年度別製造概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 07:34 UTC 版)
製造年代毎の、試作・試験品の使用などを除く主な設計変更点や特徴などは以下の通り。なお、予定製造数の変更や、材料入手の関係などで必ずしも年度毎の変更とはなっていないほか、製造途中や一部車両のみの変更もあり、不明点が多い。 また、モハ63形のうち1944年製(14両)の全車および1946年製(335両・私鉄割当車を除く)の一部は電装品の供給が間に合わず未電装のまま運行されている。その内訳は付随車として使用された車両が103両、制御車として使用された車両が2両であり、このうち付随車代用の9両は1947-48年に電装品を装備して制御電動車化されているが、一方で事故復旧時に制御電動車から付随車となった車両と、制御車から付随車となった車両が各1両存在する。 1944年度(30両) モハ63形は番号に関わらず全車奇数向きで非電装。 台車はモハ63形に流用したTR25(DT12)、サハ78形に同じく流用したTR23を使用したが詳細は不明。 モハ63形の運転台機器は撤去品を使用することとなっていたが、実際には設置されていないと考えられている。 モハ63形、サハ78形の室内は座席半減(1750 mm幅8箇所)、吊手は片側2列/計4列、荷棚は鋳鉄製の棚受に板張りの棚を設置したもの。 クハ79形の室内は、座席半減(1750 mm幅・8箇所)、吊手は通常のものもしくは片側2列/計4列、天井は2両を除き中央部も天井板を省略したものとしているが、特にクハ79025は荷棚は前部に握り棒を設置したものであるほか、座席は1750 mm幅のもの4箇所、室内の内張は天井のほか戸袋部を除き側壁面も省略されたものとなり、乗務員室内機器も未装備。 座席の座面は奥行380 mmの板張りで、背摺は設置されず客室内張壁面を背摺代わりとした。 1946年度(374両) サハ78形は100番台となり、サハ78100より付番。 モハ63形のうち約100両は未電装。 台枠は形式の変更はないものの、横梁・床受梁・根太受梁・根太の位置を変更し、補強の当板等を追加。また、窓上の幕板帯と窓下の外帯をいずれも75 mm × 9 mmのものに変更し、これに併せて帯キセ(ウィンドウ・シル/ヘッダー)の幅を変更したほか、屋根鋼体の構造を一部変更。 座席は所定数を装備し、座席下には暖房器を設置。木製座席は奥行きを430 mmに変更し、座面上部の形状を曲面に変更。また、モハ63形のうち一部(日本車輌・日本車輌東京支店・川崎車輛製のそれぞれ一部)は座席の座面にクッション付のものを使用。 吊手は片側1列/計2列の通常のものを装備し、荷棚は前部に握り棒を設置したものを使用。 台車はモハ63形はTR35(DT13)を基本として流用品のTR25(DT12)も使用し、サハ78形は初期には流用品のTR23を、サハ78117前後の車号の車両からTR36を使用。 モハ63形に、従来省略されていた(1944年度製は全車未電装であったため該当車両なし)CS9弱界磁制御器を搭載(一部車両は未搭載)。 モハ63900 - 63902、サハ78200 - 78202は車体をジュラルミン製とし、座席座面および背摺りをクッション付、扉を合金製、天井板付、室内灯を蛍光灯とする。 1947年度(307両) モハ63形は500番代となり、モハ63500から付番。 モハ63形の一部(川崎車輛製20両および汽車製造東京支店製10両)を除き、運転室が全室となり、天井板(ベニア板を基本とし、板幅が不足する部分は金属製飾帯を設置)が設置される。 約7割の車両の扉を鋼製もしくは軽合金製に変更したほか、鋼板屋根とする計画および図面が存在するがこちらの対象車両は不明。 台車はモハ63形はTR35(DT13)を基本としてモハ63668 - 63692(偶数)はTR35A(DT13)を使用し、サハ78形はTR36を使用。 モハ63形に、従来省略されていた母線回路用断路器、母線回路用ヒューズを搭載、主抵抗器の構成を変更(一部車両は未変更)。また、主電動機をコロ軸受・並列通風のMT40に変更し、客室内から主電動機までの通風用のダクトを設置。また、主制御器が並列接続時の主電動機の組み合わせを各台車1基づつの2基並列から、各台車毎の2基並列に変更。 床下配線を木製の電線棚から鋼製の電線ダクト内への配置に変更し、低圧引通用の電気連結器を12芯のKE52を2組に変更。 1948年度(122両) モハ63形の一部(川崎車両製7両、汽車製造東京支店製15両、近畿車輛製7両)を除く車両とサハ78形全車に雨樋を設置。 モハ63形の天井を全面ベニア板張りに変更し、サハ78形も同様であるとされているほか、乗降扉は鋼製プレスのものを基本とする。 モハ63771以降(奇数)およびモハ63802以降(偶数車)とサハ78形の座席座面をクッション付きに変更、木製の背摺を設置。 モハ63791以降(奇数)およびモハ63802以降(偶数車)とサハ78形の天井灯にグローブを設置。 台車はモハ63形のTR35(DT13)を基本とし、モハ63694 - 63718(偶数)はTR35A(DT13)、モハ63802 - 840はTR37(DT14)、モハ63771 - 63839はTR39(DT15)を使用し、サハ78形はTR36を使用。 モハ63形の集電装置をPS13Aに変更し、主電動機を年度途中からノーズ形状を変更したMT40Aに変更(詳細の車号は不明)。 1950年度(4両) 正面窓上の運行灯を2桁から3桁に変更、側面窓に窓錠および鎧戸式の日除を設置、座席背摺をクッション付のものに変更、天井を中央部が一段下がった2段のものから段差なしのものに変更して通風口を設置、天井灯をグローブ付2列配置に変更、運転室背面仕切壁に窓を設置。 グローブ式ベンチレーターを側面上部を内側に折込んだ形態のものに変更。 主制御器にCS5A、弱界磁接触器にCS9Aを使用したほか、主電動機はMT40A、遮断器はSR106Bを使用し、台車にはTR37(DT14)を使用。
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