ルノースポールとは? わかりやすく解説

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ルノー・スポール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/19 18:47 UTC 版)

ルノー・スポール
種類 自動車
所持会社 ルノー
使用開始 1976年
使用終了 2021年
ウェブサイト https://renaultgroup.com/
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ルノー・スポール(Renault Sport)は、フランス自動車会社、ルノー内にかつて存在したスポーツモデルの開発とモータースポーツ運営組織である。

設立の経緯

クリオ・ルノー・スポール V6

ルノーは会社発足以降、1900年代から技術の向上を目的にモータースポーツへの参加を積極的に行っており、第二次世界大戦後もアルピーヌゴルディーニなどのチューナーを通じてル・マン24時間レースラリーなどに積極的に参戦していた。

しかしながら独立したモータースポーツ専門部署を持たなかったルノーは、1969年にゴルディーニを買収。1973年にはアルピーヌも買収し、事実上のモータースポーツ部門として同社で競技車両を生産した。1976年にはアルピーヌの本社のあるフランス・ディエップルノー・スポールを設立し、これにゴルディーニを統合した。アルピーヌは存続し、ルノー・スポールの一部の車両の開発を担った。

その後はモータースポーツで培った技術を市販車にフィードバックさせ、エンジンサスペンショントランスミッションなどを独自にチューンした「ルノー・スポール」バージョンを製作する一方、ウインドの開発も担当している。また一部車種の「GT」グレードの足回りも、ルノー・スポールが開発を行っている。

2021年5月1日をもって「アルピーヌ」ブランドと統合され[1]、ルノーにおけるモータースポーツ部門は「アルピーヌ」ブランドに一本化されることになり、「ルノー・スポール」の名称は消滅した。

レース活動

ルノーF1チームのピット(2005年)

F1やル・マン24時間レースなどの耐久レースラリーなど様々なカテゴリーで常にトップクラスの活躍を繰り広げ、2005年2006年には2年連続でF1のコンストラクターズタイトルを獲得するなど、様々なカテゴリーで数々のタイトルを獲得した。

ルノーF1チーム

2005年と2006年にF1のタイトルを獲得したルノーF1チームは旧ベネトン・フォーミュラを買収して社名変更した法人であり、ルノー・スポールとは同じルノー・グループ内であるが別法人である。

フォーミュラカーレース

フォーミュラ・ルノーのF4Rエンジン
ルノー・e.Dams(2016年)

フォーミュラカーについてはF1以外にも、初級フォーミュラの「フォーミュラ・ルノー」や、中級フォーミュラの「フォーミュラ・ルノー3.5」(2005年フォーミュラ・ルノーV6・ユーロカップワールドシリーズ・バイ・ニッサンが統合され発足)を各国で展開していた。古くからF3へのエンジン供給による参戦も続けている他、F1の次に位置するカテゴリーであったGP2にもエンジン供給を行うなど(実際の供給業務はメカクロームに委託)、ヨーロッパのモータースポーツにとって欠かせない存在となっていた。しかしF1がスーパーライセンス取得条件にポイント制度を導入すると、国際自動車連盟(FIA)の直系ではない一連のフォーミュラ・ルノーシリーズは力を失い、ルノーは下位フォーミュラから撤退した。

2014年からはDAMSとの提携でフォーミュラEに初年度から参戦。第一期のワンメイクシャシーのSRT 01Eにはダラーラとともにルノーの名が冠されていた。ルノーは第一期~第三期のチームタイトルを3連覇し、第二期にはセバスチャン・ブエミがドライバーズチャンピオンにもなっている。第五期にはルノー傘下の日産と入れ替わる形で撤退しているが、ノウハウや技術の大部分を引き継いでいる。

耐久レース

1978年のル・マン24時間で総合優勝したアルピーヌ・ルノーA442B

1950年代からアルピーヌやゴルディーニなどのチューナーを通じ、4CV、A110やA210、A441などでル・マン24時間レースに参戦し、数回クラス優勝していたが、1978年のル・マン24時間レースにターボエンジンを採用したグループ6仕様の、アルピーヌ・ルノー A442B(ディディエ・ピローニ/ジャン-ピエール・ジョッソー組)で、ポルシェ・935936などの並み居るライバルを破り、念願の総合優勝を飾った。目的を果たしたルノーはこの年限りでF1に注力するために撤退した。

その後もル・マン24時間レースなどの耐久レースには、エンジンの供給やプライベートチームの参戦のサポートにより散発的に参戦している。近年はフランスのシグナチュール・チームを支援して『シグナテック・アルピーヌ』としてLMP2クラスにエントリーし、2016年の世界耐久選手権と、ル・マン24時間でクラス優勝を果たした。

ラリー

ルノー・クリオ ウィリアムズ
ルノー・クリオR3T

1950年ラリー・モンテカルロでの4CVのクラス優勝以降、1960年代後半から1970年代前半にかけて、ルノー8をベースにアルピーヌが製作したアルピーヌ・ルノーA110や、ゴルディーニが手を加えたルノー8・ゴルディーニが世界中のラリーで活躍した。特に1971年のラリー・モンテカルロでは、前人未到の1-2-3フィニッシュを達成した。その後も1970年代後半から1980年代中盤にかけて、「フランスの英雄」とまで言われた伝説的ドライバー・ジャン・ラニョッティがドライブする5ターボが数回優勝を飾る活躍を見せたが、タイトル獲得には至らなかった。

その後空白期間を経て、F2キットカーでフランス国内でプジョーと死闘を繰り広げた。同時期にWRC併催の2.0Lカップでは最終年にチャンピオンを獲得。

00年代に入ってジュニアラリー世界選手権(JWRC)にスーパー1600規定のクリオを供給し、2度チャンピオンマシンとなった。2013年にはERC(ヨーロッパ・ラリー選手権)に前輪駆動ながらグループN4ルノー・メガーヌ RSで、同選手権のプロダクションカップに参戦した。グループRally規定のクリオも2022年現在まで開発・販売を続けており、ワークス参戦こそ無いが、常にラリーへの関わりを持とうという意志が感じられる活動を続けている。

ラリーレイド

ダカール・ラリーでは2013〜2018年に、ダスター(地域によってはダチアブランドでの販売)によりプロトタイプ規定のグループT1車両で参戦したが、良い結果は残せなかった。

ルノーはプライベーターによってダカールの四輪総合優勝やクロスカントリーラリー・ワールドカップのタイトル獲得を果たしたことはある(ルノー・20 4x4のマロー兄弟や、1997〜2002年にルノーが支援した「シュレッサーバギー」)が、ルノー・スポールとしては優勝経験はない。

ツーリングカーレース

1990年代のスーパーツーリングでは、F1で当時関わりのあったウィリアムズと共同開発したラグナを投入。1995年にBTCCのマニュファクチャラーズタイトル、1997年にドライバー・マニュファクチャラーの2冠を達成。特に1997年は24戦12勝という強さだった。

TCRではルノーの支援を受けたブコビッチ・モータースポーツがメガーヌRSで同規定車両を開発し、TCRドイツに参戦している[2]

5ターボやクリオ、メガーヌなどの市販モデルをベースにしたレーシングマシンによるワンメイクレースを古くから行っており、ルノー・スポールの主催で、ヨーロッパ各地で1990年代後半にはスパイダー(レーシング仕様)による「スパイダートロフィー」を、2005年からはメガーヌをベースにしたミッドシップマシンによるワンメイクレース「メガーヌ・トロフィー」を開催してきた。2015年からは専用マシンのR.S.01によるワンメイクレース「ルノー・スポール・トロフィー」を開催していたが、2016年を最後にこれらのワンメイクレースは廃止された。

若手ドライバー育成

新人の登竜門 フォーミュラ・ルノー

古くから若手レーシングドライバーの育成に力を入れており、ルノーの後援を得てその後F1にキャリアアップしていったドライバーは、元F1ワールドチャンピオンのアラン・プロストルネ・アルヌーなど数多い。

また2002年には、新たに「RDD(ルノー・ドライバーズ・ディベロップメント)」という育成プログラムを発足させ、フォーミュラ・ルノーやF3などへの参戦支援などを通じて、より充実した体制で若手レーシングドライバーの発掘と育成を行っており高い評価を得た。

市販車

ルノー・メガーヌ・RS
ルノー・クリオ・RS

「ルノー・スポール」バージョン

モータースポーツで培った高い技術を市販車にフィードバックさせ、エンジンサスペンショントランスミッションなどを独自にチューンした「ルノー・スポール」バージョン(R.S.)を、本社所在地のディエップ工場で製作していた。また、ウインド、メガーヌのエステートGT/エステートGT220においてはルノー・スポールの名こそ冠されないが、開発初期の段階から深く携わっている。ルノースポール開発の車両には、イニシャルのR.S.がつく。

スクーター

2001年頃にはスクーター業界にも参入し、ベネリとのOEM提携により、三輪のルノー・ユベロ、二輪のルノー・キャンパスルノー・フルタイムルノー・クラノスルノー・スペシメンを販売したが、2003年に販売したルノー・グルーミーを最後にベネリとのOEMを解消し、スクーターから撤退した。

脚注

  1. ^ ルノー「ルノー・スポール」が「アルピーヌ」にブランド名を変更”. carview! (2021年5月12日). 2021年5月12日閲覧。
  2. ^ TCRドイツ:2台のルノー・メガーヌTCRが参戦へ。2018年も全7戦を予定 As-web 2018年1月10日

関連項目

外部リンク


ルノー・スポール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:55 UTC 版)

ルノー・メガーヌ」の記事における「ルノー・スポール」の解説

2004年追加された。ルノーモータースポーツ部門であるルノー・スポールが開発手掛ける同社のイメージリーダーとしての役割を担う高性能モデルで、通称RS”。かつてのアルピーヌ同じくスポーツモデルレース車両専門ディエップ工場生産されるエンジンは、最高出力224 ps @ 5,500 rpm最大トルク30.6 kg·m @ 3,000 rpm2.0 Lツインスクロールターボ搭載する大きな開口部のフロントパンパーとリアスポイラー装着大幅に向上した出力に対応されるため、シャシーサスペンション強化サスペンションジオメトリー変更など、各部スポーツ走行適したものに改良されている。フロントサスペンションにはトルクステア抑制目的としたDASSが備わる。ブレーキブレンボ製で、フロントは4ポットキャリパーを採用路面状況により異なるが、100 km/hから制動掛けて10連続停止した距離は36m以下とされている。日本仕様は、左ハンドル3ドア右ハンドルの5ドアハッチバック+6速MTで、タイヤサイズ乗り心地考慮して225/40R18→225/45R17に変更された。 2008年発表されたR26.Rは、RSトロフィー、F1 TEAM R26に続く進化モデルで、末尾のRはRADICALE (ラジカル: 究極) を意味するエンジン230 ps/31.6 kg·mのままだが、後席を除去し2シーター化、リアクオーターウィンドウとリアウィンドウ軽量ポリカーボネイトウィンドウに変更カーボン製のボンネットやフルバケットシートの採用などで123 kgもの軽量化果たしドイツニュルブルクリンクFF市販車最速となる8分17秒の記録作ったイギリスフランススイススペインドイツの5か国で販売された。450台の限定生産

※この「ルノー・スポール」の解説は、「ルノー・メガーヌ」の解説の一部です。
「ルノー・スポール」を含む「ルノー・メガーヌ」の記事については、「ルノー・メガーヌ」の概要を参照ください。

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