性欲 概要

性欲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/28 03:15 UTC 版)

概要

一般に第二次性徴が発現して生殖能力を獲得したとき、「性の目覚め」が起きるとされる[1]。異性のアイドルに対する関心などは、それ以前から抱くこともある。性欲の高まる時期や強さは、個人差や性差が大きい。多くの伝統的な宗教で、性欲は慎むべきもの、忌避すべきもの、警戒すべきもの、とされてきた。医学的研究により、性欲には男女[注釈 1]で異なったピークの時期があることが明らかになっている[要出典]#生物学的・医学的な説明を参照)。

人間の性欲は個人によって多様性を持つ。また、「動物で同性愛など生殖に結びつかない性行動もある」という[2]

キリスト教

不適切な性欲をとする宗教は多い。モーセの十戒では「姦淫の禁止を戒のひとつに数える」ため、ユダヤ教およびキリスト教イスラム教もこれにならう。ローマ教皇、ヨハネ・パウロ2世は「性欲は男女の永遠の魅力を、欲望の満足のために減少させてしまう」と述べている[3]新約聖書使徒パウロは、実際に性交に及ぶ姦淫のみならず、行為や外面に現わさない内心における姦淫も罪であると強調した。

ただし、必ずしも性欲自体を全面否定するものではなく、たとえばカトリック教会七つの大罪の一つとする色欲は、婚姻関係の外にあるものや、生殖から切り離されそれ自体の快楽を追求するもののことであると説明される。性欲もまた神の創造の一部とされ、適切な充足は罪とはされないことが一般的である。グノーシス主義のひとつであるカタリ派ではこの点が逆転し、生殖は人間を創造したサタンの意図として忌まれ、生殖を目的としない性欲の方が罪が少ないとされた。

仏教

チャクラサンヴァラ(勝楽タントラ)の諸尊像

仏教では煩悩の一つとされ、不邪淫戒という戒律も存在する。ただし不邪淫戒は、妻以外の女性と性交渉をしてはならない、という戒である。釈迦の従弟である孫陀羅難陀が、出家後でも妻に惹かれてなかなか悟りを開けなかったエピソードなどがある。

密教はその出現以前の仏教を顕教として低く見るが、密教での性欲の捉え方も従来仏教と大きく異なる。密教経典の理趣経には、「男女の欲望や交合(性交)の妙なる恍惚、また欲望などもすべて清浄なる菩薩の境地である」などと説かれる。ただし、修行と無関係な男色が容認されることも多い顕教が女犯以外についてはあまり厳しくなかったのに対し、密教ではむしろ性についての厳格さが求められ、夢精を非常に恐れるような面もあった[4]真言宗主流などによる解釈では、理趣経における言及の概念を「自性清浄」といい、本来人間は汚れた存在ではなく、欲望は人間として自然なものである、といった煩悩即菩提という思想を表すものであり、修行者に性交を勧めるような意味ではないとされる。一方で、「彼の法」集団[注釈 2]などは「直接的に性交を取り入れる」などしたが、聖俗からの排撃も強く、性的概念を抽象概念とみなした教派が残り、この集団は消滅している。

密教以外の仏教では、天台宗に興った玄旨帰命壇が同様に「性交を儀式に取り入れていた」が、これも弾圧され途絶している。なお焚書が行われた歴史があるため、弾圧側の文書に依拠するが、それらの記述には誇張があるのではないかとする見方もある。浄土真宗では親鸞の夢告に基づき僧の妻帯が認められるが、性欲は許されるにせよあくまでとされ、肯定的な意義は与えられていない。


注釈

  1. ^ 女性の場合、35歳から45歳が性欲のピークとされている。
  2. ^ 立川派と混同されることがあるが、別の宗派である。
  3. ^ ロスチャイルド財閥のアラン・ラインバーグとパリ大学のミシェル・ラゴギー。

出典

  1. ^ 体の発達-第二次性徴などの変化”. www.ibmjapankenpo.jp. 日本アイ・ビー・エム健康保険組合. 2021年5月9日閲覧。
  2. ^ Bruce Bagemihl, Biological Exuberance: Animal Homosexuality and Natural Diversity, St. Martin's Press, 1999; ISBN 0312192398
  3. ^ Pope John Paul II, Mutual Attraction Differs from Lust. L'Osservatore Romano, weekly edition in English, 22 September 1980, p. 11. Available at http://www.ewtn.com/library/papaldoc/jp2tb39.htm
  4. ^ ツルティム・ケサン正木晃『チベット密教』ちくま新書(2000年)p.152
  5. ^ https://hdl.handle.net/10131/2758  岩切正介 フロイトとヘルバルト。とくにリントナー編『経験的心理学教本』について Die Beziehung zwischen Freud und Herbart: Lindners Lehrbuch von Psychologie
  6. ^ Malabou, Catherine (2012). The New Wounded: From Neurosis to Brain Damage. New York: Fordham University Press. p. 103. ISBN 9780823239672.
  7. ^ a b c d e f 日本博学倶楽部『「人体の謎」未解決ファイル』PHP研究所、2009年。 
  8. ^ a b 女性の性欲のピークは40歳、50歳というのは間違いだった!”. 竹越 昭彦(浜松町第一クリニック院長). 2023年11月16日閲覧。






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