ライセンス停止・取消、戒告処分
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「日本ボクシングコミッション事件」の記事における「ライセンス停止・取消、戒告処分」の解説
上述の通り、選手D1が関わったとしてJBCが主張した新団体設立の経緯は『週刊朝日』8月17–24日合併号(2012年8月7日発売)によってD1が関わる部分を全面的に否定された。その約4か月後の2012年12月16日、大沢宏晋は韓国へ遠征し、インドネシアのジェイソン・バター・バターとのフェザー級10回戦に勝利した。JBCに提出した海外遠征届には「ノンタイトル10回戦」と記されていた。現地では「タイトルマッチ」としてテレビ中継され、計量では両者がWBOのチャンピオンベルトを持って向き合う場面があった。この試合については試合開催地のKBC(韓国ボクシング委員会)がJBCに対して「ノンタイトル12回戦」と報告しており、JBCもこれに従って「ノンタイトル12回戦」として記録しているが、JBCは大沢や関係者から事情を聴取した上で後述の処分を下した。 しかし、「ボクシング・マガジン取材班」が「もっとも問題視すべき」としているのはこれに先立って2012年4月30日に大阪で行われた大沢のOPBF東洋太平洋フェザー級王座の2度めの防衛戦であり、これはA3の懲戒解雇理由にも挙げられていた。挑戦者はインドネシアのロバート・コパ・パルエ。当時OPBF同級7位でWBOアジアパシフィック同級暫定王者だった選手である。当初の契約書にはダブルタイトル戦と記されていたため、JBCは当時認可していなかったWBOアジアパシフィック王座を契約から削除することを求めていたが、この試合に大沢が勝利した後、控室にWBOアジアパシフィック代表のレオン・パノンチロ・ジュニアが現れ、大沢にWBOのチャンピオンベルトを渡した。同取材班は『ボクシング・マガジン』2013年3月号で、チャンピオンベルト授受の場面を次のように記している。 このときの控室には、昨年6月16日付で新コミッション設立に関わった背任行為によってJBCを懲戒解雇になる関西事務局の男性職員[A3]と、同じ背任行為に関わった[略]マッチメーカーの男性[C1]がいた。[略]元JBC職員らによる背任問題とからんでいれば、大沢陣営の非はさらに大きくなるが、現段階で陣営は「マッチメーカーの男性[C1]は知らないし、元JBC職員[A3]の背任問題も聞いたことはない。試合後にベルトを渡されることも事前には聞いていなかった」としている。逆に4月の“戴冠”の経緯次第では、今回の処分を根本的に見直すべきかもしれない。 いずれにせよ、韓国でもパノンチロ氏がリングに上がっており、JBCは不可解なタイトル管理と背景についてWBOへの調査を早急に始めるべきである。承認に踏み切るのは、すべての問題がクリアになってからでも遅くはない。 — ボクシング・マガジン取材班、「大沢宏晋に東洋太平洋王座剥奪、ライセンス1年間停止処分」 引用文中、「新コミッション設立に関わった背任行為」以下、「背任」の文字が繰り返されるが、上述の通り、一連の日本ボクシングコミッション事件においては新団体設立とみられた動きについて「背任」の表現は使用されず、東京地裁および東京高裁の判断においては新団体設立の企図自体が否定されている(「新団体設立企図の有無」参照)。 JBCは、大沢が自身の持つOPBF東洋太平洋フェザー級王座の防衛戦に当時未公認のWBOの王座(WBOアジアパシフィック同級暫定王座)が懸けられていることを知りながら試合に出場したとして、この行為を「ボクシング界の秩序を著しく乱す行為」と判断の上、2012年12月16日から1年間のライセンス停止処分を下した。しかし、この試合にWBOの役員が来場することは、大沢陣営が事前にB10ら職員に伝えていた。陣営は保持していたOPBF王座の返上届を提出したが、JBCはこの王座を2012年12月16日付で剥奪した。大沢が当時所属していた大星ボクシングジムのマネージャー(大沢の父親)は「処分は尊重するが、ボクサーに罪はない。少しでもライセンス停止の期間を短くできないものか」と訴えたが聞き入れられなかった。JBCは同マネージャーが未公認王座の懸けられた試合と知りながら大沢をこの試合に出場させたとし、また海外遠征届に「ノンタイトル10回戦」と虚偽を記載してJBCに提出したとして、「悪質な隠蔽工作」「ボクシング界の秩序を著しく乱す行為」と判断した上で、セコンドとともにライセンスの取消処分を下した。JBCはさらにクラブオーナーに対しても監督責任を負うべきものとして戒告処分を下した。大沢陣営は「ボクシング・マガジン取材班」の取材に対し、「WBO王者とか、防衛戦という認識はなかった。試合は地元テレビ局の主導で行われ、ベルトも韓国のコミッション事務局にあったものを持たされただけ。しかし、テレビの映像を見ればタイトル戦とされても仕方がない」と説明している。大沢は2013年12月17日付でライセンスを再交付されたが、この処分による戦線離脱でWBC世界フェザー級13位のランクを失い、ジム関係者が処分を受けたことで移籍を余儀なくされた。 JBC非公認時代の日本人選手によるWBOアジアパシフィック王座挑戦と処分対象となった大沢の試合の比較年選手ライセンス発給国試合開催地JBCの届出受理状況王座の扱い2008年 木村隼人 韓国 韓国 必要なし 王座獲得(暫定王座) 2007年 宮城竜太 日本 (JBC) フィリピン ノンタイトル海外遠征として対戦を容認 勝利の場合も王座保持は認めない 2010年 脇本雅行 タイ 2012年 大沢宏晋 韓国 ノンタイトル10回戦の届出を容認 勝利後、控室でチャンピオンベルトを渡される ※『ボクシング・マガジン』2013年3月号は、JBCが非公認タイトルについて勝利の場合も王座保持は認めないのは、世界タイトル、地域タイトルを問わず、宮城・脇本の例と同様であると説明している。WBOアジアパシフィック王座は2016年9月から認可された(「王座認定団体への加盟状況」も参照)。
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