新たな議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/30 03:47 UTC 版)
議論が再開された時、専門家、政治家、メディア、軍隊から意見が聴収された。IAEAラテンアメリカ地域の原子力顧問ディーヴァ・プイグによれば「原子力に関する議論は(中略)社会のいかなる分野も排除してはならない」とのことだった。CINの理事であるジャスト・ライツは彼女に同意して「エネルギー問題は科学的な議論および判断の一部であるべき」だから「政治的観点のみでこの問題が議論されることには賛同しない」との見解を述べた。 原子力発電所を導入する可能性について、プイグは「世界にウルグアイができて以来、エネルギーを大規模に生産する別の代替手段が私には見当たらない」と述べた。一方、ライツは次のように述べた「原子力発電所には多くの利点があり、公害はゼロだが、リスクもある。決定を下す前に、国が最大限のセキュリティシステムを提供する条件があるのかを検討する必要がある。原子力に関して、見過ごすことができる潜在リスクは存在しない」。 UdelaR理学部の原子力センター理事は「原子炉は需要をカバーし、おそらく近隣諸国にエネルギーを売ることさえできるだろう。(中略)原子力発電所は火力よりも公害が遥かに少なく」 産生された放射性廃棄物は「定められた手順に従って、封じ込められてシールドされ、安全に保管することが可能だ」と述べた。 発電プラントや人員訓練を導入するプロセスには10-15年かかり、約35億ユーロという費用が2008年に推算された。物理学や原子力工学といった各分野での研修、その分野に精通した弁護士、そして1970年代に使用されたような訓練用の原子炉などが必要となってくる。問題の1つは、現在活用できる地域に専門家がまったくいない点である。IAEAは、国家があらゆる保証付きで原子力発電所の建設を決定した場合に、専門知識および訓練を提供することで各国をサポートしている。 2010年、市民裁判所(Tribunal Ciudadano)のメンバーは誰一人として、2030年から原子力計画を開始する実現性に賛成しなかった。ただし、彼らが言うには、技術の進歩により関連するリスクが最小限に抑えられた場合、または将来の研究で現在まだ分かっていない情報が提供された場合は、それを受け入れることもあるとした。なお、ウルグアイのように人口の少ない国だと、地域経済の規模からして上述の費用では全くと言っていいほど利益が出ない。加えて、ウルグアイにおける再生可能エネルギーへの投資増加と石油の存在調査により、原子力の議論は後回しにされた。ラモン・メンデスは次のように述べている。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}それはかなり明白になったようです。次の2つの理由からです。まず、2007-2008年に議論が始まった時点ではこうしたものは存在してませんでした。そして各政党での合意に至った20年間の指針がありませんでした。こうした競争力ある価格で再生可能エネルギーを生み出す事にここまで成功できうることを我々は知らなかったのです。そのため青写真(将来の展望)が変わったのです。次に、福島(の原発事故)が起きました。そして重要なことが2つ。第一に、原子力オプションを分析していた世界の50余か国のうち、残っているのは僅か2・3か国で、それらの国々は判断を保留しています。原子力を稼働していた(一部の)国々は、ドイツをはじめ多くが現在は原子力発電所を休眠させています。しかし、もう一つの結論としては、投資家の観点から原子力が魅力的でなくなったことです。それはハイリスクであり、福島自体は死に至らなかったものの、事実として200億ドルの価値があった4つの原子炉が使い物にならなくなってしまいました。 —ラモンメンデス、国家原子力技術局長
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