主な調査成果
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全体の集落構造は、部分的な調査のために不明である。中期の住居跡には複式炉、後期初頭の住居跡には地床炉が設けられている。第6号住居跡には横位の炉埋設土器を伴っている。複式炉の祖形と見られる石囲炉を伴う中期中葉大木8b式の集落は小梁川遺跡で発見されており、その後継集落と見られている。 遺物包含層および遺構出土土器から中期後葉の大木9式~後期初頭までが出土している。特に南側遺物包含層では大木9式から大木10式への連続的な変遷が確かめられた。西側遺物包含層は流れた状態で必ずしも良好な状態ではなく、西側基本層位第II層として取り上げられた。同層および第7・8号住居跡と第11号住居跡(敷石遺構)からは称名寺式・三十稲葉式土器を含む後期初頭土器が発見された。 大梁川遺跡の深鉢形土器には、大型・中型・小型の別がある。大型品は平縁にタガ状隆帯や沈線文をめぐらせただけの簡素な作りとなっている。中型品も多くは平縁で口縁部が外反するもののほかに、内湾するものがある。小型品は4単位・2単位の波状口縁はじめ、種々の器形から構成されている。いずれの深鉢形土器も、底径は概して小さく、煮沸に適した火回りに配慮した器形となっている。 浅鉢には、注口の施された土器があり、大木9式の古い段階では円孔のみ、大木9式後半以降は筒状の注口部が付されている。これらの土器は被熱の痕跡が明瞭で、内外ともにおびただしい炭化物が付着し、カユ状食品の調理に用いられたものと考えられた。 このほかにも器台・蓋・吊手土器・袖珍土器・異形土器など多様な土器を伴い、縄文時代中期末葉の土器の器種分化を明瞭に示している。上面楕円形でふたつの注口を持つ浅鉢や6単位の波状口縁の鉢、2個1対の把手のつく3個1組のごく小型の赤彩浅鉢(小皿)は他遺跡には全く類例のない貴重なものである。 土偶は59点出土し、すべて破損品で完全な形のものはない。頭部には目鼻口の顔面表現が施され、乳房や腹・臀部はやや簡略化した表現となっている。脚部は椀状をなし、直立する姿勢の立像形である。大型の中空土偶を伴う。 石器石材については珪質頁岩と非珪質頁岩の比率は各器種で変化が大きく、特に最上川産と見られる良質の珪質頁岩は縦長剥片素材のスクレイパーや石匙に多く、石核には少ない。少数ながら石鏃には中茎の付いた有茎石鏃が出現している。このほか垂飾品等の装身具が14点出土している。
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主な調査成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 18:07 UTC 版)
金井東裏遺跡では、表土の下にHr-FA層とHr-FP層が合わせて2メートル以上堆積しており、その下に古墳時代の集落の遺構が広がっていた。 このなかで注目されたのは、第4区の31号溝と命名された、Hr-FA層が内部に堆積した溝状遺構の中に倒れていた「甲を着た古墳人」の発見である。2012年(平成24年)11月19日に発見された。古墳時代の遺跡から、小札甲を纏った状態での人骨の出土は、全国初の事例であった。「甲を着た古墳人」の傍らでは、この人物が所持していた刀子・砥石や衝角付冑・別の甲(2号甲)・鉄鏃(20本)・鉄矛が見つかった。また、首飾りを着けた女性人骨1体(「首飾りの古墳人」)、幼児骨1体、乳児頭骨1も見つかり、複数の人的被害が出ていたことが裏付けられている。また同区内では、大量の土師器・須恵器・玉類が集積された祭祀遺構や、竪穴住居、当時の足跡の残る道などが検出された。 「甲を着た古墳人」の所持していた矛や鉄鏃には、鹿角(ろっかく:シカの角)製の装具が残っていた。鹿角製の装具を伴う矛の出土例は、熊本県宇城市の国越古墳出土例・福岡県行橋市の稲童21号墳出土例があり、鉄鏃では大阪府羽曳野市の峯ヶ塚古墳出土例があるが、極めて少ないうえ、当時古墳人が1度に装備していた矢の全てに鹿角装が付けられていた事例は、本遺跡が初であった。また、古墳人の近くから発見された2号甲には、鹿角製の小札が使用されていた。骨を使用した甲は、大韓民国の夢村土城で類例があるが、日本国内の、また鹿角を利用した小札甲は初の発見例となった。 4区北隣の9区からは、火砕流に押し潰された平地建物のほか、竪穴住居、畑(畝)、馬具(剣菱形杏葉)、ベンガラを丸めた「赤玉」、同時代中期後半(5世紀後半)に築造された円墳2基などが発見された。
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