月齢と呼び名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 11:31 UTC 版)
地球から見て、太陽と月が同じ方向にある瞬間を、朔(さく)又は新月という。日本や中国の旧暦で用いられた太陰暦・太陰太陽暦では、朔を含む日を月初(第1日)とする。 朔からの経過時間を日単位で表した数値を月齢という。朔の瞬間を月齢0として、朔を含む日(朔日)を「1日」とするため、日本で用いられる旧暦の日付は、その日の午前0時の月齢に1を足したものとなる。なお、通常、カレンダーなどで示される月齢は、当日正午時点の数値である。例えば、2009年9月19日は日本標準時午前3時44分に朔となるため、この時点が月齢0となり、同日は旧暦8月1日となる。朔から24時間後の同年9月20日午前3時44分には月齢1となる。カレンダーなどで示される月齢は、それぞれ正午時点での数値となるため、2009年9月19日は月齢0.3、翌20日の月齢は1.3となる。 月には、月相(月の満ち欠け)に応じて、様々な名称がある。まず、天文学的に用いられる名称としては、「朔、上弦、望、下弦」の4つがある。太陽と月の黄経差が、それぞれ0度の状態を朔、90度を上弦、180度を望、270度を下弦と呼ぶ。なお、月相は通常0度から360度までの角度で示されるが、月齢との比較を容易にするため、0度から360度までの角度を0から28までの整数の値に換算して示すことがある。この場合、朔は0、上弦は7、望は14、下弦は21となる。この月相の数値と月齢は必ずしも一致しない(詳細は月相を参照)。 このほか日本では、旧暦の日付に対応する名称(三日月、十三夜の月、十五夜の月、十六夜の月など)や月が見える時間帯に関する名称(立待月、居待月、寝待月、夕月、有明月など)、形状に対応する名称(満月、弦月、半月、弓張月など)、年中行事に関連する名称(芋名月、栗名月)など、月には多くの名称(月名、げつめい)がある。 旧暦15日の月(ほぼ満月)は日没頃に昇り、以後数日間も夜間に上るため月見に適しており、特に様々な名称が付された。日没後しばらくしてから上る旧暦16日の月は「いざよい」(ためらう、なかなか進まないの意)、以後、「立待」(立って待っていると出てくる)、「居待」(座って待っていると出てくる)、「寝待」(寝て待っていると出てくる)、「更待」(ふけまち。夜が更けてから出てくる、あるいは更に待つと出てくる)と、月の出が遅くなるごとにふさわしい名称が付けられている。なお、「夕月」は日没前後に見える月の総称であり、「有明の月」は明け方になってもまだ残っている月の総称である。 月は毎日平均約50分ずつ遅れて出るため、「月の出」がない日や1日に2回起こる日がある。そのため、月の呼び名は、旧暦の日付ではなく朔日を1とする「月の出」の回数(月の出数)によって決められる。そうしないと欠番が出たり、同じ月でも地域により呼び名が異なったりするからである。なお、月の出の時刻が0時前後になる旧暦の24日ごろ以降は、旧暦の日付と月の呼び名が1日ずれるので注意が必要である。「月の出がない日」といっても、その日に「月の出」がないだけで月が見えないわけではない。その日が始まる午前0時には既に月が出ているので、東から月が出る「月の出」がないのである。 月相およその月齢月の出数主な名称0・朔0 1 新月 11 2 二日月、既朔(きさく) 22 3 三日月(みかづき) 7・上弦7.5 7 半月、七日月、弓張月 1212 13 十三日月、十三夜月 1313 14 十四日月、小望月(こもちづき)、幾望(きぼう)、待宵の月(まつよいのつき) 14・望14 15 十五日月、十五夜、望月(もちづき)、満月 1515 16 十六夜(いざよい)、十六日月、既望(きぼう) 1616 17 十七日月、立待月(たちまちづき) 1717 18 十八日月、居待月(いまちづき) 1818 19 十九日月、寝待月(ねまちづき)、臥待月(ふしまちづき) 1919 20 二十日月、更待月(ふけまちづき) 21・下弦22.5 23 半月、二十三日月、弓張月 月の出入り時刻の例(2009年9月、時刻は日本標準時)日付(旧暦)月齢東京京都説明月の出月の入り月の出月の出数月の出月の入り月の出月の出数9月10日(7月22日)20.7 10:45 20:46 22 10:59 21:04 22 東京・京都とも、前日に出た月が午前10時台に没し、午後 9時頃にまた出てくる。「月の出」は 1回なので、「月の出数」は1増える。 9月11日(7月23日)21.7 11:51 21:37 23 12:05 21:55 23 東京・京都とも、前日に出た月が正午頃に没し、午後 9時台にまた出てくる。「月の出」は 1回なので、「月の出数」は1増える。 9月12日(7月24日)22.7 12:54 22:36 24 13:08 22:55 24 下弦。半月。東京・京都とも、前日に出た月が午後 1時頃に没し、午後10時過ぎにまた出てくる。「月の出」は 1回なので、「月の出数」は 1増える。 9月13日(7月25日)23.7 13:51 23:44 25 14:06 - 東京では、前日に出た月が午後 2時前に没した後、当日中に再び出てくる。そのため、「月の出数」は 1増える。これに対して京都では、前日に出た月が午後 2時過ぎに没した後、当日中には再び月が出てこない。そのため、「月の出数」は増えない。 9月14日(7月26日)24.7 14:42 - 0:02 14:56 25 東京では、前日に出た月が午後 2時過ぎに没した後、当日中には再び月が出てこない。そのため、「月の出数」は増えない。これに対して京都では、未明に出た月が午後 3時前に没している。そのため、「月の出数」は 1増える。 9月15日(7月27日)25.7 0:55 15:25 26 1:14 15:40 26 東京・京都とも、未明に出た月が午後 3時台に没する。「月の出」は 1回なので、「月の出数」は 1増える。 9月16日(7月28日)26.7 2:08 16:02 27 2:27 16:18 27 東京・京都とも、未明に出た月が午後 4時台に没する。「月の出」は 1回なので、「月の出数」は 1増える。 9月17日(7月29日)27.7 3:21 16:36 28 3:39 16:51 28 東京・京都とも、未明に出た月が午後 4時台に没する。「月の出」は 1回なので、「月の出数」は 1増える。 9月18日(7月30日)28.7 4:32 17:07 29 4:49 17:23 29 東京・京都とも、未明に出た月が午後 5時台に没する。「月の出」は 1回なので、「月の出数」は 1増える。 9月19日(8月1日)0.3 5:42 17:37 1 5:58 17:54 1 朔。新月。東京・京都とも、日の出後に出た月が午後 3時台に没する。朔となったので「月の出数」は、 1に戻る。 和暦や中国暦の太陰太陽暦では、月の約29.5日の周期を大の月(30日間)と小の月(29日間)で調整する。このため、毎年月ごとの日数が異なり、煩雑で記憶できない。そこで、毎年、暦(大小暦)を作成して参照した。日本では、大小暦に絵を描いたものが、後に浮世絵になった。 月の初日( 1日)は「朔日(ついたち、さくじつ)」と呼び、月の最終日(29日又は30日)は「晦日(みそか、つごもり)」と呼ぶ。「ついたち」とは「月立ち(つきたち)」、「つごもり」は「月隠り(つきこもり)」が音変化した語である。また、一年の最終月の最終日(29日又は30日)は、「大晦日(おおみそか、おおつごもり)」である。 日本の童謡の「お月さん幾つ、十三ななつ」はこれだけでは意味不明であるが、沖縄民謡の童謡『月ぬ美しゃ』に由来するとの見方がある。そこでは「月ぬかいしゃ、10日3日。みやらびかいしゃ10ななつ」とあり、13日の月、つまり成熟前が美しいとの意とされ、月齢を年齢になぞらえている。
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