大津絵
大津絵
大津絵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/03 01:43 UTC 版)
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アメリカ・オハイオ州、クリーブランド美術館所蔵
大津絵(おおつ-え)とは、滋賀県大津市で江戸時代初期から名産としてきた民俗絵画で、さまざまな画題を扱っており、東海道を旅する旅人たちの間の土産物・護符として知られていた。
大津絵の画題を唄い込んだ元唄・音曲・俗曲(大津絵節[2])、大津絵節を元に踊る日本舞踊の一種(大津絵踊り)にも、「大津絵」の名がついている。
歴史
東海道、逢坂関の西側に位置する近江国追分(髭茶屋追分)を発祥の地とする。寛永年間(1624 - 1644年)のころに仏画として描かれ始めた。当初は信仰の一環として描かれたものであったが、やがて世俗画へと転じ、加えて18世紀ごろより教訓的・風刺的な道歌を伴うようになった。
松尾芭蕉の俳句「大津絵の筆のはじめは何佛」には、仏画が多かった初期の大津絵の特徴が表れている。また、江戸時代初期のキリシタン弾圧に際して「自分は仏教徒である」という隠れ蓑的役割も有していたと言われる。

江戸時代を通じ、東海道大津宿の名物となった。文化・文政期(1804 - 1829年)には「大津絵十種」と呼ばれる代表的画題が確定し、一方で護符としての効能も唱えられるようになった(「藤娘」は良縁、「鬼の寒念仏」は子供の夜泣き、「雷公」は雷除け、「外法大黒」無病長寿、小児の月代きらいを直す、「鷹匠」五穀成就、「座頭」倒れない、「瓢箪鯰」水難除け、「槍持奴」道中安全、「弁慶」火難除け、「矢の根男」悪魔退治など[3])。画題は増え続け、幕末には最盛期を迎えたが、画題の簡略化に伴って減少し、現在では百余種とされる。
明治期に入ると、何人もの画家や蒐集家が収集を始め、大津絵のコレクターが登場し、展覧会も開かれるようになった[4]。
特徴
神仏や人物、動物がユーモラスなタッチで描かれ、道歌が添えられている。多くの絵画・道歌には、人間関係や社会に関する教訓が風刺を込めて表されている。
主な画題




「※」の付いているものは「大津絵十種」と呼ばれる主要画題。他項に記述あるものはこれを明記する。
- 仏画
- 世俗画
大津絵の歌舞伎舞踊
- 『哥へす哥へす余波大津絵』(かえすがえすなごりのおおつえ) 他項「藤娘#歌舞伎舞踊の藤娘」を参照。
- 『採筆恵の大津絵』(ふでとりてめぐみのおおつえ) 安政3年(1856年) 江戸森田座上演
- 浮世又平・藤娘・猿・船頭・福禄寿(初代 中村福助)
- 大黒(六代目 坂東三津五郎)
脚注
- ^ 『鬼の念仏』 - コトバンク
- ^ 『大津絵節』 - コトバンク
- ^ 精選版 日本国語大辞典の解説『大津絵』 - コトバンク参照
- ^ 森谷美保監修 2020, p. 25.
参考文献
- 森谷美保(監修)『もうひとつの江戸絵画大津絵』東京ステーションギャラリー、福島県立美術館、2020年。 NCID BC03680759。
- 冨田章「大津絵の需要、あるいは近代の美意識」『もうひとつの江戸絵画大津絵』、東京ステーションギャラリー、福島県立美術館、2020年、7 - 9頁。
- 森谷美保「大津絵再考」『もうひとつの江戸絵画大津絵』、東京ステーションギャラリー、福島県立美術館、2020年、10 - 20頁。
関連文献
- 信多純一 『祈りの文化 大津絵模様』 思文閣出版 2009年
- 尾久彰三監修 『大津絵 日本民芸館所蔵』 東方出版 2005年
- 英文併記、柳宗悦解説を付す
- 『柳宗悦選集第10巻 大津絵』 春秋社を参照。1978年ほか
- クリストフ・マルケ; 楠瀬日年(絵)『大津絵:民衆的諷刺の世界』KADOKAWA〈角川文庫〉、2016年。 ISBN 9784044000417。
- 児玉絵里子「大津絵「藤娘」と「花車」-若衆歌舞伎「業平踊」と初期歌舞伎の表象-」『初期歌舞伎・琉球宮廷舞踊の系譜考-三葉葵紋、枝垂れ桜、藤の花-』錦正社、2022年。ISBN 978-4-7646-0146-8
関連項目
外部リンク
- 大津絵 - びわ湖大津観光協会(公式ウェブサイト):主要画題の画像と解説あり。
- 大津絵の店:大津絵画家のサイト。大津絵の歴史・画題解説など。
- 大津絵美術館(観光案内)
- 大津市歴史博物館(公式ウェブサイト) 大津絵のコレクションが多い
大津絵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 02:19 UTC 版)
詳細は「大津絵」を参照 瓢箪とナマズ、というユニークな画題は後年の民画や浮世絵にも取り入れられた。滋賀県大津宿の民俗絵画である大津絵では、ヒョウタンを持った猿がナマズを押さえつけようとする姿を滑稽に描いた作品が数多く作られている。ほとんどが作者不詳であるこれらの作品は「瓢箪鯰」と総称され、「大津絵十種」(大津絵の代表的画題)の一つとして親しまれた。
※この「大津絵」の解説は、「ナマズ」の解説の一部です。
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