明軍とは? わかりやすく解説

明軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 18:42 UTC 版)

文禄・慶長の役」の記事における「明軍」の解説

朝鮮で「天兵」と呼ばれた明軍は、文禄の役においては祖承訓率いる5,000人、李如松率い秋水鏡を含む43,000人が参戦し、さらに碧蹄館の戦い後に劉綎率いる5,000人が増援として新たに到着したルイス・フロイスは、平安城囲んだ明軍の兵力伝聞として「少なくとも20」と記載している。 慶長の役については、最大動員となった慶長3年1598年9月蔚山泗川順天三方同時反攻の際の兵力を、『宣祖実録』は水軍合わせ92,100人とし、参謀本部編纂日本戦史 朝鮮役』では同じく64,300人としている。また朝鮮史料燃藜室記述』では両役を通しての明の動員数221,500余人とする。 明の歩兵は、広大な帝国内における多様な戦闘経験しているため、様々な武器使用した飛び道具として弓、三眼銃、火縄銃南蛮火縄銃小火砲、長柄武器として三又鉄棒射手護身用片手刀、その他に大砲煙幕弾手投げ弾などである。しかし、明の火縄銃南蛮火縄銃日本の物と比べ改良進んでおらず余り役に立たなかった。ルイス・フロイス記録によれば、明軍の防具鉄製のため守備力があり、日本刀通じにくかったとされる。 しかし、碧蹄館の戦い関し朝鮮王朝実録には「天兵(中国兵)短劍騎馬, 無火器, 路險泥深, 不能馳騁, 賊(日本軍)奮長刀, 左右突鬪, 鋒鋭無敵。」という記述があり、李如松軍のために兵糧の手配もしていた朝鮮宰相である柳成龍著述した懲毖録には、「李如松提督率いていたのは皆北方騎兵火器持たず切れ味の悪い短剣持っていただけだった。一方賊(日本軍)は歩兵でその刀剣はみな3-4尺の切れ味無比のものだったから、衝突激闘してもその長刀振り回して斬りつけられるので人も馬も皆倒れ敢えて立ち向かうものはなかった(以下略)」とある。このように明軍は日本軍日本刀苦しんだようで、日本軍南原城を陥落させたときの日本明間交戦に関して懲毖録では「日本兵は、城外にあって二重,三重にとり囲みそれぞれ要路守り長刀奮って、やたらと切りつけた。明国軍は、首を垂れて刃を受けるのみであった。たまたま月が明るく脱出できた者は何人もいなかった」とある。日本刀宋代(960-1279)にはすでに中国輸出されていたが、軍隊民間倭刀及び倭刀術広く用いられるようになったのは明代(1368-1644)からである。明では後期倭寇の頃から、日本兵(倭寇)の日本刀日本式剣術苦しめられていたため、明軍では日本式の刀や日本式剣術武将戚継光学者茅元儀らによって研究され軍に採用されていた。中国多く日本刀輸入し日本刀模した刀も製作された(後に苗刀呼ばれる)。戚継光著作紀効新書』には「此は倭が中国攻めてきた時わかったことである。彼らは舞うような歩法用い前方への突進力は光が閃くようで我ら明の兵は気を奪われるのみだった。倭はよく躍動し一度動き出せば丈あまり、刀の長さ五尺なので一丈五尺間合でも攻撃される我が兵の剣では近づき難くでは遅すぎ、遭遇すればみな両断されて殺される。これは彼らの武器鋭利であり、両手振れる強力で重い刀を自在に用いているためである。日本人には遠くから鳥銃が有効である。だが日本人は全く臆せず攻めた刺したりできる至近まで突っ込んでくる。兼ねてよりこの銃手が弾を込める間に時間取られ接近を許すことが多い。その勢い止められない日本人の刀捌き軽くて長く接近許した後の我が軍銃手動き鈍重すぎる。われわれの剣は銃を捨てて即座に対応するための有効な武器ではないのだ。それゆえ我々も日本式長い刀を備えるべきだ」とある。1790年朝鮮編纂された武芸図譜通志には、中国史料引用する形で「(明の戚継光曰く)日本刀倭寇中国侵したときに初め見られるようになった。彼らがこの刀を手にして舞うと光閃の前に我が兵たちは気を奪われ倭人一丈余り一躍し遭遇した者は両断された。これは刀が鋭利で、しかも両手使用するので力をこめられるためだ。今日でも、(刀だけ)単独用いて防御できない。ただ鳥銃兼用すれば防御可能で、賊が遠けれ鳥銃発射し近ければ刀を用いる」、「(明の茅元儀曰く)日本刀極めて強く鋭く中国刀では及ばない(中略)、倭賊は勇敢だ愚か生死重視しない戦いのたびに三尺の刀を手に舞いながら前進してくると防ぐことができない」とある。

※この「明軍」の解説は、「文禄・慶長の役」の解説の一部です。
「明軍」を含む「文禄・慶長の役」の記事については、「文禄・慶長の役」の概要を参照ください。

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