フロッピーディスクに使用されているもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:25 UTC 版)
「コピーガード」の記事における「フロッピーディスクに使用されているもの」の解説
NECのPC-8800シリーズからPC-9800シリーズが全盛のころ、ゲームディスクなどでコピーガードが採用されていた。ゲーム開発メーカーが独自にコピーガードを開発する場合もあれば、コピーガード開発メーカーやメディア複製会社がその業務の一部として開発する場合もあった。初期の頃はガードも緩く、ユーザーもコンピュータの知識のある人に限られていたことから、自前でガードを解除する人も居た。初期の頃に使われた代表的な方法としては以下のようなものがある。 トラックあたりのセクタ数やセクタサイズ、ギャップ長などを標準的でないものにする 故意にエラーセクタを挿入する 通常使える最終シリンダよりさらに後ろにあるトラック(オーバートラックと呼ぶ)に情報を記録する OSに付属するディスクコピーコマンドでは標準的なフォーマットのみがサポートされており、このような初期の頃のコピーガードでもコピーできなかった。そのため、コピーガード解除とそれをサポートする専用ソフトウェアが開発され、パソコンソフトの販売店の一部で販売されることとなった。当初のコピーガード解除ソフトのメーカーは、コピーガードもそのままコピーすることで複製するオートモードの強力さで競争を行っていたが、次第にガードはきつくなり、パソコンのフロッピーディスクドライブでは再現不可能なコピーガードが登場すると、個々のガードの性質に合わせたファイラーあるいはパラメータと呼ばれるサブプログラムを配布する形式へと変化していった。 日本では単一メーカーで開発製造されていたNEC PC-9800シリーズ(PC-98)がパソコンの主流であったことから、フロッピーディスクによるコピーガードが広く行われていた。上述の手法以外にも、不正コピーを防ぐため、PC-98版のポピュラスの例では、マニュアルに記載された特殊な記号と英数字を紐付けるリストを参照せねば、起動認証を通過できない仕組みが導入されたが、認証自体を行わないようにプログラム本体を改変する仕組みのコピーツール(ファイルマスターなど)が登場し、この方法も意味をなさなくなった。それと前後する時期に、日本ファルコムが、コピーツールが物理フォーマット自体を認識できないようディスク面に特殊な加工を施した新たなコピーガードを採用したが、それも京都メディア社が開発した自動周期計測制御システム(Cバス用拡張ボード)と、それを応用した玲於奈98(ハードウェア・デュプリケータ)によって突破された。玲於奈98の仕組みはあらゆるコピーガードに対して万能であり、この登場により、フロッピーディスクにおける不正コピーを防ぐことは、事実上不可能となった。 海外では最低限の互換性だけで成り立っているIBM PC/AT互換機が市場の大部分を占有しており、極めて高度な互換性の隙を利用していたコピーガードそのものが早い時期に成り立たなくなった。また、消費者意識の高さから正当なユーザーに不便を強いるコピーガードに批判が多く、ディスクメディアにコピーガードを施すことはあまり普及しなかった。また、当初ハードウェアの差異の垣根を外すことを目的としていたWindowsそのものもコピーガードとの相性が悪く、日本でもPC/AT互換機とWindowsの普及と共にフロッピーディスクへのコピーガードは減っていった。 最終的に、フロッピーディスクのコピーガードを解除するソフトウェアが改正不正競争防止法の施行により違法なものとなったが、フロッピーディスクそのものが市場全体から敬遠され始め、事実上終息した。 CD-Rドライブなどは大変高価(50万円前後)で、一般の消費者は入手しにくかった。このため、ゲームメーカーが、コピー防止のためCD-ROMなどを積極的に採用していたこともある。しかし1998年頃からのCD-Rドライブの急速な普及による価格低下により、価格によるコピー抑止は限られた時期だけのものとなった。 なお、ゲームディスクのコピーガードが作動した場合は最初から立ち上がらない、オープニング画面から進まない、途中で強制的にゲームオーバーになるなどの他に、ゲーム中にNPCからコピーしたことを指摘されたりコピー行為を非難される、敵に絶対にダメージを与えられずゲームが進まない等、開発者の遊び心と思えるようなものもある。
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