主な石器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/26 14:45 UTC 版)
石刃、ブレード (blade) 後期旧石器時代に特徴的な石器の素材。石核から大量の石刃を創り出し、これを加工して石器にする。日本では後期旧石器時代の最終末期に沖縄を除き日本列島全域に広がった細石刃がある。 石核石器 (core tool) 素材となる石(母岩)を打ち割り、形を整え、刃をつけた石器 剥片石器 (flake tool) 母岩から破片(剥片)を割り取り(剝離)、剥片の形を整え、割れ目を刃に利用した石器 礫器 (pebble tool) 最も原始的な石器の一つである。チョッパー (chopper) 礫の一部に片面から数回の打撃によって打ち欠いて刃をつけた石器。片刃の礫器とも呼ばれる。刃の断面の角度は20° - 30°くらいが多い。 チョッピング・トゥール (chopping tool) 礫の一部に両面から交互に打撃を加えて、表面を剥離させジグザグ状の刃をつけた石器。 握斧、握槌、ハンド・アックス (hand axe) 礫の全体を両面から打ち欠いて刃をつけた石器。上端が尖る形状が多く、舌状、フィクロン形、槍先形あるいはミコク形、卵形、心臓形、アーモンド形などと呼称される場合がある。 尖頭器 (point) 先端を鋭く尖らせた石器。槍先に付けたと考えられる。細長く鋭く尖る形のものが典型的だが、それ以外にも多くの種類の尖頭器がある。石槍とも言う。斜軸尖頭器という種類は、狩猟用の槍先とされ、中期旧石器時代(約12万、13万年前 - 約3万年前、旧人の時代)の指標である。岩手県宮守村(現在の遠野市)の金取遺跡から出土している。 削器、スクレーパー (scraper) F.ボルドによると剥片の先端部分を打ち欠いて刃をつけた石器。掻器、端削器、エンド・スクレーパー (end scraper) 削器、側削器、サイド・スクレーパー (side scraper) 彫器、刻器、グレーバー、ビュラン (graver, フランス語: burin) バックド=ブレード (backed blade) 石錐 錐状に尖らせた石器。皮革などに穴をあけるために使用したと思われる。 石錘 漁網や釣り糸の下部に付けておもりとして使用した石器。織物を張る際にも使用したと考えられる。 ナイフ形石器 (knife blade) 石刃から創り出した石器の一種。東アジアの他の地域には見られない日本独自の石器である。後期旧石器時代の中盤から後半にかけて発達した。地方によって様々な型式が見られる ノッチ、抉入石器 (notched tool) 尖頭器 木葉形で東日本を中心に発達した。ナイフ形石器に後続する主要石器である。 細石器 (microlith) 石匙 携帯に便利なように工夫された、日本の石器。 石斧 英米では刃が柄と平行なものを平行刃斧 axe(ax), hatchet、刃が柄と直交しているものを直交刃斧 adze(adz) と呼ぶ。後者は比較的小型軽量で、片手で使えるものを指すことが多い。 局部磨製石斧 石篦 石鏃 石銛 磨石 凹石 石皿 台形様石器 後期旧石器時代の初め頃に出現する打製石器。九州から北海道まで広範囲に分布する。台形状または長方形状に仕上げた小型の剥片石器。柄を付けて付けて刺突具または切削器に使用したと推定される。台形様石器の一部はペン先形をしており、槍先として使用されたものと推定されている。 石棒 男性器を石で象った推測されるもので、女性を表現したとみられる土偶と対照的なもので、祭祀のための縄文時代の遺物である。その出現は前期初頭である。中期になって類例が増える。出土範囲は、中部高地を中心に関東地方西部から北陸地方までである。造形は、出現時には小さな川原石を細長く整形したものであったが、中期になると頭部に鍔(つば)を巡らせ、その上下に円や三角形の文様を彫り込むものが出現している。この時期に長さが1メートルを超えるものも出現している。その背景として、縄文社会の祭祀が集団化し、集落から地域へと大規模化していったことが考えられる。 石冠 冠に似ている石製品。縄文時代前期の北海道の物と、中部地方西部を中心に近畿地方や東北地方に分布する縄文時代晩期の物がある。石冠を模した土器が東北地方から出土している。 岩偶 石偶ともいう。石製の人形で、土偶と同じように信仰と関係があるものと考えられている。
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