ボクサーとしての能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 23:51 UTC 版)
国内屈指のパンチ力を誇る生粋のインファイター。初めてサンドバッグを素手で殴った際に衝撃で自らの拳を負傷するなど、既に凄まじいパンチ力が備わっていた。ピーカブースタイルで防御を固めて頭を振りながら、並外れたダッシュ力を用い、被弾せずに一瞬で相手との距離を詰め、至近距離から強打を打ち込む戦法を基本線とする。破壊力と資質は伊達英二やリカルド・マルチネス、アルフレド・ゴンザレスにも一目置かれ、サンドバッグを宙に跳ね上げ、スパーリングでウェルター級の選手を沈めるほど高く、勝った試合のKO率は100%を記録している。当初は誰からも注目をされない無名でありながら連戦連勝を重ね、全日本新人王に輝くなどから当時の日本王者である伊達からも「飛ぶ鳥を落とす勢い」と認められた。インファイターで華麗なテクニックなどはないため女性ファンはあまり目立たないが、倒し合いの末の逆転KOなど派手でスリリングな試合を展開することが多いことや本人の謙虚で大人しい親孝行な性格から、国内ではサラリーマンや学生などの男性を中心にトップクラスの人気があり、暴風のような連打になぞらえて「風神」の異名を取っている。自動販売機やカラオケ店の看板を一撃で破壊し、川原の土手に刺さっている杭をさらに奥まで打ち込めることをやってのけている。 フェザー級が適正体重で、鴨川会長もフェザー級で戦うことが望ましいとしている。減量を始める前の体重は57.3kgで、試合時の体重は56㎏。身長164cmと同階級としてはやや小柄な体格をしているが、相手の懐に潜り込みやすく連打の回転も速い。また全てのパンチがやや下方向から繰り出され、相手の頭部に与えるダメージはさらに大きくなる。序盤から終了まで全く変わらないペースで動き続けられるスタミナも誇る。 器用さとリズム感に欠けるためアウトボクシングが出来ず、正面からぶつかってゆく戦法を取らざるを得ない。動物的な勘や閃きにも欠け、サウスポーを筆頭とする練習で対策を立てることのできない変則スタイルへの対応を苦手としており、ボクサーとしての穴が多い「チーズチャンピオン」と呼ばれていた。しかしアウトボクサーとの度重なる対戦経験から、やがて優れた洞察力と効果的な対アウトボクサー戦法を身に着け、足を使う選手や変則派にも十分な力を発揮できるようになった。唐沢拓三戦ではフットワークのみでコーナーに追い詰め、コーナー脱出のための定石である左フックをカウンターで狙い打ってKOするなど、ボクサータイプの選手が戦慄する試合を展開している。試合中には鴨川会長のアドバイスなどから、その状況に応じた効果的な戦法を選択する場面もしばしば見られる。 幼い頃から釣り客の荷物を運び船の舳先に立って釣り場への案内を行っていたことから、基礎体力、腕力、握力、バランス感覚が鍛えられている。肉体の頑健さと回復力も並み外れている(派手な打撃戦を展開し、時に新型デンプシー・ロールのために膝や腰を負傷、普段の練習も普通の選手ならオーバーワークになるほど過酷)。 下半身の強さからどの体勢でも機敏かつパンチ力も発揮できるのも特徴のひとつ。 自分と戦う選手などが周囲から弱いと馬鹿にされていても、相手選手を立てたり長所を見つけるなど敬意を常に払っている。また、他の選手と異なりガウンなどを羽織ることはあまりない。 温厚かつ欲望や我に乏しい性格でスポーツマンの枠を破れず、またボクシングへの姿勢についても他人の求めるところに鈍感で愚直に過ぎ、それらが要因で世界ランクで勝てないと鷹村から苦言を呈されている。追い詰められなければ自分本来の実力を発揮できないと指摘され、先述のゴンザレス戦で負けたことで「今までは運がよかっただけで、お前がボクサーに向いていないことがわかった」という旨の言葉で断じられた。以前には伊達からも「お前の拳(覚悟)は軽い」と指摘されている。 彼と戦った者は前向きになる傾向があり、間柴やヴォルグや沢村はボクシングへの愛情に目覚め、千堂は世界攻略に邁進し、ジミーは正気に戻り、尾妻や小橋や山田や真田や島袋はボクシング以外の道を歩み、武は英坊と和解している。このことは千堂からは「活人の拳」と評されている。しかし、速水や小田のように落ちぶれたりゲドーのように最後の最後まで改心しなかったり小島のように恐怖で一歩との試合の記憶を失う者がいるなど例外も少なからずいる。
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