マル生運動 マル生運動の概要

マル生運動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/27 09:45 UTC 版)

経緯

1960年代末期、国鉄の職場は荒廃しつつあり、生産性も低下しがちであった。そのため、当時の国鉄当局は日本生産性本部の協力を得て、「生産性向上運動」に取り組んだ。

1970年昭和45年)3月、国鉄当局は、職員管理室と能力開発課を設置した[1]

各地の現場では管理職が先頭になり運動に取り組んだが、労働者に取っては労働強化につながった。さらに管理職の威圧的な態度や国労動労組合員の組織的とも言える脱退・鉄労移籍工作が問題化し、国労・動労は日本社会党日本共産党の支援も得て国鉄当局と対決する姿勢を見せ、反マル生闘争を展開した。

当時、「マル生粉砕」などのスローガンをペンキで大書された車両や、同様の趣旨のビラが大量に糊付けされた電車(アジ電車)が首都圏だけでなく地方でも見られ、国鉄の労使対立を国民に強く印象づけることとなった。

1971年(昭和46年)10月8日、公共企業体等労働委員会(現:中央労働委員会)は、国労、動労から当局による組合運動介入であると提訴された16件のうち、2件について「黒」と判定、当局による不当労働行為だと判断・勧告した。マスコミもマル生がすべて誤りであるとの論陣を張り、10月11日、当時の磯崎叡総裁が国会で陳謝することになり運動は失敗に終わった[1]。同年11月2日から紛争対策委員会がスタートし、国労、動労は約1,000名の中間管理職の追放を迫り、当局はこれに応じた。また、管理者に暴行して解雇された職員の再雇用まで行っている。真鍋洋職員局長(後に名古屋臨海鉄道社長)は、1972年(昭和47年)7月に退任した[1]。この闘争勝利で勢いを得た労働者側は、それまでの不当労働行為などに関する管理職への糾弾闘争を開始し、国労・動労は、公共企業体職員のスト権奪還を目指して「スト権スト」へ突入した。

類似概念

ありがとう運動

スト権スト後も組織比率にて低落傾向にあった鉄労が、組織建て直しの為のアピールとして考案した。国労のスト権回復の為のリボンに対抗し、利用者に対して感謝の意を示す為のリボンを付け、挨拶など服務・態度をきちんとしようと言う意図がこめられている[3][4]

類義語

「生産性」という指標があり、大手民鉄JR各社については毎年その報告が義務付けられており、会社要覧などで見ることが出来る。こちらは生産性向上運動と違って厳密な定義がなされている。

  • 従業員一人当たり生産性=車両走行キロ/従業員数

車両走行キロは同一サイズの車形(20 m級大形車両)などで統一して比較する。また、生産性とは相対的な指標として使われることが多く、ある年度のある事業者線区)を基準に指数化されることも多い。

路線の性格が似ているもので行う場合は近代化合理化の進捗度合いなどを比較するために使われ、路線の性格が異なる場合にはその性格の違いを際立たせる場合に使われる。同じ会社で異なる年度で比較し、自社の近代化・合理化の進捗度合いを比較するために使う場合もある。

対義語

ここでは労組側の反撃行為の内、ストライキの範疇ではないものを示す。

三ない運動

国労・動労がそれぞれの労働学校で組合員を「階級闘争の戦士」に仕立て上げる際、好んで使用した。仕事の遂行に必要なことを含めて敵対労組(鉄労)・管理者に対して次の方針を貫徹する。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)と完全に反対の概念でもあり、ネグレクトの一種である[5]

  • 何も教えない
  • 何も聞かせない
  • 何も知らない(知る必要は無い)

三ず主義

三ない運動と比較して、他者に対する指針と言うより自らの行動指針として使われた。これにより労働者側の職場の支配権の確立を期待した[5]

  • 休まず
  • 働かず
  • 無理せず



  1. ^ a b c d 森山欽司 ─反骨のヒューマニスト─ 第十四章 (PDF)”. 2013年8月17日閲覧。
  2. ^ 森山欽司 ─反骨のヒューマニスト─ 第十章 (PDF)”. 2013年8月17日閲覧。
  3. ^ 鉄労意見広告「国鉄運賃の値上げは必要でしょうか」読売新聞1980年1月28日朝刊6面
  4. ^ 柴田秋雄のホテル再生物語〈「日本一幸せな社員」をつくる〉(ISBN 978-4-8062-0617-0 中日新聞社刊)P183~P186に詳細記事あり
  5. ^ a b サンケイ新聞国鉄特別取材班 『これでいいのか国鉄―正確・安全世界一は、なぜ崩壊したか―』所収「消え去った国鉄一家意識」 産業経済新聞社出版局


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