標題について
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「交響曲第2番 (マーラー)」の記事における「標題について」の解説
交響曲第2番の作曲期間は、前作交響曲第1番が「交響詩」の改訂を経て交響曲として発表されるまでの1888年から1896年までの期間にちょうど入り込んでいる。マーラーは、最初に書いた楽章を「交響曲ハ短調」の第1楽章として構想していた。しかし、第1楽章が書かれ、第2楽章のスケッチに取りかかったところで、作曲は5年間中断された。一時、第1楽章を単一楽章「葬礼」として発表することを考えたがうまく行かず、その後再び交響曲として当初の構想に立ち戻ったということになる。この背景には、「交響詩」の初演失敗、さらにはそれにつづく改訂上演の失敗があると考えられる。 最終楽章で歌詞として使用されたフリードリヒ・ゴットリープ・クロプシュトックの「復活」賛歌は、キリスト教における復活 Auferstehung を歌ったものである。しかし、マーラーがこの歌詞を採用することを思いついたのは、作曲の経緯のなかでも最終段階であり、「復活」を標題としたことはない。
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標題について
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「交響曲第6番 (ベートーヴェン)」の記事における「標題について」の解説
第6交響曲は、ベートーヴェンの交響曲の中で標題が記された唯一の作品である。ベートーヴェンが自作に標題を付した例は、他に「告別」ピアノソナタ(作品81a)などがあるが、きわめて珍しい。とくにこの第6交響曲は、ベルリオーズやリストの標題音楽の先駆をなすものと見られている。 標題は、初演時に使用されたヴァイオリンのパート譜にベートーヴェン自身の手によって「シンフォニア・パストレッラ (Sinfonia pastorella) あるいは田舎での生活の思い出。絵画描写というよりも感情の表出」と記されている。 また、各楽章についても次のような標題が付されている。 「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」 「小川のほとりの情景」 「田舎の人々の楽しい集い」 「雷雨、嵐」 「牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」 これらの標題は楽譜以外にも認められ、1808年12月17日付『ウィーン新聞』に掲載された初演演奏会の予告には「田舎の生活の思い出」という副題が見られる。ベートーヴェンが使用していたスケッチ帳にも同様の記述があり、「性格交響曲(Sinfonia caracteristica) あるいは田舎の生活の思い出」とされ、「シンフォニア・パストレッラ」は音による絵画的描写ではなく感情の表現であることが強調されている。 ベートーヴェンが「絵画的描写ではなく感情の表出」と強調したことについては、以下の理由が挙げられている。ひとつには、ベートーヴェン自身の理想主義的な作曲理念からのものであり、模倣のための模倣である描写語法を安易なものとして退け、音楽的脈絡や全体的構成の中で不可欠かつ必然性を持たせること、言い換えれば、描写語法のより高い次元での用法をめざしたのである。スケッチ帳に書かれた「性格交響曲」についても同様であり、この言葉は創作者の世界観を表す純音楽という意味で用いられている。ベートーヴェンは、「誰でも田園生活の考えさえあれば、多くの説明がなくとも、作者の意とするところを自ら考えることができる」といって標題を詳しくすることを避けた。 もうひとつは、ベートーヴェンの作曲当時までによく書かれていた自然描写音楽へのアンチテーゼである。その典型的なものとして、ベートーヴェンより少し早い世代の作曲家ユスティン・ハインリヒ・クネヒト(1752年 - 1817年)に15の楽器のための『自然の音楽的描写』(1784年)という標題音楽があり、この作品の5つの楽章は本作とほとんど同じ標題を持つ。また、クネヒトには『雷雨によって妨げられた牧人の喜びのとき』(1794年)というオルガン作品もあった。ベートーヴェンがこれらの作品を知っていたかどうかについては現在まで確認されていないものの、田園交響曲との標題内容との一致から、ベートーヴェンがこれらの先行作品を意識していたことはほぼ確実と考えられている。 ベートーヴェンは田園を好み、ウィーンでは近郊を歩き回り、夏には田舎に生活して大自然に親しんだ。彼のスケッチ帳には「森の中で―自分は幸福だ―樹々は語る―汝を通して―おお神よ―なんと素晴らしい……」、「どの樹もみな自分に語るではないか。聖なるかな。聖なるかな。森の中は恍惚たり」などと書き付けてある。日本の音楽評論家門馬直衛は、こうした心情を音楽で語ったのがこの第6交響曲であるとする。
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