機種の決定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:43 UTC 版)
2016年4月26日、オーストラリアのターンブル首相により、フランスの提案が選定されたことが正式に発表された。なお、この正式発表の前の4月21日に、複数の豪州メディアが「日本は候補から脱落した」と報じた。この報道について、オーストラリアの警察は、機密情報漏洩の疑いで捜査を開始している。当初は最有力候補であった日本が敗れた原因として、日本案を支持していたトニー・アボット首相の退陣などの豪州政治の変化や、日本が現地製造や技術移転に消極的で、また兵器の国際共同開発経験が乏しいことが懸念材料として受け止められたことが報じられている。また、中国が日本の受注阻止に動いていた可能性が指摘されているが、中国はフランスの受注が正式決定したとの発表後、共産党機関紙の環球時報は「米国の西太平洋戦略を後方から支える戦力になる可能性が非常に高く、中国の安全保障にとってマイナスだ」と批判している。一方で、「『経済は中国、安保は米国』とバランスを取ろうと努力している。そこは日本と違う」とも評価した。 潜水艦12隻全てをオーストラリアで現地建造する方針となり、これはオーストラリアの雇用の創出になる。しかし、人件費の高いオーストラリアでは海外での建造よりもコストが3割高になるため、オーストラリア国内の一部では「人気取り」「選挙対策」「税金の無駄遣い」との批判が出ており、公共放送のABCが「国でなく議席を守るための潜水艦か」と否定的に報じている。ターンブル首相は「安全保障上、国内生産が重要だ」と反論。現地建造に伴うコスト増は「予想ほど巨額でない」と主張した。 DCNSの社長が「フランスの造船所で約4000人の雇用が創出される」と発言したため、オーストラリア国内での建造では無くなったのではないかとオーストラリアで驚きの声が広がったが、フランスのマニュエル・ヴァルス首相は2016年5月2日、「すべての潜水艦がオーストラリアで建造される」と述べた。 2018年12月に艦級名をアタック(Attack)、1番艦名をHMAS Attackとすることが決定した。 2021年6月、フランスを訪れパリでエマニュエル・マクロン仏大統領と会談したスコット・モリソン豪首相は、DCNSから事業を引き継いだフランス政府系の造船会社ナバル・グループ(Naval Group)に向けて、「今後2年間の設計作業計画を2021年9月の締め切りまでに提出しなければならない」と警告した。 また、マクロン仏大統領も、「政府としても契約を守らせる」と確約した。 その後の夕食会談でもモリソン豪首相は、オーストラリア側の不満を伝え、特に豪国防省がフランスとの契約を破棄し、他の国と契約することも検討し始めていることを伝えている。
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