国立公園での対立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 20:36 UTC 版)
「イングランドおよびウェールズの国立公園」の記事における「国立公園での対立」の解説
国立公園管理局は2つの役割を持っている。すなわち公園を保護し価値を高めること、および訪問客の利用を促進することであるこれら二つは、異なるグループのニーズの間で頻繁に対立する。イングランドとウェールズの国立公園には毎年推定で1億1000万人が訪れる。レクリエーションと観光が地域に多くの恩恵をもたらすとは言え、数多くの問題も持ち込んでいる。国立公園管理局に支給される国の資金は、一部はこうした対立に対応するための余分な課題が考慮に入れられている。 村落や景勝地での混雑 いくつかの景勝地に大量の観光客が集中することで、駐車場の混雑、道路の閉塞、地域の施設の混雑、特に夏の日曜日や祝日が顕著である。湖水地方のケズウィックやピークディストリクトのバクストン、ベイクウェルがこの例である。 侵食 徒歩やその他の公共交通手段はあらゆる国立公園で広く使われているが、交通の多い通路を頻繁に使われるとかなりの侵食が起こる。かと言って、道路を補強するのは美観を損なう恐れがある。スポンサー付きの歩行イベント、本や雑誌で紹介された歩行、舗装されていない乗馬専用道での乗馬、及び未舗装道路でのオフロード車の使用により、深刻な磨耗が起こっている。ピークディストリクトのダブデールがこの例である。羊などが丘やヒースの荒れ地で過剰に草を食べることも植生を減らし侵食を加速する原因の一つになっている。 野生動物へのダメージと妨害 公衆に開かれた公園の一部区域では、使用の程度によって野生動物の妨害となる。ヒースの荒野や白亜の丘陵地帯は通常の使用でもダメージを受け、回復には何年もかかる。ヒースの荒野に住む鳥類は地面に巣を作り卵を産むので、特に影響を受けやすい。オリエンテーリング、マウンテンバイク、ハンググライダーは巣を作る鳥類の妨害になりやすい活動の典型例である。 ごみ あらゆる種類のごみは、景観を損ない、また汚染を発生させ家畜や野生動物にダメージを与える恐れがある。割れたガラスは人間にとって危険であるとともに、太陽光線を集めて火災の原因になる恐れがある。特にピークディストリクトと北ヨークムーアの一部をなすエクスムーアのようなヒースの荒野では注意が必要である。 農地へのダメージ 牧草を踏み荒らすと、牧畜の冬の食料を減らすことになる。歩行路から外れた歩行者は、農地を横切る経路を示す踏み越し段を探そうとしないでフェンスや自然石の石壁をよじ登ることがある。羊は、特に出産時には、適切な管理がされていない犬に傷つけられたり、時には殺されることがある。 地域のコミュニティーの変化 観光客の需要に応えるためのおみやげ屋や喫茶店は、地元の住人のための日用品を売る店(肉屋やパン屋のような)よりも、しばしば儲けが多い。観光客相手の店が大部分を占め、地元住民の需要のための店が少なくなったような村では、地元のコミュニティーは観光客に押し出されたように感じているかもしれない。観光客が集まる村では、しばしば家屋の値段が高騰する。別荘として不動産会社やどこかよそに本来の家を持っている金持ちの余所者に買われたりして、地元の家族が住居費の高騰に苦しむことになる。これは特に、ピークディストリクト、湖水地方、ヨークシャーデール、及びニューフォレストのような大都市から容易に行ける距離にある区域で顕著である。 レクリエーション利用者同士の対立 国立公園を使う形態によっては他の利用者を邪魔することがある。例えば、高速ボートは騒音公害を生むし、他のボート、ヨット、カヌーの利用者及び水泳している人を妨害する。ウィンダーメアでは2005年3月29日から10マイル毎時の速度制限を定める、議論の余地のある条例が発行する。この新しい速度制限により、湖水地方での高速モーターボートと水上スキーは事実上禁止されることになる(湖水地方の16の大きな湖のうち、ウィンダーメア、コニストン湖、ダーウェント湖及びアルスウォーターは公的な航行の権利がある。後ろの3つは1970年代から1980年代に速度制限が定められた)。
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