アメリカ合衆国51番目の州 国外に対する利用例

アメリカ合衆国51番目の州

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/24 14:06 UTC 版)

国外に対する利用例

アメリカ合衆国との文化的な類似性や密接な同盟関係のために、冗談半分で51番目の州と呼ばれる国がある。また、アメリカ合衆国の州になることをある程度の支持と真面目さで運動した国もある。

南北アメリカ

カナダ

アメリカと陸上国境を接するカナダでは、「51番目の州」(あるいは「メイプルリーフカエデの葉)州」)は、ある政治的な処置が採られる場合にカナダの運命は「51番目の州」になることだと示唆するようなやり方で使われる感情的なきっかけを与える言葉である。

「51番目の州」になるということは通常、アメリカ合衆国と強い連帯感を持つことや共同してことにあたる政策を採用する時の潜在的な結果として(例えば1988年のカナダ-アメリカ自由貿易協定や、現在議論中の共同防衛拠点の創出)、あるいはケベック州独立運動の問題を解決するための提案を採用しない時の潜在的な結果として(例えば1992年のシャーロットタウン合意や、1999年のクラリティ法)、引き合いに出されている。

この言葉はたいてい、地域の政治的議論、論客の文章あるいは私的な会話の中で使われている。公的な場で政治家によって使われることは稀であるが、カナダの歴史の中のある時代に、政党が同じような意味合いで使ったことがある。例えば、1988年のカナダ連邦選挙で、自由貿易に反対するカナダ自由党は、カナダ進歩保守党の戦略家が自由貿易協定の採用の時に机の上の北アメリカの地図からゆっくりとカナダ-アメリカの国境線を消している広告を打った。しかし、数日のうちに進歩保守党は、アナウンサーの歌うような声で「ここに線を引いている」と言わせて、境界線が引き直されたことを強調する広告を打って反応した。1988年の自由貿易協定は道具で「あった」ことに注意を要する。その後、1993年の北アメリカ自由貿易協定 (NAFTA) が通過し、シャーロットタウン合意が議会を通過しない中で、今日まで個別の議論の中で主張されていたような、アメリカ合衆国によるカナダの併合は起こっていない。

カナダの少数の非主流派集団が積極的にカナダのアメリカ合衆国による強制的な併合を唱えているが、主流派の注意を引くところまで至っていない。

アメリカ合衆国の中でカナダを対象に「51番目の州」という言葉を使うときは、その使われる文脈により肯定的にも否定的にも使われ得る。ある状況ではこの言葉がカナダとアメリカ合衆国の類似性と密接な関係に焦点を当てるという見方で使われる。しかし、多くの場合は侮蔑的な意味合いで使われる。18世紀終わり頃の連合規約では、カナダのアメリカ合衆国への加入を前もって承認していた[3]

アルバータ州

カナダのアルバータ州は同国のテキサスと呼ばれることがある。この2つの州は社会的な価値観(どちらも社会的に保守的である)や経済の基盤(共に両国の石油産業の中心である)において似通ったところがある。多くのアルバータ州住人がカナダ政府の州に対する政策に不満を表明している。特に国のエネルギー政策と雇用機会の均等化政策である。カナダ政府がアルバータ州の莫大な石油備蓄から金を搾取して国の他の地域にばら撒いていると非難する者もいる。カナダの雑誌ウエスタン・スタンダードから出版された2005年8月の世論調査によると、回答者の42%はアルバータ州がカナダから外に出る選択肢を探索すべきだとしている[4]。この回答の中には、アルバータ州単独で脱退する場合、他の西部の州と共に脱退する場合およびアメリカ合衆国に加わる場合を選択肢として挙げている。

ガイアナ

南米のガイアナとアメリカ合衆国を統合した場合の組織、ガイアナUSA[5]がある。その主張の根拠は、ガイアナが旧イギリス植民地(英領ギアナ)の英語圏であり、現代でもガイアナがアメリカ合衆国と強い結びつきがあることである。なお、ガイアナの10万人の市民はアメリカでも市民権をもっており、35万人のガイアナ人がアメリカ合衆国に住む。これはガイアナ人口の半分に相当する。

メキシコ

アメリカと陸上国境を接するメキシコはアメリカ合衆国の51番目の州であると比喩されている。1847年から48年にかけて、米墨戦争が勃発し、アメリカ合衆国の勝利となった。終結時に米国がメキシコを占領し、米国の州にすることを検討されていた。現在、一部のメキシコ国内からもアメリカ合衆国の州になれば移民問題などでメキシコ側の負担が無くなる、アメリカ合衆国と地続きのため、違和感すらないとも発言している。

ドミニカ国

1898年、イギリス領であったため、この行政システムを変える方針としてアメリカ合衆国への併合をする計画が政府を挙げて存在していたという。

現在もドミニカ国をアメリカ合衆国の州にするかしないかの議論が活発化している。

ヨーロッパ

イギリス

アメリカ合衆国とイギリスの関係(英米同盟。そもそもアメリカ合衆国が、元を正せばイギリス帝国植民地だった)を考えると、イギリスの評論家に言わせれば、「イギリスは、アメリカ合衆国の『事実上の』51番目の州である」と示唆されている。仮にイギリスが合衆国に加盟すれば、全州の中で最多の人口、経済規模ではカリフォルニア州に次ぐ第2位の州となる。それ故に、最も政治的な影響力を行使できると言う者もいる。ただし、さすがにほとんどのイギリス人もアメリカ人もこれは起こりえないとも思っている。

しかし、それが実際に起こったとすれば、アメリカには存在しない王室を持つ立憲君主制のイギリスが共和国になるか、あるいはアメリカがアメリカ合衆国憲法第4条第4節「アメリカ合衆国はこの連合の中にある各州に共和的形態の政府を保証する」という規定を改訂することになる。この種の噂は伝統的なもので、第二次世界大戦末期の1944年ブレトン・ウッズでの借款交渉より帰国したケインズは取り巻きの記者から「イギリスはアメリカ合衆国の49番目の州になるという噂は本当か」と質問されると、即座に「そんな幸運はないよ」と返答したという (「49番目の州」という言い方が使われたのは当時まだ48州だったため。アラスカハワイが連邦に参加していなかった)[6]

文化的には、様々なアメリカ合衆国のテレビ番組の人気が上がっており、映画、ファッションまた文学も然りである。経済的には、スーパーマーケットファーストフード小売店がアメリカから輸出されて、年長者の多い社会で古い小さな事業には大きな影響を及ぼすと思われるが、一般大衆にとっては便利さが増すであろう。映画「51番目の州」(アメリカでの公開では「フォーミュラ51」)では、アメリカ合衆国からイギリスへ犯罪が流入すると仮定している。特に薬物密売やギャングである。

政治的には、イギリス帝国の衰退とアメリカ合衆国の影響力の増大が表裏一体となって進み、第二次世界大戦中にアメリカ合衆国の援助を獲得したことで、イギリスが植民地の大半を喪失し、イギリス海軍の優越性も失われたことに擬えられる。イギリスがイギリス帝国を夢見て世界に影響力を保持しようと「新しいアメリカ帝国」の力にすり寄ろうとしていると考える者は殆どいない。

第二次世界大戦から今日に至るまで、イギリスに米軍基地(在英国米国空軍[7]や軍事機関、CIAなどの諜報機関が多数駐留しており、特に冷戦時代にこれらが増強されたことは、アメリカ合衆国の影響力の明確な証拠と取られている。アメリカ空軍にとって、イギリスは世界における「戦略的な位置」として特に重要である。

イギリスの主権が失われる可能性と、米英関係の中での互恵主義の明らかな欠如に関連して、政治的な権利についての批判がある。イギリスは朝鮮戦争の時にアメリカ合衆国を支援したが、スエズ紛争の際にはアメリカ合衆国の支援を得られなかった。このような批判は、アメリカ合衆国が共産圏諸国を扱うやり方について特に広まっていった。ベトナム戦争のときのアメリカ合衆国に対する言葉の上の支援は、公式の軍事的な介入が無かったにも拘わらず抗議運動の対象となった[6]

ロナルド・レーガン大統領政権下ののアメリカ合衆国は、イギリスが起こしたアルゼンチンに対するフォークランド紛争の際に、密かにマーガレット・サッチャー首相のイギリス政府を支援した。これは米州相互援助条約の制限を超えるものであった(しかし、アルゼンチンが紛争を起こした当事者であったので、直接武力行使しても条約を犯すことにはならなかった。また北大西洋条約によって、アメリカ合衆国はイギリスに対する責任があった)。

イギリスは、冷戦終結後もアメリカの強力な同盟者であり、レーガンとサッチャーの時代に続いて、ジョージ・W・ブッシュ米国大統領による2003年のイラク侵攻については、トニー・ブレア英国首相が強く支持することで裏付けられた。ブッシュ・ブレア両首脳が会する時の友好的な雰囲気がそれを示していた。その際にメディアは「トニーはブッシュ大統領のトイプードル(犬)」と比喩した。その後、ブッシュ大統領本人が「ブレア首相はプードル(犬)以上の事をアメリカ合衆国にしてくれた。」と感謝した[8]

その後はテロリズムに対抗し、情報を共有し合うためにUKUSA協定が創られた。

イギリス国内では、イギリスが欧州連合 (EU) から脱退して(ブレグジット)、北米自由貿易協定 (NAFTA) に加盟する可能性について、限られた範囲ではあるが議論がある[9]。しかし、イギリスは貿易額の60%以上を占めるEUとの結びつきを、NAFTAとの比較の中で再度交渉しなければならない。NAFTAの中で最大のアメリカ合衆国とは、イギリスが15%を輸出し8.7%を輸入している。しかし、多くの評論家によれば、新首相となったゴードン・ブラウンはイラク問題に対するイギリスの支持を引き上げようと願っており、トニー・ブレアのようにアメリカ合衆国の影響を受けないだろうと考えている。

ロックバンドのTheTheの「ハートランド」という曲は、イギリス政府が米国に追従する形を批判する形で、イギリスはアメリカの51番目の州であるという歌詞である。

また、イギリス国民が本来のイギリス英語からアメリカ英語に変わりつつある状況になっている事が、社会問題[10]となっている。また、軍事面においてはイギリスは第二次世界大戦の戦勝国のため、核兵器を保有する事が国際的に認められている。しかし、イギリスの核兵器の発射権利はイギリス首相ではなくアメリカ合衆国連邦政府が実質的に持っており、イギリスはアメリカ政府の許可無しで核ミサイルを飛ばす事は出来ないと発表[11]された。軍事面や文化面でも世界で最もアメリカ化が進んでいるため、イギリス国民は「言語まで同じになった今、イギリスはかつて植民地支配をしたアメリカ合衆国の高度な自治区そのものである。」と批判した。

2021年、フランスの高官はイギリスを米国の従属国と発言し、同年、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、英国放送協会(BBC)のインタビューに対して、「イギリスはアメリカの犬である。」と批判した[12]

アルバニア

アルバニアは、その姿勢が強いアメリカ合衆国肯定の立場を採っているために51番目の州と言われることがある。また、世界最大の米軍基地を保有している。

ジョージ・W・ブッシュ大統領が2007年にヨーロッパ歴訪を行った時、ティラナの市長で対立する社会党の指導者でもあるエディ・ラマは、「アルバニアはヨーロッパで最も、たぶん世界でも一番アメリカ合衆国を持ち上げる国である...アメリカ合衆国の大統領にたいしてこれほど尊敬と友好的な持てなしをする国が他にあるだろうか。ミシガン州でもこれほどの歓迎は得られないだろう。」と語った。

国務長官ジェイムズ・ベーカーが1991年に訪問したとき、アメリカ合衆国の51番目の州を宣言するための国民投票を行う動きすらあった[13]

イタリア

イタリア政府はアメリカ合衆国に経済的、軍事的に依存している。イタリア国内においても米軍基地や米軍が多数駐留しており、アメリカ合衆国の51番目の州だと国民から批判されることがある。

シチリア島(イタリア共和国)

1944年に党員数4万人と言われたシチリア島の再建党が、シチリア共和国はアメリカ合衆国に加盟すべきと主張した[14]。この党はイタリアファシズムの没落後に行動した幾つかのシチリア分離主義者運動の一つであった。

アゾレス諸島(ポルトガル共和国)

アゾレス諸島ポルトガルの自治区である。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、アゾレス諸島の間でポルトガルを離れてアメリカ合衆国の州に加わる動きがあった。

アゾレス諸島がポルトガル政府によって不当に搾取されていると判断したためアメリカ合衆国に加わるための運動は、アメリカ合衆国に統治させることが最善の策であるとした。

1917年のアゾレス諸島はアメリカ海軍の将校と政治家、特に海軍のフランクリン・ルーズベルトは、アメリカ合衆国がアゾレス諸島を統治するという考えを却下した。

デンマーク

デンマークデンマーク王国)はアメリカ合衆国の独立記念日7月4日をデンマーク政府と国民が共に祝っている事(実際にアメリカ独立記念日として祝日である)、政治的、経済的、軍事的(主にアメリカ宇宙軍)にアメリカ合衆国の影響下である事から、アメリカ合衆国のロサンゼルス・タイムズは「デンマーク王国は我が国 アメリカ合衆国の51番目の州になる」と皮肉を込めて発表[15]した。

ドイツ

第二次世界大戦敗戦後、同じ旧枢軸国日本イタリアと同様に軍事的にアメリカ合衆国の影響下であるとされている。現在もドイツ領土内には多数のアメリカ欧州軍が駐留しており、シュトゥットガルトに本部を設置している。ただ、在独米軍は削減が行われている[16]

連合軍軍政期後には、資本主義国の西ドイツ共産主義国の東ドイツで分裂した。東ドイツはソビエト連邦占領地域に建国された国家、西ドイツ(現在のドイツ連邦共和国)はフランス、イギリス、アメリカ合衆国により建国された国家である。冷戦時期には西ドイツは東側陣営と、東ドイツは西側陣営と小規模ながら対立があった。

しかし、最終的にアメリカ合衆国側の西ドイツに東ドイツは編入して、ドイツ統一を果たした。現在は経済的に中華人民共和国に依存、軍事的にはアメリカ合衆国という状態のため、皮肉としてアメリカ合衆国の51番目の州と言われる事が少なからずある。

ウクライナ

ソビエト連邦の崩壊によって独立したウクライナオレンジ革命によって、親露派政権が崩壊し、親米政権が次々と誕生した[17][18]2022年ロシアのウクライナ侵攻以降、ウクライナの大統領であるウォロディミル・ゼレンスキーは、更にアメリカ合衆国への接近を強める事となった。ウクライナ軍は、アメリカから供与された兵器を用いて防衛、時にはロシア領内の軍事基地を攻撃している。これに対し、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は「ロシア連邦政府は事実上アメリカ合衆国と戦争状態にある」と発言し牽制した。

アメリカ合衆国下院マージョリー・テイラー・グリーンは、ウクライナはアメリカ合衆国の51番目の州ではないと批判するなど、議員の一部はウクライナ支援の縮小または廃止を求めている[19][20]

アジア

日本

日本1945年第二次世界大戦枢軸国の一員として米国を始めとする連合国に敗戦し、ポツダム宣言受諾による有条件降伏(日本の降伏)をしてから(ただし、全日本軍の無条件降伏は同宣言に明記された条件に含まれる)、1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約(日本国との平和条約)が発効されるまでの6年8ヶ月にわたり、アメリカ軍を中心とする連合国軍(GHQ)の占領下に置かれた。

講和条約発効による被占領期終了・日米の国交回復後も現在に至るまで、日米安全保障条約日米地位協定に基づき、領土内に多数の在日米軍が駐留している。また、西側陣営の一員として事実上の一党優位政党制で戦後日本の政治を担ってきた自由民主党保守合同による結党間もない頃、反米左翼勢力弱体化と親米保守政権の安定化のために中央情報局 (CIA)からの財政支援を受け[21][注 1]、いわゆる「55年体制」を築いた。

2016年平成28年)2月17日自由民主党所属の参議院議員である丸山和也は、憲法審査会で「日本が米国の51番目の州になれば、集団的自衛権は全く問題にならないし、拉致問題も起こらなかった」と発言し、物議を醸した[22]

しかし、言語や主要人種・宗教、形成の歴史、さらに連邦制共和制大統領制のアメリカ合衆国と単一国家立憲君主制象徴天皇制)・議院内閣制の日本と政治体制に至るまで、あらゆる点が異なる国家同士でもあり、さらに日本の人口・経済規模も割と大きいため、日本がアメリカ合衆国の一部になればアメリカ合衆国側も相当の変革を余儀なくされ、実際には非現実的な構想である。つまり「戦後日本は米国の51番目の州」という表現は、多くの場合において現実的な提案としてではなく、皮肉や嫌味、批判を意味する比喩として使われる。

また、日本国政府も全てにおいてアメリカ合衆国に追従している訳ではない。アメリカ合衆国がパリ協定を脱退した際には、財務大臣麻生太郎は「アメリカ合衆国はその程度の国」と批判[23]した。また、エルサレム首都問題においても当時の首相・安倍晋三は米国連邦政府とドナルド・トランプ大統領の方針に対して「日本は米国のエルサレム問題の方針に断固反対する」と発表し[24]2024年にも国連総会にてパレスチナ国の国連加盟を認める決議案の採決が行われた際、アメリカ合衆国やイスラエルが反対、イギリスやドイツが棄権の意思を示したのに対して、日本は賛成の立場を明確にした[25]

なお、本当に日本が1つの州となれば人口・GDPにおいて現在1位のカリフォルニア州(人口約4000万人、GDPは3.9兆ドル)を抜くこととなる。

大韓民国

韓国は国内に多数の米軍(在韓米軍)が駐留しており、北朝鮮との対立のためとされているが、アメリカ陸軍人は世界最大の総員である。また、戦時になった際は米韓連合司令部(アメリカ合衆国連邦政府)が掌握するため、自衛隊(自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣)やドイツ軍などと違い韓国政府独自で韓国軍を指揮する事は出来ない[26]

米韓防衛費分担金特別協定に基づき在韓米軍の駐留経費負担(日本の思いやり予算に相当)を行ってきた歴史もあり、アメリカ国防総省は韓国国防部が提案していた、協定とは別に先に在韓米軍韓国人の人件費を韓国側の税金で負担する事に合意した[27]。アメリカ合衆国の従属国[28]であり、51番目の州であると言われることがある[26]

反米国家の北朝鮮側は「韓国はアメリカ合衆国の傀儡国家であり、この国は決して独立国ではない」と皮肉を込めて発言をした。金与正も「韓国は米国のオウムである。」と批判[29]した。また、1948年の大韓民国の建国はアメリカ合衆国指導による事、文化面でもアメリカ化が進んでおり、アメリカ合衆国の州になるべきと評論家が発言している。

しかし米日と同じように、米韓は言語、歴史、主要人種が大きく異なるため、「アメリカ合衆国51番目の州」はあくまで皮肉として使われている。

中華民国

第二次世界大戦の後で、サンフランシスコ平和条約台北条約が締結され、アメリカ合衆国を代表とする連合国は元のフォルモサ(台湾)の管理責任があることを国際的に認められた。

中華民国副総統だった李宗仁はアメリカ合衆国に亡命した際に当時のハリー・S・トルーマン大統領に蔣介石を打倒して台湾をアメリカの自治州にすることを提案していた[30][31]

その後も、台湾の法的また政治的位置付けについて議論や意見の相違が生まれており、フォルモサ政府の下で機能していることについて、国際連合の加盟国の国際的な認識をさらに求める独立した、あるいは擬似的な独立国であるとする専門家もいる[誰?]中華民国で行われた世論調査では、台湾の将来について尋ねる質問に対し、15%はアメリカ合衆国の51番目の州になるよう努めるべきと回答した[要出典]。また、台湾民政府は台湾を「アメリカ合衆国の領土である」と明記してある[32]

サンフランシスコ平和条約も台北条約も、連合軍が引き上げた後に誰が台湾を統治するかを定めていなかった。なお、中華人民共和国はどちらの条約にも署名していない。

香港

中華人民共和国一国二制度の実質的な崩壊、中華人民共和国国家安全法反対デモによって、香港市民はイギリス領に戻るか、アメリカ合衆国の51番目の州になる事を検討すべきとしている。

アフガニスタンおよびイラク

イラク戦争後のイラク政府がアメリカ合衆国の傀儡国家であると考える人々によってこの主張がなされている。アフガニスタンについても同じような観測がなされていたが、ターリバーンの掌握後には、このような見解は見られなくなった。

イスラエル

ユダヤ系の有力者達のロビー活動イスラエル・ロビー)によってイスラエルが毎年アメリカ合衆国から資金や防衛的な支援を受けているために、多くのウェブサイトでイスラエルは51番目の州と主張したり、あるいはジョークのネタに使っている。コメンテーターのリチャード・リーヴズもこの伝である[33]

フィリピン

フィリピンは元々、アメリカ合衆国の植民地であり、経済的に依存しており、近年まで米軍が多数駐留していた。1946年にアメリカ合衆国から独立したが、一部の国民は植民地ではなく、アメリカ合衆国の51番目の州になるべきだとの声が年々上がっており、現在、アメリカ合衆国になることを掲げる政党や組織まで設立されている[34]

オセアニア

オーストラリア

オーストラリアはアメリカ合衆国外交政策に似た形を採っているために、「51番目の州」と言われることがある[35]。この言葉はオーストラリアの中だけで使われている。第二次世界大戦以降、オーストラリアはアメリカ合衆国が始めた戦争にほとんどすべて関わってきた。朝鮮戦争ベトナム戦争そしてイラク戦争である。1996年から11年間にわたって首相を務めた自由党ジョン・ハワードは自ら「米国の副保安官」を自認していた。しかし、自由党は2007年の総選挙で首相ジョン・ハワードの落選とともに敗北したが、依然としてアメリカ合衆国に経済的、軍事的に依存しているため、「51番目の州」と比喩[35]されている。

ニュージーランド

2010年、アメリカ合衆国の第51番目の州になるための党が設立、ニュージーランド選挙委員会に届け出られた。また、実際に51個あるアメリカ合衆国の国旗を提案までするほどであった[36]

アフリカ

リベリア

リベリアの国旗

リベリア南北戦争中、解放奴隷の黒人をアメリカ合衆国からアフリカに移住させて建国された国で、歴史的にもアメリカ合衆国と関わりが深い国である。よって政治や文化面などでもアメリカの影響力が強く、また首都のモンロビアなどアメリカ合衆国の著名人に因んだ地名があり、国旗も星条旗に酷似している。その為か、しばしばアメリカ合衆国の51番目の州などと言われる事もある。

リベリア国民の多くは、自身はアメリカ合衆国とは兄弟でもあると言う認識をしている人も多く、非公式だが、リベリアはアメリカ合衆国の51番目の州状態の国だと考えている人も多い。1989年の内戦勃発以後、アメリカ合衆国の軍事介入を強く求めていたが、アメリカ合衆国はリベリアに介入しなかった。アメリカ合衆国の一つの州となって、リベリアを助けるべきだとの声もあった。

その他

グリーンランド

グリーンランドは石油開発が行われており、経済力(GDP)を長期に上昇させ覇権を永続的に握りたいアメリカ合衆国に領土を買収されるのではないかとの憶測がある。ちなみにドナルド・トランプ大統領はグリーンランド購入(アメリカ合衆国の51番目の州にする計画)について意見を出していた。また、軍事的にアメリカ合衆国は既に進出しており、アメリカ宇宙軍チューレ空軍基地がある。

しかし、グリーンランド自体デンマークの自治区のようなものだが、メッテ・フレデリクセン首相は「アメリカ合衆国にグリーンランドを売るわけない」と批判した[37]。だが、ドナルド・トランプ大統領は「デンマーク国民は素晴らしい。しかし、首相はグリーンランドの領土の購入について話し合う気はないようなので、2週間後の首脳会談を別の機会に延期することにする。」と発表し、トランプ大統領は身勝手で侵略者であるとデンマーク国民から批判[38]された。もし、グリーンランドが51番目の州に併合されたら、アメリカ合衆国はロシアに次ぐ世界で2番目の広さの領土を保有する国となる。


注釈

  1. ^ また首相岸信介、読売新聞を興した正力松太郎など政財界の重鎮達、右翼の大物笹川良一児玉誉士夫などが中央情報局に買収されていた

出典

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  2. ^ "California Senate acts to cut state in two in districting fight," Syracuse Herald-Journal, June 5, 1965, p1
  3. ^ http://www.law.ou.edu/ushistory/artconf.shtml
  4. ^ http://www.westernstandard.ca/website/index.cfm?page=article&article_id=928
  5. ^ http://www.guyanausa.org/
  6. ^ a b 51st State? | Promotional marketing industry similarities between America and England”. web.archive.org (2008年9月5日). 2021年2月24日閲覧。
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  13. ^ http://www.iht.com/articles/2007/06/08/frontpage/albania.php "Pro-U.S. Albania set to roll out the red carpet for Bush", Craig S. Smith, 8 June 2007,International ヘラルド・トリビューン
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