架空の武器 架空の武器の概要

架空の武器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/24 14:18 UTC 版)

架空の武器一覧として、神話・伝説や近代以前の創作に登場するものを列挙する。現代の創作に関しては、列挙すると膨大になるため、複数の創作に共通して用いられている概念や、詳細な設定があり物語の中で大きな役割を担っているものなどに限定して記載する。

(注)実在している武器、過去に実在した武器、架空の防具・服等については、神話・伝説の物一覧で扱う。

剣・刀・東洋剣

ギリシア神話

アーサー王物語

全般

ウェールズ語圏の伝承

フランス語圏・英語圏などの伝承

妖精の女王

シャルルマーニュ伝説

ローランの歌

その他

北欧神話・ゲルマン語圏の伝承

エッダ・古代のサガ

デンマーク人の事績

  • ミミングの剣 - 森に住む神(サチュルン)であるミミングが持つ剣。その後、この神剣の所有者は英雄ホテルス。

アイスランド人のサガ

ニーベルンゲンの歌

ディートリッヒ伝説

  • エッケザックス (Eckesachs) - ディートリッヒが巨人エッケから手に入れた剣。
  • ナーゲルリングドイツ語版 (Nagelring) - ディートリッヒが巨人グリムから手に入れた剣。のちにハイメの剣となった。
  • ブルートガング (Blutgang) - ハイメが所有している剣。
  • ミームング (Mimung) - ウィーランド(ヴェルンド)が鍛え、彼の息子ヴィテゲに与えた最高の剣。のちにディートリッヒ(シズレク、シドレク)がシグルドとの試合で用いた。
  • ラーグルフ (Lagulf) - ヒルディブランド(ヒルデブラント)の剣[9]

ベーオウルフ

  • ネァイリング (Nægling) - ベーオウルフが使用した、ドラゴン退治の剣。ただし劇中では打撃を与えられなかった。
  • フルンティング (Hrunting) - ベーオフルフが使用した剣。ウンフェルスより借り受けた。
  • ヨートゥンの剣 - 劇中でグレンデルの母親を打ち倒した剣。ヨートゥンは北欧神話の巨人。

その他

ケルト神話

神話物語群

アルスター物語群

フィン物語群

その他

  • マカブイン (Macabuin) - マン島の民間伝承に登場する。伝説的な鍛冶師ローン・マックリブイン英語版によって鍛えられた。

インド神話

中国神話

中国の伝承に登場する武器

  • 泰阿(『越絶書』)-王が風胡子に命じ、の干将と欧冶子に造らせた三振りの剣のうちの一つ。『楚辞』では「太阿」とする。
  • 画影剣(『拾遺記』) - 二代目の帝顓頊の剣。空を飛び、四方に敵が居た場合、指を指した方の敵に飛びかかる。剣を収めていない時には、しばしば竜や虎のごとく吼える。
  • 干将・莫耶(かんしょう・ばくや)(『呉越春秋』等) - 呉王(伝承によっては楚王)が干将(伝承によっては莫耶)に鍛えさせた2振りの剣。
  • 軒轅剣中国語版(けんえんのけん)(明の李承勲著『名剣記』、晋の葛洪著『抱朴子』など) - 中国最古の統治者であり、伝説上の王とされる「五帝」の第一人「黄帝軒轅」が所持していたとされる伝説の剣。この神剣の真名は記載されていないため、黄帝の名前にちなんで「軒轅の剣」と呼ばれている。
  • 三尖両刃刀 - 顕聖二郎真君(『封神演義』では、楊戩とも)の武器
  • 毒匕寒月刃(『史記』) - 伝説的な成り行きで刀鍛冶であり剣豪でもあった男性徐夫人が手に入れた寒気を発する剣状結晶質の隕石を加工したもの、鉄を泥のように切り裂き相応しくないものに災いをもたらす。徐夫人作の匕首始皇帝の暗殺未遂にも使用された。
  • 神銀剣 - 中国彝族神話の英雄支格阿龍の武器

中国の小説類に登場する武器

三国志演義
  • 倚天の剣(いてんのけん)(『三国志演義』) - 曹操が造らせたという宝剣。天をも貫く剣の意。
  • 青釭の剣(せいこうのけん)(『三国志演義』) - 倚天の剣と同じく曹操が造らせた剣。青白い光明をはなつ剣の意。鉄を泥のように両断できたという。曹操の親族でもある家臣の夏侯恩に預けられるが、夏侯恩は長坂の戦いの武将の趙雲に斬られ、剣は奪われてしまう。
  • 古錠刀(『三国志演義』) -孫堅の剣[11]
  • 青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)(『三国志演義』) - 関羽がふるう大刀。別名:冷艶鋸、関刀。
  • 双股剣(『三国志演義』) - 日本では「雌雄一対の剣」と呼ばれる劉備の二本セットの双剣。別名:鴛鴦剣(『紅楼夢』)で金属も切断する劉家の宝剣。また、金庸著『鴛鴦刀』では天下無敵の双刀(鴛刀、鴦刀)の争奪戦が行われる。
水滸伝
  • 玄元混天剣 - 包道乙の剣、術で百歩先の相手に飛ばす。
  • 黄金丸(こがねまる)(『水滸伝 (漫画)』) - 百八星のひとり、「豹子頭」林冲が、軍での上官である高俅のさしがねの者から、三千貫の価値のものを千貫で買い叩いた刀。ただし横山光輝の漫画版で創作された剣名。正子公也・森下翠共作の『絵巻水滸伝』でも使われる。
  • 松文古定剣 - 公孫勝の術具。
  • 吹毛剣(すいもうけん)(『新・水滸伝』) - 百八星のひとり、天暗星の青面獣楊志が所持する楊家伝来の宝剣に、吉川英治が原作の内容を借用してつけた名。
  • 劈風刀(へきふうとう)(『水滸伝』) - 方臘配下の将軍石宝の持つ宝刀。三重の鎧であろうと風を断つがごとく斬り破る鋭さを持つ。
封神演義
  • 誅仙四剣(誅仙剣・戮仙剣・陥仙剣・絶仙剣) - 通天教主が持つ4振り1組の剣。この4振りの剣を使用し誅仙陣が張られる。他に、紫電槌、六魂旛を持つ。
  • 瑤池内白光剣 -『封神演義』の竜吉公主が所有した剣。

明代の小説『西遊記』に登場するもの

  • 七星剣 - 金角と銀角が太上老君から盗んだ5つの宝の内の一つ。

日本神話

日本神話(記紀神話)に登場する武器

坂上田村麻呂伝説

中世・近世における創作に登場するもの

  • 村雨(むらさめ)(『南総里見八犬伝』) - 犬塚信乃が持つ刀。刀身が水を帯びており人を斬った血を洗い流すとされる。
  • 三明の剣(さんみょうのけん) - 坂上田村麻呂と契りを交わした鈴鹿御前が振るった三振りの宝剣。
  • 物干竿(ものほしざお) - 佐々木小次郎が使用していたとされる、刀身3尺3寸余(約1m)の長刀。巌流島の決闘ではその長さゆえ鞘を持ったまま戦えず、鞘を投げ捨てた小次郎を見て宮本武蔵は「小次郎敗れたり!」と語ったといわれている。

アイヌの神話に登場するもの

  • イペタム - 各地のアイヌの伝承に登場する妖刀の総称。『人喰い刀』を意味し、勝手に飛び回って人を殺すが特別な方法でないと止められないという話が多い。『ピンネモソミとマッネモソミ(細身の男剣と女剣)』や『オポコロペ(妊婦を斬った刀)』などが有名。
  • クトネシリカ - アイヌの口伝叙事詩『ユーカラ』に登場する刀。ポンヤウンペという英雄の刀で、刀身や柄に龍や狐の姿をしたカムイが宿っており、ポイヤウンペに危機が訪れるとカムイが顕現し敵を打ち倒すとされる。金田一京助がアイヌ人達と協力してユーカラを蒐集・編纂した『虎杖丸の曲』では『虎杖丸』(いたどりまる)という銘でも呼ばれる。

その他の伝承

ヨーロッパ

中世英国ロマンス
その他
  • アスカロン - 聖ゲオルギウス竜退治に用いたとされる剣。
  • アッティラの剣英語版 - 羊飼いが、その辺で拾った剣。フン族とその諸侯の王アッティラの剣。マルスの剣・神の剣(ハンガリー語:Isten kardja)とも呼ばれる。フン族はマルスを信仰していないので、これはローマ語に翻訳した際の解釈によるものである。
  • クロケア・モルス(Crocea Mors, 「サフラン色の死神」の意味) - カエサルの剣。
  • ジャンヌ・ダルクの剣 - ジャンヌに語りかけてくる声に従い、サント・カトリーヌ・ド・フィエルボワ英語版にある教会フランス語版にて地面から剣を掘り起こした、という伝承がある[13]
  • ブルンツヴィークの剣 - チェコの伝説の王ブルンツヴィークの剣、手に取って命じるだけで敵の首を落とすことが出来る黄金の魔剣。

ロシア・スラヴ語圏

コーカサス・中央アジア

中東

アフリカ

  • Mmaagha Kamalu - イボ人の神話に伝わる戦争の神 Kamalu の剣。悪意を持った人々が近くにいるときに赤く輝き、地面にぶつけて振動を起こす。
  • ギネイ- 西アフリカ神話の大英雄アナンシの魔法の剣。

アジア

  • 順天 (剣)英語版 - ベトナム後黎朝の初代皇帝黎利が、漁師の網に何度もかかった剣の刃と、木の枝に引っかかった柄を組み合わせた魔法の力を持つ剣。
  • 分景 - 西王母の剣

神話類型

  • 炎の剣 (神話)英語版 - シュメール神話のAsaruludu、聖書に登場する智天使、北欧神話のスルト等が持つ。

槍・鉾・薙刀

  • ハデス(プルートー)の二又槍(Bident)
  • ピッチフォーク - キリスト教の神話によると悪魔が使用する二又槍

エジプト

  • ホルスの槍 - シーンによってshm-hrとsgmhの名がある[15]

ケルト神話

  • アラドヴァル(『神話物語群』) - ルグ神の槍。
  • ゲイアッサル(『神話物語群』) - ルグ神の槍。
  • ゲイジャルグ(『フィン物語群』) - ディルムッド・オディナの赤槍。
  • ゲイボー(『フィン物語群』) - ディルムッド・オディナの黄槍。
  • ゲイボルグ(『アルスター物語群』) - クー・フーリンが持つ槍。
  • ドゥヴシェフ(『アルスター物語群』) - クー・フーリンが持つ槍。
  • ブリューナク(『神話物語群』) - ルグ神が所有したとされる槍。ただしこの名前の出典は不確かで、近代の創作とされることも多い。
  • ルーン(『アルスター物語群』) - ケルトハルが持つ槍。かつてはルグ神の槍だったともされる。
  • 屠殺者 - アイルランド神話「トゥレンの息子たちの最期」に登場するペルシア王ペザールの所持する毒槍。槍先が灼熱しているため、平時は大釜(氷、または氷水)につけて保管されている。ルグがトゥレンの息子たちに要求したものの1つ。その後の所有者はコンホヴァル・マク・ネサ
  • クールグラス - Culghlas。アルスターの戦士コナル・ケルナハの槍

北欧神話

  • グングニル - 主神オーディンが所持している槍(投げ槍)。その後の所有者はヘグニ王の息子ダグ。ダグはオーディンに供物を捧げ、願いを聞き入れたオーディンは彼に自身の槍を貸し与える。
  • ギースリ - (『ギースリのサガ』の主人公の伯父)が、兄アリの仇ビョルンと決闘する際、兄の妻の奴隷から奪った剣。決闘には勝利するが、剣を取り返そうとした奴隷を斬りつけた際、折れてしまう。のちに槍の穂に鍛えなおされ、甥のギースリ(同サガの主人公)のものとなる。

ギリシア神話

インド神話

ペルシア神話

  • 牛頭の矛 -大英雄フェリドゥーンはカーヴェにビルマーヤの頭を模した牛頭の矛を作らせ、自身の武器とした。
  • ガルシャースプの矛- ゾロアスター教神話の大英雄ガルシャースプの鎚矛。悪竜アジ・ダハーカを打ち殺したときに使用した打撃武器。

ホータン神話

アーサー王物語

ローランの歌

  • グランテピエ(grant espiet) - 大司教テュルパンの槍[16]
  • マルテ (槍)(Maltet) - バビロニア王バリガンの槍[17]

スペインの伝説

ローマ神話

  • ロムルスの槍:ローマの王ロムルスの持つ槍。彼の槍はパラティウムという丘の上に突き刺した際、樹木になった。

日本神話

日本神話(記紀神話)に登場する武器

中世・近世における創作に登場するもの

  • 天逆鉾(あめのさかぼこ) - 高千穂の嶺の頂に聳える鉾。天沼矛と同一視されることもある。
  • 岩融(いわとおし)(『義経記』) - 武蔵坊弁慶が持っていたとされる薙刀

アイヌの神話に登場するもの

  • イペオプ - 妖女イムパッコの伝承に登場する人食い槍

中国神話

中国の小説類に登場する武器

三国志演義
その他

イスラム教

  • ムハンマドの5本の槍

  1. ^ 渡邉 2019, p. 239.
  2. ^ 渡邉 2019, p. 240.
  3. ^ Trachsler & 渡邉 2017, p. 104.
  4. ^ フロールヴ・クラキのサガ英語版』『コルマクのサガ英語版』『ラックス谷の人々のサガ英語版』などに登場する。
  5. ^ スノッリのエッダ』の『詩語法』に登場する。
  6. ^ ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ』に登場する。
  7. ^ The Old Norse World :: dragvandill (noun m.) ‘°of a sword)’”. Skaldic Poetry of the Scandinavian Middle Ages英語版. 2023年3月7日閲覧。; dragvandill sb. m. (ONP)”. Dictionary of Old Norse Prose英語版. コペンハーゲン大学. 2023年3月7日閲覧。
  8. ^ エギルのサガ』や『雄鮭のケティルのサガ英語版』に登場する。
  9. ^ シズレクのサガ』第389章。heimskringla.no
  10. ^ 参考:Adelring - Lost & Found Chest from the Fantastical World” (英語). 2023年5月13日閲覧。; 固有名編 - Lost & Found Chest from the Fantastical World / 幻想アイテムの拾遺匣”. 2023年5月23日閲覧。
  11. ^   (中国語) 三國演義/第005回, ウィキソースより閲覧。 
  12. ^ 酒見, 紀成「Sir Beves of Hamtoun の翻訳者」『ニダバ』第35巻、西日本言語学会、2006年3月31日、155-163頁、CRID 1050296265984276992  p. 162.
  13. ^ 参考: ジャンヌ・ダルクの愛剣「フィエルボワの剣」を求めて - Call of History ー歴史の呼び声ー”. 2023年3月7日閲覧。 - 参考文献のリストなどが掲載されている。
  14. ^ ԹՈՒՐ-ԿԱՅԾԱԿԻ”. 2023年3月7日閲覧。; ԹՈՒՐ-ԿԵԾԱԿԻ”. 2023年3月7日閲覧。
  15. ^ The Origin of the Spear. I E. A. E. Reymond The Journal of Egyptian Archaeology Vol. 49 (Dec., 1963), pp. 140-146
  16. ^ 『ロランの歌』第95節。
  17. ^ 『ロランの歌』第232節。
  18. ^ 王と神の三柱神ルーブル美術館
  19. ^ 知っておきたい 世界と日本の神々 68p
  20. ^ 羅玲「中国皮影における雷公像の図像的考察」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第62巻、早稲田大学大学院文学研究科、2017年3月、692-676頁、ISSN 2432-7344NAID 120006230439 
  21. ^  吳承恩 (中国語), 西遊記/第060回, ウィキソースより閲覧。 
  22. ^  吳承恩 (中国語), 西遊記/第095回, ウィキソースより閲覧。 
  23. ^  吳承恩 (中国語), 西遊記/第012回, ウィキソースより閲覧。 
  24. ^ fífa sb. f. (ONP)”. Dictionary of Old Norse Prose英語版. コペンハーゲン大学. 2023年5月23日閲覧。
  25. ^ hremsa sb. f. (ONP)”. Dictionary of Old Norse Prose英語版. コペンハーゲン大学. 2023年5月23日閲覧。
  26. ^ 雄鮭のケティルのサガ英語版
  27. ^ オルヴァル=オッドのサガドイツ語版
  28. ^ ヴァールミーキ/阿部知二訳 『ラーマーヤナ(上)』
  29. ^ 十大名弓(百度 2017.6.28)
  30. ^ James G. Lochtefeld (2002). "Pasha". The Illustrated Encyclopedia of Hinduism: N-Z. The Rosen Publishing Group. p. 505. ISBN 978-0-8239-3180-4


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