「電力戦」開戦とは? わかりやすく解説

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「電力戦」開戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 02:40 UTC 版)

東京電力 (1925-1928)」の記事における「「電力戦」開戦」の解説

1926年大正15年5月24日東京電力東京市郊外南葛飾郡南足立郡および北豊島郡南千住町における大口(一構内あたり50馬力以上)の電力供給許可された。この地域への参入は、東京方面への本格進出を図るためのものである当時上記地域東京府内でも有数工業地帯であり、大口需要比較密集して存在することから効率的な供給が可能で、その上紡績モスリンといった負荷の高い工場集中するため、東京電灯にとっても収益支え重要な地域であった実際に1926年上期時点における東京電灯同地域内電力供給契約は約45,000kWにのぼり、東京電灯全体電力需要の約13%に相当していた。東京電力がこの地域における電力供給許可申請したのは、前年8月時の加藤高明内閣憲政会単独内閣となってからで、許可与えた逓信大臣安達謙蔵である。東京電灯副社長若尾璋八立憲政友会総務であるなど立憲政友会系の会社目されていたことから、東京電灯の重要地域への東京電力参入許可したのは政友会対立する憲政会党略である、との指摘がある。 ともあれ南葛飾・南足立・北豊島3郡における大口電力供給獲得した東京電力は、供給体制整備着手金井発電所群馬県)から川崎へと至る既設11kV送電線群馬本線)の途中から支線分けて南葛飾郡松江町変電所設置し、さらに2次変電所を同郡大島町東京市本所区深川区の3か所に配置して群馬県下金井・渋川発電所からの電力上毛電力からの受電あわせた合計2万8,800kWをこの地域供給することとした。さらに渇水時の予備として35,000kWの出力備え火力発電所建設にも着手している。 実際供給始める前の1926年後半より、電力料金引き下げ文書による勧誘などを伴う需要家獲得競争東京電力東京電灯の間で開始された。東京電力では、以下の点を自社優位性として挙げて営業活動努めた。 低料金 - 建設費圧縮によって電力原価が低いことによる安定供給 - 各発電所加え東邦電力とも広域に連系して故障渇水備えことによる地下線供給 - 風雪に対して故障がなく工事費も安い地下配電線によって供給する設備単純化 - 配電設備単純化することで安全度向上する無休送電 - 従来1か月2日送電停止休電日)があったが1年通じて昼夜無休供給とする。 上記のうち電力料金については、東京電力東京電灯よりも安い水準販売するとした。これに対し東京電灯の側も料金値下げ踏み切り1926年6月1日から東京電力料金同等水準供給始めたほか、優秀な社員第一線立てて顧客維持奔走した1927年昭和2年1月1日東京電力南葛飾・南足立・北豊島3郡および東京市深川区本所区方面での電力供給開始した。この地域最大需要家である南葛飾郡日清紡績への供給供給電力2,700 kW)を東京電灯から奪い取るなど需要家相次いで獲得するが、一方で東京電灯反撃にあって需要家奪い返されるなど、同社との間で激し需要家争奪戦展開する。また群馬電力時代から競合していた京浜電気鉄道沿線地域でも、1924年6月競争的行為避けるという協定締結されていたにもかかわらず競争激しくなり、横浜船渠への供給 (1,700 kW) を東京電力が奪うといったことが起きた。こういった激しい「電力戦」について需要家側からは、東京電灯のみに頼ると無理を押し付けられるので競争会社は必要である、と歓迎する意見出ている。 東京電力進出は、工場電化進展電力利用普及促進したという面もあった。東京電灯から奪った需要家相当数あったが、全体の8割近く新規需要であったのである富士製紙江戸川工場 (2,000 kW) や日本電気 (1,715 kW)、芝浦製作所 (1,600 kW) などはそういった新規需要家である。京浜方面とあわせると、毎年3kW上の需要増加見込まれる電力市場であったという。 電力戦傍ら1926年後半から建設中発電所相次いで竣工する。まず1926年5月建設中早川第三発電所から川崎第一変所へ至る送電線田代本線送電電圧154kV)が完成。翌1927年1月より早川第三発電所が運転を開始し続いて田代川第一発電所8月に、田代川第二発電所11月それぞれ運転を開始した。これらの水力発電所以外にも鶴見町東京火力発電所1926年12月完成1927年5月には発電機がもう1基完成して竣工している。

※この「「電力戦」開戦」の解説は、「東京電力 (1925-1928)」の解説の一部です。
「「電力戦」開戦」を含む「東京電力 (1925-1928)」の記事については、「東京電力 (1925-1928)」の概要を参照ください。

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