問題・批評
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 14:01 UTC 版)
自己啓発セミナー会社に人間関係や悩みなど深刻で詳しいプロフィールを入手されてしまう、トレーナーの目に見えない強制力で大勢の前で悩みや秘密を告白させられる、独特の用語で都合のよい解釈が行われる、効果が一時的、一時の体験・一時的な効果に依存し受講を繰り返し大金を使ってしまう、料金が高額、身近な人が勧誘によって離れていき生活が壊れる、あらかじめ決められた方向に誘導されるため自己啓発と言いながら自分らしさや個性・主体性は生まれない、指導者が依頼者の問題を勝手に決めている、対人関係を人生の目的として重視しすぎているなどの批判がある。自己啓発セミナー後の精神の問題を治療した医師は「症状としては、鬱状態が続く、いつも不安で涙ばかり出てくる、セミナー内での体験と現実の区別がつかなくなる」などの症状があると語っている。 元統一教会信者でカルト啓蒙活動家・心理療法士のスティーブン・ハッサンは、「私がカウンセリングをした何人かの元メンバーの経験によると、エストの集中的なプログラムは、私がカルトの特徴として挙げたいくつかの特徴を示している。多くの『エスト』経験者がトレーニングの好ましい効果を報告している一方で、ほかの人々はその危険性—精神障害を含めて—を警告している。」と語っている ロバート・キャロルは、自己啓発セミナーに参加する人は普通の健康な成人とは限らず、多くが悩みを抱えているため、受講後に状態が良くなった場合も悪くなった場合も、実際はいい効果も悪い効果もなく、たまたまセミナー受講と時間的に前後して症状が改善・悪化しただけの可能性、因果関係の誤認の可能性もあると述べている。引き寄せの法則(積極思考)を誇らしげに主張している場合、その自己啓発セミナーが無駄である可能性は高いと述べている。またキャロルは、トレーナーは指導者であると同時に営業であり、参加者がより多くのサービスを購入するよう勧誘することが仕事の多くを占めていると述べている。キャロルによると、受講者の周囲の人間への熱狂的な勧誘は、洗脳のようだ、ブレイクスルーどころかブレイクダウン(故障)ではないかと言われることもある。 自己啓発セミナーは、顧客がセミナーを受けてより幸せになった事例をピックアップして紹介し広告に使うが、こうした「お客様の声」は自己啓発セミナーの効果の検証にはならない。 自己啓発セミナーの勧誘は宗教の勧誘に似ており、近年宗教にいかがわしいイメージを持つ人が多いことから、自己啓発セミナーがうさん臭く思われる一因になっている。受講者はセミナーの第3段階で勧誘をさせられるが、これに対しては昔から批判が大きかった。 小池靖は、自己啓発セミナーの他者観は極めて功利的で、一時的で匿名的な他者の存在やフィードバック、親切、暖かさを利用し、「『聖なる自己』というフィクションに基づいた束の間の愛の共同体」で自己肯定観を得て、自己セラピー達成を目指している面もあると述べている。 「自分が源泉」という信念を説く自己啓発セミナーには、病気も自分次第としてセミナー中に治療薬を飲むことを禁止したものがあり、死者が出て裁判になっている。 バブル経済のピークの頃から、セミナーの手法や勧誘を巡るトラブル、加えて催眠商法との関係がマスコミ報道で扱われるようになり、1994年にはST(センシティビティ・トレーニング)のときと同様、自己啓発セミナーでも受講中に自殺事件があったことを週刊アサヒ芸能が報道した。また、2001年と2010年には受講中の死亡事故が起きたことが報じられている。[要出典]2010年の事故では、昏倒した受講者をしばらく放置したとして、死亡した受講者の家族が、セミナーの経営者ならびにタイアップしていたマルチ商法の関係者を刑事告発した。 2013年には、ノジマの子会社ビジネスグランドワークスがゼリア新薬工業から請け負って実施した新人研修「意識行動改革研修」の後、22歳の新入社員が自殺し、2015年に労災の認定を受けている。研修は軍隊のような雰囲気で、トレーナーはきつい口調で大声で話し、暴言もあり、研修生にいじめなどの過去の悩みを告白するよう強く求めるといった内容だったという。両親は2017年に、ゼリア新薬工業、ビジネスグランドワークス、その講師に対し、安全配慮義務違反や不法行為に基づく損害賠償、約1億円を求める訴訟を起こした。
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