対機雷戦とは? わかりやすく解説

機雷戦

(対機雷戦 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/04 09:44 UTC 版)

機雷戦(きらいせん Mine warfare)は機雷を巡る軍事作戦の総称であり、機雷敷設戦と対機雷戦の二つからなっている[1]

機雷敷設戦

機雷敷設戦は、機雷の開発、生産、保管そして敷設がある。敷設には、敵の港湾水路を封鎖することを目的とした攻勢的機雷敷設戦[1]と敵の上陸防止や味方の航路等を防御することを目的とする防勢的機雷敷設戦[1]の二つがある。

対機雷戦

対機雷戦は機雷から船を守る機雷防御、掃海[1]、掃討により機雷を処分する機雷排除[1]、そして敵機雷の性能、敷設地点の特定を行う機雷情報、危険海域を迂回する機雷回避[1]がある。

日本の機雷戦史

薩英戦争

薩英戦争において、薩摩藩がイギリス艦艇に対し機雷を使用した記録がある。桜島と沖小島の間に地上管制式の水雷3発を敷設して実際英国軍艦が接近したが、連絡ミスにより沖小島砲台が発砲したため設置地点に近寄らず失敗。

日露戦争

日露戦争では、旅順をめぐる争いで、日本は旅順のロシア艦隊を封鎖するため、ロシアは日本の封鎖艦隊を攻撃するためそれぞれ機雷を敷設した。この機雷戦では日本は戦艦初瀬八島を失い、ロシアは戦艦ペトロパブロフスクを失った。また、日本側はウラジオストクのロシア艦隊を封鎖するため、機雷敷設を行っている。

太平洋戦争まで

日中戦争中、中国軍は日本軍の行動を妨害するために沿岸部や揚子江などに多くの機雷を敷設した。揚子江遡江作戦で日本軍が処分した機雷は2,372個、広東攻略戦で日本軍が処分した機雷は300個にのぼる。

太平洋戦争

※日本海軍による港湾防備用の機雷敷設は戦時中適宜行われていた

  • 1942年(昭和17年)10月- 三陸沖へ対潜機雷敷設開始(1,500個)
  • 1943年11月 - 津軽海峡東口へ対潜機雷敷設開始(-1944年10月 2,500個)
  • 1944年1月 - 台湾海峡へ対潜機雷敷設開始(-6月 12,000個)
  • 1944年5月 - 宗谷海峡へ対潜機雷敷設開始(-1945年6月 2,200個)
  • 1945年 3月27日 - 米軍による「飢餓作戦」開始。B-29による最初の機雷敷設が行われる。関門海峡付近への機雷敷設。使用された機雷は磁気及び音響機雷
    • 3月30日 - B29による関門付近、広島及び佐世保への機雷敷設。
    • 4月1日 - 呉へのB-29による機雷敷設
    • 4月2日 - 広島、呉へのB-29による機雷敷設
    • 4月3日 - 広島、呉へのB-29による機雷敷設
    • 4月9日 - 関門海峡付近へのB-29による機雷敷設
    • 4月12日 - 関門海峡付近へのB-29による機雷敷設
    • 5月3日 - 関門海峡付近、大阪神戸へのB-29による機雷敷設。水圧機雷が初めて敷設される。
    • 5月5日 - 東京湾伊勢湾瀬戸内海にB-29による機雷敷設
    • 5月14日 - 関門海峡付近にB-29による機雷敷設
    • 5月16日 - 関門海峡付近、舞鶴にB-29による機雷敷設
    • 5月19日 - 関門海峡付近、敦賀にB-29による機雷敷設
    • 5月21日 - 関門海峡付近、舞鶴にB-29による機雷敷設
    • 5月23日 - 関門海峡付近にB-29による機雷敷設
    • 5月25日 - 関門海峡付近、新潟七尾伏木名古屋にB-29による機雷敷設
    • 5月27日 - 関門海峡付近、伏木、福岡唐津にB29による機雷敷設
    • 5月28日 - 関門海峡付近にB-29による機雷敷設
    • 6月7日 - 関門海峡付近、福岡、唐津にB-29による機雷敷設
    • 6月9日 - 関門海峡付近にB-29による機雷敷設
    • 6月10日 - 関門海峡付近、敦賀にB-29による機雷敷設
    • 6月13日 - 関門海峡付近、新潟にB-29による機雷敷設
    • 6月15日 - 関門海峡付近、福岡、唐津、伏木にB-29による機雷敷設
    • 6月17日 - 関門海峡付近、神戸にB-29による機雷敷設
    • 6月19日 - 関門海峡付近、新潟、宮津、舞鶴にB-29による機雷敷設
    • 6月21日 - 伏木、仙崎、七崎、油谷湾にB-29による機雷敷設
    • 6月24日 - 福岡、唐津、境港、新潟にB-29による機雷敷設
    • 6月25日 - 関門海峡付近、舞鶴、小浜にB-29による機雷敷設
    • 6月27日 - 萩、神戸、新潟にB-29による機雷敷設
    • 6月29日 - 関門海峡付近、舞鶴、酒田にB-29による機雷敷設
    • 7月1日 - 関門海峡付近、七尾、伏木にB-29による機雷敷設
    • 7月3日 - 関門海峡付近、船川、舞鶴にB-29による機雷敷設
    • 7月9日 - 関門海峡付近、七尾、新潟にB-29による機雷敷設
    • 7月11日 - 朝鮮半島、関門海峡付近、宮津、舞鶴、小浜にB-29による機雷敷設
    • 7月13日 - 朝鮮半島、関門海峡付近、福岡にB-29による機雷敷設
    • 7月15日 - 朝鮮半島、直江津、新潟にB-29による機雷敷設
  • 1945年4月 - 対馬海峡に対潜機雷敷設開始(-6月 4,700個)

太平洋戦争後

脚注

  1. ^ a b c d e f 河上康博「二つの任務を担う「掃海隊群」(中) 日本海軍の伝統を継承!「対機雷戦」」『軍事研究』第59巻第4号、株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー、2024年4月号、104-117頁。 
  2. ^ a b 掃海OB等の集い 世話人会 (2013年9月30日). “航路啓開史” (PDF). 2018年9月8日閲覧。
  3. ^ 香田洋二「国産護衛艦建造の歩み」『世界の艦船』第771号、海人社、2013年1月、189-195頁。 

関連項目


対機雷戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 07:50 UTC 版)

もがみ型護衛艦」の記事における「対機雷戦」の解説

本型において、従来護衛艦一線を画するのが、機雷戦能力導入である。これは、日本周辺情勢変化背景として、主要国間の大規模武力紛争蓋然性低下伴って掃海部隊規模縮小検討されるとともに掃海隊群水陸両用作戦所掌するようになったことから、掃海艦艇の減勢後も所要の対機雷戦能力担保するとともに島嶼戦に際して対機雷戦を含む水陸両用作戦遂行する艦として期待されたためであった。 対機雷戦のため、対機雷戦ソナー・システム(OQQ-11)が搭載されるほか、無人機排除システム用水上無人機USV)と機雷捜索無人機UUV)の運用能力付与されるUSVは、UUVとは音波を、護衛艦とは電波用いて情報中継を行う。またEMD運搬投下中継や、USV自身による掃海具曳航を行う。USVUUV連携は「無人航走構成要素研究」(2009年度から2012年度まで試作2012年度から2013年度まで試験)が相当するUUV平成25年度から開発されていた「自律型水中航走機雷探知機」であり、OZZ-5として装備化された。既存のS-10は外部電源通信ケーブルを必要とするROVであったのに対し基本的に自立駆動制御航行するためより広範囲捜索可能になるソナーはサイドスキャンによる高周波低周波合成開口ソナー用いており、これにより高周波小型ステルス化した機雷を、低周波泥質海底埋没した機雷探知することができる。イギリスの軍事週刊誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」によると、もがみ型搭載されOZZ-5全長約4メートル、幅0.5メートルで、重さ900キロOZZ-5には、仏タレス社製の高周波合成開口ソーナー(HF-SAS)「SAMDIS」と、NEC製の低周波合成開口ソーナー(LF-SAS)とが搭載されている。フランスはHF-SAS、日本はLF-SASにそれぞれ技術的な強み持っている

※この「対機雷戦」の解説は、「もがみ型護衛艦」の解説の一部です。
「対機雷戦」を含む「もがみ型護衛艦」の記事については、「もがみ型護衛艦」の概要を参照ください。

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