置きレイアウトをとり、クラッチとトランスミッションを介してそのままドライブシャフトに至る基本レイアウトは、今日においてもRシリーズにおいて健在である。 シャフトドライブ 発進時のテールリフトが嫌われるため、日本車では一部の2輪車にしか装備されていないが、BMWではF&S&Gシリーズを除く全車がシャフトドライブモデルである。チェーンドライブに比べて砂塵や泥濘などに強く、日常のメインテナンス作業はほぼ不要である。 乾式単板クラッチ エンジン縦置きレイアウトではエンジン・クラッチ・変速器が縦に並ぶため、一般的な湿式多板クラッチより薄くできる本方式を採用している。エンジン横置きのKシリーズや水冷化されたボクサーエンジンでは厚さに余裕ができた代わりに直径を小さくする必要があることから、湿式多板クラッチを採用している。 新機軸の採用に熱心であり、近年では次のような技術を他メーカーに先駆けて次々に市販車へ採用している。 排気触媒装置 当初はオプションながら4気筒モデルでは1983年のK100シリーズ、水平対向2気筒モデルでは1993年のR1100シリーズから採用した。触媒での酸化還元反応を安定させるため、電子制御燃料噴射も同時に採用した。 パラレバーリアサスペンション 1987年のR100GSで初採用された、シャフトドライブにおいて問題となる発進時のテールリフトを抑えるために開発されたサスペンション。命名は「パラレル」と「レバー」の合成による。 中間に1か所の屈曲点を持つスイングアームとサブアームによって構成されるリンク機構により、後輪は実際より長いスイングアームで保持されているような軌跡を描きながら上下動する。 テレレバーフロントサスペンション 1993年に発売されたR1100RSで初採用。命名は「テレスコピック」と「レバー」の合成による。 二輪車で一般的なテレスコピック・フォーク式フロントサスペンションでは、ストロークにともないキャスター角も変わるためにハンドリングが変化してしまう。また、急減速時には大きく沈んで緩衝ストロークが不足したうえキャスター角が立って操舵安定性が小さくなる。この状態で路面から強い突き上げを受けると前輪が跳ねてハンドルが振れるなどの極めて危険な現象が発生するが、これを避けるために開発された。 テレスコピック式と比較して操縦安定性に優れる一方、サスペンションが縮むときに前輪がわずかに前方へも移動することから、超高速時の緩衝能力では一歩譲るという評価もある。また、ストロークを大きくすることが構造上難しい。 因みに、テレスコピック式フロントサスペンションを世界で最初に量産市販二輪車に採用したのもBMWである。(R12、1935年) 二輪ABS 1988年にBMWが初めて二輪車用アンチロック・ブレーキ・システムをK100に採用した。 インテグラルABS 2001年に採用された、前後の制動力配分を電子制御で行う前後連動ブレーキシステム。アンチロック・ブレーキ・システムと、四輪車のEBDに相当する機能も持っている。 ブレーキレバー、ブレーキペダルどちらの操作でも前後輪にブレーキがかかる「フル・インテグラル」式と、ブレーキレバーの操作では前後輪、ブレーキペダルだけの操作では後輪にのみブレーキが掛かる「パーシャリー・インテグラル」式があるが、最新の形式では後者のみである。 「その状況で可能な最大の減速が、誰でも簡単にできる」と言われた一方、電動倍力装置を介していたことから「効きすぎて危険」「微妙なコントロールがしにくい」「倍力装置の作動音がうるさい」「メインスイッチを切って押す時の効き方が全く違い、戸惑う」などの指摘があった。 最新の形式では、前輪は通常の液圧式ディスクブレーキに近い構成とし、後輪用倍力装置が前ブレーキへの入力に感応して作動する方式となり、前述のネガティブな面が改良されている。 デュオレバーフロントサスペンション 2004年、K1200Sにおいて初採用。車のダブルウィッシュボーン方式のような形で、原型はホサックフォークと言われている。テレレバーよりもコンパクトであり剛性が高い。 オートマチック・スタビリティ・コントロール(ASC) 2007年から、Kシリーズ(K1200Sを除く)およびRシリーズにメーカーオプションとして設定。 過大な駆動力による後輪の空転や前輪の浮き上がりを検知すると、瞬間的に点火時期や燃料噴射を制御して安定性を確保する。車輪回転センサーはABS用を共用している。
※この「機種の特徴」の解説は、「BMWモトラッド」の解説の一部です。
「機種の特徴」を含む「BMWモトラッド」の記事については、「BMWモトラッド」の概要を参照ください。
- 機種の特徴のページへのリンク