各条の内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 09:46 UTC 版)
全文は17条からなる。1条から12条が皇室および公家が厳守すべき諸規定、13条以下が僧の官位についての諸規定となっている。原本は万治4年1月15日(1661年2月14日)の御所火災で焼失し、その後副本を元にして復元された。また、公家などの写本もいくつも存在するものの、現存する本によって細かい語句などで違いがある。 法条主な内容原文・現代語訳第1条天皇の主務 一 天子諸藝能之事、第一御學問也。不學則不明古道、而能政致太平者末之有也。貞觀政要明文也。寛平遺誡、雖不窮經史、可誦習群書治要云々。和歌自光孝天皇未絶、雖爲綺語、我國習俗也。不可棄置云々。所載禁秘抄御習學専要候事。(天子が修めるべきものの第一は学問である。以下略。) 第2条三公(太政大臣、左大臣、右大臣)の座次 一 三公之下親王。(以下略)(現役の三公の席次は、親王より上である。) 第3条清華家の大臣辞任後の座次 一 淸花之大臣、辭表之後座位、可爲諸親王之次座事。(辞任後の三公の席次は、親王より下である。) 第4条摂関の任免 一 雖爲攝家、無其器用者、不可被任三公攝關。況其外乎。(摂関家の生まれであっても、才能のない者が三公(太政大臣、左大臣、右大臣)・摂政・関白に任命されることがあってはならない。ましてや、摂関家以外の者の任官など論外である。) 第5条一 器用之御仁躰、雖被及老年、三公攝關不可有辭表。但雖有辭表、可有再任事。(能力のある三公・摂政・関白が高齢だといえども辞めてはならない。ただし、辞任したとしても、再任は有るべきである。) 第6条養子 一 養子者連綿。但、可被用同姓。女縁其家家督相續、古今一切無之事。 第7条武家官位 一 武家之官位者、可爲公家當官之外事。(武家の官位は、公家の官位とは別のものとする 。) 第8条改元 一 改元、漢朝年號之内、以吉例可相定。但、重而於習禮相熟者、可爲本朝光規之作法事。(改元は、中国の年号から良いものを選ぶべきである。ただし、今後(担当者が)習礼を重ねて相熟むようになれば、日本の先例によるべきである。) 第9条天子以下諸臣の衣服 一 天子禮服、大袖、小袖、裳、御紋十二象(以下略) 第10条諸家昇進の次第 一 諸家昇進之次第、其家々守舊例可申上。(以下略) 第11条関白や武家伝奏などの申渡違背者への罰則 一 關白、傳奏、并奉行職事等申渡儀、堂上地下輩、於相背者、可爲流罪事。(関白・武家伝奏・奉行職が申し渡した命令に堂上家・地下家の公家が従わないことがあれば流罪にするべきである。) 第12条罪の軽重の名例律准拠 一 罪輕重可被守名例律事。 第13条摂家門跡の座次 一 攝家門跡者、可爲親王門跡之次座。(以下略) 第14条僧正、門跡、院家の任命叙任 一 僧正大、正、權、門跡院家可守先例。至平民者、器用卓抜之仁希有雖任之、可爲准僧正也。但、國王大臣之師範者各別事。 第15条一 門跡者、僧都大、正、少、法印任叙之事。院家者、僧都大、正、少、權、律師法印法眼、任先例任叙勿論。但、平人者、本寺推擧之上、猶以相選器用、可申沙汰事。 第16条紫衣の寺住持職 一 紫衣之寺住持職、先規希有之事也。近年猥勅許之事、且亂臈次、且汚官寺、甚不可然。於向後者、撰其器用、戒臈相積、有智者聞者、入院之儀可有申沙汰事。(紫衣を許される住職は以前は少なかった。しかし、近年はみだりに勅許が行われて(紫衣の)席次を乱しており、ひいては寺院の名を汚すこととなり、大変よろしくない。今後は(当人の能力をもって)紫衣を与えるべきかどうかを良く選別し、その住職が紫衣を与えるに相応しい住職であることを確かめた上で、紫衣を与えるべきである。) 第17条 上人号 一 上人號之事、碩學之輩者、本寺撰正權之差別於申上者、可被成勅許。但、其仁躰、佛法修行及廿箇年者可爲正、年序未滿者、可爲權。猥競望之儀於有之者、可被行流罪事。 末文、作成年月日、署名花押 右可被相守此旨者也。(このむねをあいまもらるべきものなり)慶長廿年乙卯七月日(慶長20年7月)昭 實(花押)秀 忠(花押)家 康(花押)
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