学者や政党の見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 07:31 UTC 版)
著名な学者・著作家や政党による天皇制への見解には以下がある。 渡部昇一は、天皇は神話時代から続く世界に例のない万世一系の存在で、神道は特定の宗教ではなく、日本国憲法は無効であり、生前退位や女性天皇や女系天皇は左翼の陰謀と批判した。 丸山眞男は戦前の日本を「天皇制ファシズム」と呼び、誰も戦争責任を取らない日本の天皇を中心とした社会を「無責任の体系」と批判した。 吉本隆明は、歴史的に天皇制の大半は宗教的権威であり、天皇の世襲における祭儀の本質は「神との共食」と「神との性行為」で、その根底には農耕祭儀がある。このため、「日本が農耕社会からほぼ脱皮したときに、アジア的な農耕社会の日本における王としての天皇の政治的な役割は終焉する」と述べた。 三島由紀夫は昭和天皇の人間宣言を「残念」 と述べ、小泉信三らが進める「天皇制の民主化」に対して、大衆社会に媚びた「週刊誌的天皇制」と批判した。 西部邁は、政治と宗教は根源的に繋がっており、「天皇は価値の源泉たる国柄の「象徴」」で、「象徴」は聖なるものへの指向性を含むため、日本国憲法には矛盾があると述べた。 梅原猛は、「天皇」という言葉ができた8世紀の推古天皇頃から天皇は宗教的色彩が強く、律令時代でも天皇の政治的権力は排除されており、中国の皇帝と同じ「エンペラー」と訳すのは間違いで、天皇は実際の権力を持たなかったから存続できた。天皇は初めから象徴であり、明治憲法で天皇をヨーロッパ流国家体制の上に持ってきたのは間違いだった、と述べた。 堀内哲は、天皇の政治的発言など象徴天皇制には限界があり、天皇制廃止し天皇を普通の人間に戻すべきと主張した。橋爪大三郎は、天皇制は民主主義と矛盾するため憲法改正による天皇制廃止を主張した。小谷野敦は、天皇制は生まれによる差別のため、憲法改正して天皇制廃止し天皇・皇族は日本国国民として基本的人権を認めるべきと主張した。八巻正治は自著「さわやかな風のようにー福祉のまなざしを求めて-」の中で「日本は相当に自由の国だと一般には理解されていますが、こと天皇制の問題になると状況は異なります。相当の知識人でさえも口を堅く閉ざしてしまいます」と述べている。 自由民主党は綱領に「自主憲法制定」を記載、2012年の「日本国憲法改正草案」で天皇を「元首」と記載した。 池田大作は著作で、戸田城聖の言葉として「仏法から見て、天皇や、天皇制の問題は、特に規定すべきことはない。代々つづいて来た日本の天皇家としての存在を、破壊する必要もないし、だからといって、特別に扱う必要もない。どちらの立場も気の毒と思う。」と記した。 日本共産党は2004年綱領で「君主制の廃止」を削除する一方、「天皇制の存続を認めた天皇条項は、民主主義の徹底に逆行する弱点」として将来的には「国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべき」と記載した
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