天皇訴追問題とは? わかりやすく解説

天皇訴追問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 13:52 UTC 版)

昭和天皇・マッカーサー会見」の記事における「天皇訴追問題」の解説

10月2日マッカーサー秘書であるボナー・フェラーズ准将は、真珠湾奇襲に始まる開戦昭和天皇意思ではなかったと立証され得るとする覚書『フェラーズ・メモ』を作成した。『フェラーズ・メモ』は、天皇訴追防止するための理論武装性格有していた。第一に法的に宣戦詔書』を発した責任免れないが、実質的に東条英機又は軍部開戦敢行した。第二に、天皇日本国民にとって重要な存在であり、訴追した場合重大な事態引き起こされる後者は、政治的判断として強調された。 この覚書の中で、フェラーズは「天皇直接語ったところによれば」「『宣戦詔書』を東条用いた如く使用する意図はなかった」と記し、さらに日本武装解除天皇果たした役割高く評価した。「直接語った相手は、天皇側近以外にはマッカーサーしかおらず、第1回会見マッカーサー得た情報反映されたと考えられている。 翌1946年昭和21年1月25日マッカーサー天皇訴追に関する証拠資料を、アメリカ本国回答したその内容は、『フェラーズ・メモ』とほぼ同一であったが、免れ得ない法的責任のくだりが無くなり、代わって実質的な権限持たない立憲君主」の面が強調され天皇裁判にかけた場合米国側の人的コスト増加占領長期化強調され、より「演出表現」を強めたものになっていた。 さらに同年1月29日来日した極東諮問委員会代表団対しマッカーサーは「戦争阻止できなかった理由に関する昭和天皇の発言次のように紹介した。 「私としては決し戦争望んでいなかったが、自分であれ他の天皇であれ、開戦時政界世論圧力に対して有効な抵抗をすることはできなかった」 その上で天皇国家意思決定における「形式的役割」を担っていたに過ぎないとした。 同年3月4日付の『ライフ』誌では、日本特派員ローターバッチによる「秘められた日本戦争計画」とする記事発表された。記事ではマッカーサーの「戦争許可した理由」の問い対す昭和天皇の発言次のように紹介した。 「もし私が許さなかったら新し天皇立てられていたであろう戦争日本国民意思であった誰が天皇であれ事ここに至っては、国民望みに逆らうことはできなかった」 戦争望んだのが「世論」から「国民意思」へと、表現エスカレートしている。 4月3日、最高意思決定機関である極東委員会 (FEC) はFEC007/3政策決定によって天皇不起訴合意至り4月17日極東国際軍事裁判における、A級戦犯被告確定した裁判並行してラジオ番組真相箱』が放送され日本国民に対してもローターバッチによる記事同一天皇発言紹介された。 こうした動きとは別に極東軍事裁判検察官務めたジョセフ・キーナンは、1945年昭和20年12月6日来日時マッカーサーから昭和天皇第1回会見時に「この戦争は私の命令行った」「私だけ処罰しもらいたい発言したたため、同裁判成立させるために天皇訴追てはならない命じられたことを、1946年昭和21年5月頃に田中隆吉陸軍少将打ち明けたキーナン1948年昭和23年11月21日、同裁判終結後離日時にこのことをUP通信支局長に打ち明け、また田中1965年昭和40年になって文芸春秋』誌でこのことを公表したまた、GHQ側から情報収集積極的に行っていた松平康昌同様の天皇発言情報を、田中伝えている。キーナン松平から天皇発言聞いた田中は非常に感激し、同裁判証言台に立つ崇高な使命感抱いた一連の経緯から、マッカーサー様々な手段によって、「天皇戦争反対していた」「天皇世論軍部抵抗できなかった」「反対したらクーデター起きていた」というイメージを、天皇発言引用する形で内外広めていったと考えられている。一方天皇第1回会見時に自らの責任認め発言をしたことを、極東軍事裁判キーマンである、田中キーナン流出させて、双方努力によって同裁判へ昭和天皇出廷阻止させ、法廷闘争においても成果をあげた。

※この「天皇訴追問題」の解説は、「昭和天皇・マッカーサー会見」の解説の一部です。
「天皇訴追問題」を含む「昭和天皇・マッカーサー会見」の記事については、「昭和天皇・マッカーサー会見」の概要を参照ください。

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