徳島市公安条例3条3号、5条の犯罪構成要件としての明確性についてとは? わかりやすく解説

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徳島市公安条例3条3号、5条の犯罪構成要件としての明確性について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 14:14 UTC 版)

徳島市公安条例事件」の記事における「徳島市公安条例3条3号、5条の犯罪構成要件としての明確性について」の解説

本条例33号の「交通秩序維持すること」という規定犯罪構成要件内容をなすものとして明確であるかどうか検討する上記規定は、その文言だけからすれば、単に抽象的に交通秩序維持すべきことを命じているだけで、いかなる作為不作為命じているのかその義務内容具体的に明らかにされていない全国いわゆる公安条例多くにおいては集団行進に対して許可制をとりその許可にあたつて交通秩序維持に関する事項についての条件の中で遵守すべき義務内容具体的に特定する方法がとられており、また、本条例のように条例自体の中で遵守義務定めている場合でも、交通秩序侵害するおそれのある行為典型的なものをできるかぎり列挙例示することによつてその義務内容明確化を図ることが十分可能であるにもかかわらず本条例がその点についてなんらの考慮を払つていないことは、立法措置として著しく妥当を欠くものがあるといわなければならないしかしながら、およそ、刑罰法規定め犯罪構成要件があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反し無効であるとされるのは、その規定通常の判断能力有する一般人に対して禁止される行為そうでない行為とを識別するための基準を示すところがなく、そのため、その適用を受ける国民に対して刑罰対象となる行為をあらかじめ告知する機能果たさずまた、その運用がこれを適用する国又は地方公共団体の機関主観的判断ゆだねられ恣意流れる等、重大な弊害生ずるからであると考えられる。 しかし、一般に法規は、規定文言表現力限界があるばかりでなく、その性質多かれ少なかれ抽象性有し刑罰法規もその例外をなすものではないから、禁止される行為そうでない行為との識別可能ならしめる基準といつても、必ずしも常に絶対的なそれを要求することはできず、合理的な判断を必要とする場合があることを免れないそれゆえ、ある刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反するものと認めるべきかどうかは、通常の判断能力有する一般人理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうか判断可能ならしめるような基準読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきであるそもそも道路における集団行進等は、多数人が集団となつて継続的に道路一部占拠し歩行その他の形態においてこれを使用するものであるからこのような行動が行われない場合における交通秩序必然的に何程侵害する可能性有することを免れないのである本条例は、集団行進等が表現の一態様として憲法上保障されるべき要素有することにかんがみ届出制採用し集団行進等の形態交通秩序不可避的にもたらす障害生じても、なおこれを忍ぶべきものとして許容しているのであるから、本条三条三号の規定禁止する交通秩序侵害は、当該集団行進等に不可避的に随伴するものを指すものでないことは,極めて明らかである。ところが、思想表現行為としての集団行進等は、前述のように、これに参加する多数の者が、行進その他の一体的行動によつてその共通の主張要求観念等を一般公衆等に強く印象づけるために行うものであり、専らこのような一体的行動によつてこれを示すところにその本質的な意義価値があるのであるから、これに対して、それが秩序正しく平穏に行われて不必要に地方公共安寧秩序を脅かすような行動にわたらないことを要求しても、それは、右のような思想表現行為としての集団行進等の本質的な意義価値を失わしめ憲法上保障されている表現の自由不当に制限することにはならないのであるそうすると本条例3条が、集団行進等を行おうとする者が、集団行進等の秩序保ち公共安寧保持するために守らなければならない事項一つとしてその3号に「交通秩序維持すること」を掲げているのは、道路における集団行進等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこれに随伴する交通秩序阻害程度超えた殊更交通秩序阻害もたらすような行為を避止すべきことを命じているものと解されるのである。 そして、通常の判断能力有する一般人が、具体的場合において、自己がしようとする行為が右条項による禁止触れるものであるかどうか判断するにあたつては、その行為秩序正しく平穏に行われる集団行進等に伴う交通秩序阻害生ずるにとどまるものか、あるいは殊更交通秩序阻害もたらすようなものであるかを考えることにより、通常その判断にさほどの困難を感じことはないはずであり、例え各地における道路上集団行進に際して往々みられるだ行進、うず巻行進、すわり込み道路一杯占拠するいわゆるフランスデモ等の行為が、秩序正しく平穏な集団行進等に随伴する交通秩序阻害程度超えて殊更交通秩序阻害もたらすような行為にあたるものと容易に想到することができるというべきである。 さらに、前述のように、このような殊更交通秩序阻害もたらすような行為は、思想表現行為としての集団行進等に不可欠な要素ではなく、したがつて、これを禁止して国民憲法上の権利正当な行使制限することにはならずまた、殊更交通秩序阻害もたらすような行為であるかどうかは、通常さほどの困難なしに判断しうることであるから本条例33号規定により、国民憲法上の権利正当な行使阻害されおそれがあるとか、国又は地方公共団体の機関による恣意的な運用を許すおそれがあるとは、ほとんど考えられないのである(なお、記録あらわれた本条例の運用の実態をみても、本条例33号規定が、国民憲法上の権利正当な行使阻害したとか、国又は地方公共団体の機関恣意的な運用許したとかいう弊害生じた形跡は、全く認められない。)。 このように見てくると、本条例33号規定は、確かにその文言抽象的であるとのそしり免れないとはいえ集団行進等における道路交通秩序遵守についての基準読みとることが可能であり、犯罪構成要件内容をなすものとして明確性欠き憲法31条に違反するものとはいえない。

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