方向指示スイッチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:33 UTC 版)
矢羽根式の自動車ではダッシュボード上に装備されたレバーによるワイヤーで操作するものもあった。電動の矢羽根式や点滅式ではトグルスイッチなどの電気スイッチがダッシュボード上に装備されるようになった。電気スイッチは、左右(あるいは上下)2方向に接点を有するスイッチが使われ、合図の開始と終了のいずれにもドライバーによる操作が必要であった。1950年代頃から[要出典]、ステアリングコラム側面に装備され、ステアリング・ホイールから手を離さずに操作できるレバーが主流となった。ステアリングホイール内側に円環型の警笛スイッチを持つ車種では、警笛スイッチを円周方向に回転(時計回り・反時計回りに回転)できるようにし、方向指示スイッチとしたものもあった(日本では1960年代のトヨタ車が採用)。同時に、ステアリングシャフトの回転を利用した機構でステアリングを中立に戻す際に、自動的にレバーが中立位置まで戻り、合図がオフとなるオートキャンセラーの装備が進んだ。オートキャンセラーはアメリカ車などではステアリングポストに装備された初期から普及した一方、欧州車などでは近年[いつ?]までオートキャンセラーを装備しない車種も見られた。 標準的なオートキャンセラー付きスイッチの場合、レバーを操作して一定の位置を越えるとクリック感があり、スイッチオンの位置で固定される。クリック感のある位置を超える前にスイッチは入るがレバーは固定されず、手を離すとばねの力で中立位置(スイッチオフ)に戻る。オートキャンセラーはステアリングを中立に戻す際の回転角度がある一定以上になると働くが、車線変更(レーンチェンジ)などのようにステアリング操作角度が小さい場合はオートキャンセラーが作動せず、手動でスイッチをオフにする操作が必要になる場合もある。レバーが固定されない位置でスイッチが入る機能は、車線変更の際に手動でスイッチを切る操作を省くことができる。初期のオートキャンセラーには備わっておらず、この機能の普及初期には「レーンチェンジャー付き」と称したメーカー[要出典]もあった。現在は、レバーを軽く一度だけ操作すれば、あらかじめ任意に設定された回数の点滅を自動で行う車種もある(主要なドイツ車など)。現在のBMW車(MINIを含む)および一部レクサス車では、レバーを操作してもオン位置で固定されず常にセンター位置に戻る方式を採用している。 日本車の場合は方向指示スイッチと、前照灯などの灯火を操作するスイッチが1本のレバーに組み込まれたコンビネーションスイッチが主流である。欧米の車種の場合は前照灯などのスイッチが独立してダッシュボードに配置装備されている場合もあり、ターンシグナルスイッチ単独のレバーも見られる(ただしパッシング・ロー/ハイビーム切り替え機能は残っている)。まれにダッシュボードからパドル状の操作スイッチをステアリングホイール付近に延ばす方式(三菱・ギャラン)や、メーターナセルのふちにロッカースイッチを装備する方式(シトロエン・BX)なども見られる。メルセデス・ベンツの車種のうち、モデルW201、W124、W126の時代までは、右ハンドル仕様はステアリングコラムの右側に、左ハンドル仕様は左側に配置されていたが、それ以降の車種ではISOの規格に合わせ左側に統一されるようになった。なお、メルセデス・ベンツの主要モデルでは、ターンシグナルとワイパーのスイッチを一本のレバーに一体化したマルチファンクションレバーを永らく採用している。 ターンシグナルスイッチの配置は、日本車や韓国車、オーストラリア車等のうち日本国内向けやオセアニア、東南アジアの左側通行採用国に向けた仕様ではステアリングコラムの右側にレバーが装備されるのが通常だが、他の国のメーカーによる車種や日本メーカーのそのほかの仕様では、ハンドル位置の左右にかかわらず左側に装備されることが多い。これは、ISO規格で強く推奨されているためである。したがって、右ハンドルの日本車でも、日本国内で販売される仕様と、欧州の左側通行の国(イギリス・アイルランド・マルタ・キプロス)で販売される仕様とでは、方向指示スイッチの配置が異なる。北米生産のGM車(キャデラック、サターン)、ヒュンダイ車など、日本向け輸入車の一部には右ハンドル・右側方向指示器を採用している車種がある。 オートバイの方向指示スイッチは、左側ハンドルのグリップ付近にスライド式のスイッチが装備されていることが多い。進行方向に対して左右あるいは上下に操作することでスイッチが入り、スイッチを切る操作は中立に戻す方式や、スライドスイッチの中央にキャンセルボタンを備えたプッシュキャンセル式がある。プッシュキャンセル式のスライドレバーは指を離すと中立の位置に戻り、中立位置でキャンセルボタンを押すとスイッチが切れる。プッシュキャンセル式は、はじめ中型以上の排気量区分(400cc超)を中心に[要出典]普及したが、やがてほかの排気量区分へも普及していった。ハーレーダビッドソンやBMWなどの一部車種では、左右独立したプッシュボタン式のスイッチが左右それぞれのグリップ付近に装備され、1度押すとスイッチが入り、再び押すとスイッチが切れる。旧型のホンダ・スーパーカブは「そば屋の出前持ちが片手で運転できるように」との配慮から、スロットル操作を担う右グリップ側に装備されている。 オートバイは自動車に比較するとステアリングの操作角度が小さいことから、自動車のような機械的なキャンセラー機構は普及していない。カワサキ・Z1-R/Z1R-IIなどでは、ターンシグナルが作動してから一定時間経過後に走行距離でオフとなる時限・距離式のオートキャンセラーが採用された。1982年(昭和57年)のホンダ・CBX400Fインテグラには角度検知センサなどを使用したオートキャンセラーが採用されたが、当時は動作が安定せず[独自研究?]姿を消している。ホンダ・フュージョンでも、右左折終了時に自動でターンシグナルの作動を終了するオートキャンセル機能を搭載していた。フュージョンのオートキャンセル機能は比較的高精度だったが、ターンシグナルを自動終了するだけという機能の単純さに対して掛かるコストが見合わないと[独自研究?]、他の車種にまで大きく普及することはなかった。
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