《生漆》の正しい読み方
「生漆」の正しい読み方
「生漆」は「きうるし」と読む。「生」という漢字には、たくさんの読み方があり、一説には100通り以上あるともいわれている。本当に100通りの読み方があるのか確かではないが、「い(きる)」「は(える)」「う(まれる)」「なま」「お(う)」の他、人生などの「せい」、平生などの「ぜい」、生涯などの「しょう」、誕生などの「じょう」、生醤油などの「き」、などのスタンダードな読み方だけでもざっと10通り、他に「芝生(しばふ)」「生垣(いけがき)」などの読み方もあわせると12通りにもなる。
さらに「生業(なりわい)」「早生(わせ)」「生憎(あいにく)」「羽生(はにゅう)」「弥生(やよい)」など難読単語にも頻出してくる。
「生漆」の場合、「なまうるし」と読み間違えがちなので要注意だ。
「生漆」の意味解説
漆とは、漆の樹液のことであるが、これを天然の塗料や接着剤として用いる。日本では古くからこれを利用しており、縄文時代にはすでに使用していたことが確認されている。漆を器などに塗ることによって、器の耐水性、強度を上げることができる。また、美しい艶をもち、優美な装飾性も兼ね備えている。金粉などを接着するためにも用いられ、日本の伝統工芸になくてはならない素材である。「生漆」とは、採取した漆の樹液から樹皮などのごみをろ過し取り除いただけの何も混ぜていない状態の漆をいう。漆の採取は、漆かき職人によって行われる。木の幹に傷をつけ、滲み出てきた白色の汁をこそげとるのだが、4~5か月の間、採取を繰り返し、1本の木から採れる総量はたった200g程度だという。木がそこまで育つのに15~20年かかっていることを考えると、漆が途方もなく、貴重な天然素材だということが理解できるだろう。
なぜ「きうるし」と読むのか・理由
生を「き」と読む場合と「なま」と読む場合、意味がそれぞれ違ってくる。例えば、生醤油は「なましょうゆ」とも「きじょうゆ」とも読めるが、両者は全く違う物である。「なましょうゆ」とは、一般的に微生物を失活させるために行う火入れをしていない状態のしょうゆであり、対して「きじょうゆ」とは、火入れした後に何も加えていない醤油のことをいう。アルコールや保存料を加えたものは「きじょうゆ」とは呼べない。
このように「なま」には火を通すなどして状態を変えていないなどの意味があり、「き」には混ぜものをしていないという意味があるのである。よって「生漆」の場合には、混ぜ物をしていない漆のことをいうので「きうるし」と読むのが適当なのである。
「生漆」の類語・用例・例文
「生漆」の類語としては、漆の木の樹皮に傷をつけて掻きとった粘度のある液汁の「漆汁」「漆液」が挙げられる。漆の木から漆液を採取する職人を「漆掻き職人」という。
漆液を200g採取するために、漆の木を15~20年ほど育てなければならない。
生漆に触れると大変かぶれやすいので扱いには注意が必要だ。
下地に使う漆は、生漆に砂や土などを混ぜて使うことが多い。
「生漆」の英語用例・例文
生漆は英語では、「unrefined lacquer」である。I get a rash when I touch unrefined lacquer.(生漆に触るとかぶれる)
Unrefined lacquer is lacquer sap that has been filtered to remove bark and debris. (生漆とは、漆の樹液をろ過して木の皮やゴミを取り除いたものである)
《生漆》の正しい読み方
「生漆」の正しい読み方
「生漆」の正しい読み方は、「きうるし」である。「生」は「生糸(きいと)」や「生娘(きむすめ)」の「生(き)」である。「生漆」を「なまうるし」とは読まない。
「生漆」の意味解説
「生漆」とは、採取した状態に近い漆のことである。漆器などの塗料として使用される漆は、漆の木の樹液が原料である。漆の木に傷を付けて、樹液を採取する。そして、その樹液に含まれる不純物を取り除き、水分を飛ばして精製することで、飴色の漆塗料が完成する。生漆はその精製工程の途中、不純物を取り除いた段階の漆を指す。水分を飛ばす前であり、乾燥しやすいことから、塗装の下地や接着剤などに使用される。なぜ「きうるし」と読むのか・理由
「生漆」の「漆」部分を「うるし」と読むのは、精製こそしていないが、あくまでも塗料の一種だからである。塗料として使用する「漆」は、「うるし」と読むのが基本である。そして、「生」を「き」と読んだ場合、「混じり気がない状態」「自然のままの状態」という意味になる。したがって、不純物を取り除いて混じり気がなく、本格的に精製をしていないため自然に近い状態という意味で、「生漆」は「きうるし」と読む。「生漆」の類語・用例・例文
「生漆」は基本的に、精製前の漆のみを指す言葉である。例文にすると、「生漆を塗料として使用するには、精製しなければならない」「割れた食器を金継ぎという手法によって修繕するために、生漆を用意する」「生漆に触れると皮膚がかぶれる恐れがあるので、注意が必要である」といった形になる。「生漆」の類語としては、「石漆(せしめうるし)」や「ニス」が挙げられる。「石漆」は採取した直後の漆の樹液のことで、生漆との違いは不純物が含まれているかどうかである。そして、「ニス」は漆と同じように、気でできたものへのコーティングとして使用される。また、「膠(にかわ)」という類語もある。動物の骨や内臓を素材としていて、生漆とは、木材の接着に使用されるという共通点を持っている。
「生漆」の英語用例・例文
「生漆」を英語で表現すると、「raw lacquer」となる。「raw」が「生」、「lacquer」が「漆」を意味する単語である。例文にすると、「I observed how raw lacquer was refined(生漆が精製されるところを見学した)」「Raw lacquer has muddy color unlike lacquer sap(生漆は漆の樹液と違って濁った色をしている)」といった形になる。- 《生漆》の正しい読み方のページへのリンク