トラス橋 トラスの組み方・架設方法・両者の組み合わせによる分類

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トラス橋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/21 19:00 UTC 版)

トラスの組み方・架設方法・両者の組み合わせによる分類

カンチレバートラス(ゲルバートラス)

クーパー橋の例。中央の青いSuspended Spanが吊桁で、それを両側から方持ち梁が保持している

カンチレバートラス (Cantilever truss) またはゲルバートラス (Gerber truss) とは、トラス構造を持つカンチレバー橋である。通常の橋は橋台や橋脚を支点として桁を架けるが、カンチレバー橋は、吊桁を、両側の橋脚から張り出した片持ち梁(定着桁/碇着桁)がヒンジを介して保持するものである。通常のトラス橋は下弦が引張力を、上弦が圧縮力を受け持つが、カンチレバートラス橋の片持ち梁部分は逆で、上弦が引張力を、下弦が圧縮力を受け持つ。主として大きなスパンが必要な箇所に架けられる。

ハインリッヒ・ゲルバードイツ語版が考案したため、日本ではゲルバー橋とも言われる。


キングポストトラス

キングポストトラス

キングポストトラス (Kingpost truss) とは、下弦が三角形の底辺を、上弦が三角形の2辺を構成し、三角形の頂点から下弦に向けて垂直材を備える、もっともシンプルなトラス橋である。垂直材をキングポスト(真束、しんづか)といい、下弦とともに引張力がかかる。斜材には圧縮力がかかる。スパンの短い橋で使用される。

ワデルトラス

ワデル「A」トラス橋

ワデルトラス (Waddell truss) とは、キングポストトラスの分格トラスである。単純な構造であり、架橋現場での施工も容易。主として鉄道用の橋梁として使われた。

1882年から1886年まで東京大学土木工学を教授し、『日本鉄道橋梁論』の著作もあるジョン・アレキサンダー・ロウ・ワデルが考案し、特許を取得した[2]

クイーンポストトラス

クイーンポストトラス

クイーンポストトラス (Queenpost truss) とは、キングポストトラスを水平方向に拡大する際に、トラス部分を分割し、水平材で延長したものである。古い橋梁の補強として、下部に施工されることがある。

三弦トラス

三弦トラスとは、断面が三角形となったトラス橋である。日本では、水管を弦材として用いる形で水路橋に多用される。


バートラス

バートラス

バートラス (Burr Truss) またはバー・アーチ・トラスとは、アーチとトラスとを組み合わせることで強度を上げた構造である。トラスは橋を構造物として保持するためのみに働き、荷重はアーチが負担する。主として屋根付橋に使用された。

セオドア・バー (Theodore Burr) が1804年に考案し、1817年4月3日に特許を取得した。

ハウトラス

ハウトラス

ハウトラス (Howe truss) とは、斜材を橋中央部から端部に向けて「ハ」の字形状に配置したトラス橋。垂直材に引張力、斜材に圧縮力が生じる。この力の作用の仕方は、プラットトラスと逆である。長くなる斜材が圧縮力を受け持つため、鋼製のトラス橋には採用されず、もっぱら木製の橋のみに採用される。端柱(端部の斜材)の有無は問わない。

マサチューセッツ州のウイリアム・ハウ ( William Howe) が考案し、1840年屋根付橋の設計として特許を取得している。

アラントラス

アラントラス

アラントラス (Allan truss) とは、パーシー・アラン (Percy Allan) がハウトラスをベースに考案したもの。


フィーレンディールトラス

フィーレンディールトラス

フィーレンデールトラス (Vierendeel truss) とは、梯子状の主構を持つ橋。部材を三角形に組んでピン結合する一般のトラスと異なり、部材に曲げの力を加えることで斜材をなくし、剪断力が働かないようにしたものである。トラスという語句が入っているが、部材は剛結されており、ラーメン橋に分類される。

アーサー・フィーレンディール (Arthur Vierendeel) が考案した。

  • 豊海橋 - 日本初のフィーレンディール橋


ブラウントラス

ブラウントラス

ブラウン・トラス (Brown Truss) とは、上弦と下弦が平行である平行トラス。圧縮力がかかる部分に木材を使用して上弦と下弦とを結び、引張荷重がかかる、路床をつり下げるロッドに鉄を使用する。垂直方向の圧縮力を受ける部材はない。屋根付橋で用いられる。

ジョシュア・ブラウン・ジュニア (Josiah Brown Jr.) が考案し、1857年に特許を取得した。

プラットトラス

プラットトラス
Kトラス

プラットトラス (Pratt truss) とは、斜材を橋中央部から端部に向けて「逆ハ」の字形状に配置したものである。垂直材に圧縮力、斜材に引張力が生じる。この力の作用の仕方は、ハウトラスと逆である。斜材がK字形、Y字形となるものもあり、それぞれKトラスYトラスとも称する。端柱(端部の斜材)の有無は問わないが、端柱がある場合は端柱が、ない場合は端部の斜材だけ「ハ」の字形状になる。これも「逆ハ」の字形状になるもはトレリストラスといい、構造が異なる。

ピン結合に適した構造で、日本では明治時代によく採用されたが、やがてより部材が節約でき軽量化を果たせるワーレントラスに移行した。アメリカでは長さ250フィート(76.2メートル)までの鉄道橋を、木橋から鋼橋に架け替える際によく採用された。

マサチューセッツ州のトーマス・プラット (Thomas Willis Pratt) とその父、ケイレブ・プラット (Caleb Pratt) により考案され、1844年に特許が取得された。

径間が長いプラットトラスでは、部材が長大化することによる断面増・重量増、また圧縮材が長大化することにより部材が座屈する可能性が増すことから、部材が長大にならないように格点を追加し、そこから補助的に部材を挿入することで格間を短くしたものがある。それを分格トラスと総称し、さらにいくつかの種類に分かれる。

ペンシルベニアトラス

ペンシルベニアトラス。澱川橋梁

ペンシルベニアトラス (Pennsylvania truss) とは、曲弦の分格トラスである。


ホイップルトラス

ホイップルトラス (Whipple truss) は、プラットトラスの一種で、斜材にはすべて引張力がかかる。特徴的なのは、引張力を受ける部材が長く、多くの場合には細いことである。また、トラス部分は斜材の角度が浅く、二つ以上の支柱間を跨いでいる。


ボルチモアトラス

ボルチモアトラス。このような斜材の配置では構造上弱かった。
ボルチモアトラス。上記の改良形。

ボルチモアトラス (Baltimore truss) とは、平行弦の分格トラスである。圧縮力の加わる斜材が歪むのを防ぐために、載荷弦側に副材を配置する。単純で強度があり、鉄道橋で使用される。


ペグラムトラス

ペグラムトラス

ペグラムトラス (Pegram truss) とは、ワーレントラスパーカートラスを組み合わせた形状をしている。上弦の部材はすべて同じ長さであり、対応する下弦の部材は上弦よりも長い。上弦と下弦を一組として考えると、その長さに差があるため、各支柱間(パネル)は長方形にはならない。パーカートラスで垂直になるべき部材は、側面から見て中央に向けて60 - 75度の角度で斜めに設置される。

ジョージ・H・ペグラム (George H.Pegram) が考案し、1885年に特許を取得した。

ボウストリングトラス

ピン結合の例。トラスはダブルワーレン。松齢橋(福島県)
上路ボウストリングトラスは非常に珍しい存在。剛結合の例。トラスはワーレン。境橋(新潟県)

ボウストリングトラス (Bowstring truss) とは、上弦と下弦がそれぞれ(ボウ)と(ストリング)のような形状となっているもの。特に下路式の場合には端部が大きな開口部となり端部の強度に難が生じるため、現在ではほとんど採用されない。

日本では、1890年代にドイツのハーコート製のプレハブ式のものが70連ほど導入された。プレハブ式であったのは、組み立てに簡便なことを狙ったもので、そのためにピントラス構造であった(ドイツ国内では剛結合が一般的であった)。九州鉄道は47連を導入したが、その後、車両の大型化に伴い架け替えの必要が生じた。架け替えの理由は部材の劣化ではなく、単に設計荷重が少ないためだったので、それでもよい道路橋などに転用された。

下路式のタイド・アーチ (Tied arch) と同じとする見方もあるが、下路式タイド・アーチは基本的にアーチ部分と路床(補剛桁)が圧縮・引張荷重を負担するのに対して、本形式はトラス部分でも圧縮・引張荷重を受ける。トラスの組み方には、プラットトラスとワーレントラスがある。

スクワイア・ホイップル (Squire Whipple) が1840年に特許を取得している。


フィンクトラス

フィンクトラス

フィンクトラス (Fink truss) とは、既存の桁に、トラス構造を用いた補強を施した橋である。用いるトラスの形状には、キングポスト形やクイーンポスト形などがある。

アルバート・フィンク(Albert Fink)が1860年代に考案した。ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道によく見られる。

ベイリー橋

ベイリー橋 (Bailey bridge) とは、軍事用の、プレハブ式の橋。部材は標準化されており、必要に応じて長さを加減できる。

ポストトラス

ポストトラス

ポストトラス (Post truss) とは、ワーレントラスダブル・インターセクション・プラットトラスを融合させた形式である。

シメオン・S・ポスト (Simeon S.Post) が1863年に考案し、特許は取らなかったが、ポスト・パテント・トラスと称されることがある[3]


ボルマン・トラス

ボルマントラス。

ボルマン・トラス (Bollman truss) とは、トラス橋と吊り橋の要素を持つ形式である[4]。下弦(載荷弦)はそれぞれ独立した錬鉄製の引張強度用メンバーによりつり下げられており、これを吊り橋のハンガーロープと同様と見ることができるが、上弦は鋳鉄を使って圧縮に対応している。

独学で鉄道橋梁技術者となったウェンデル・ボルマン (Wendel Bollman) が考案し、1852年に特許を得たもの。全鉄製の鉄道橋として初めて設計に成功したものである。


ワーレントラス

ワーレントラス

ワーレントラス (Warren truss) とは、斜材の向きを交互にしたトラス橋で、トラスが逆「W」形なのが特徴。プラットトラスと異なり垂直材がないため鋼材が節約でき、安価で軽量となる。斜材は橋中央部から端部に向けて「ハ」の字にあたる部分が圧縮力を、「逆ハ」の字にあたる部分が引張力を負担する。中央の「V」字形になる部分では活加重に応じて両者を負担する。

長スパンとなった場合には桁高が高くなり、それに比例して各部材が長く、太くなってしまうため副材として垂直材を設けることがある。垂直材は、端部から中央部にかけて、引張力と圧縮力を交互に負担する。

日本では、明治初期に小さなものが使用された後、しばらくはプラットトラスが主流となったが、昭和に入って再び使用されはじめた。

ジェームス・ワーレン (James Warren) とウイロビ・モンザニ (Willoughby Theobald Monzani) により1848年、特許が取得された。


ダブルワーレントラス

ダブルワーレントラス

ダブルワーレントラス (Double Warren truss) とは、斜材をすべて「X字形」に交差したもの。斜材への負担のかかり方は、通常のワーレントラスと変わらない。垂直材を追加したタイプもある。日本では明治時代に架けられた鉄橋のうち、1径間(1スパン)が比較的長い箇所では、ワーレントラスを採用すると強度が不足するため、強度を高められたダブルワーレントラスが採用された。しかし、径間や強度の割に多くの鋼材を要するため、技術が進んだ大正時代以降は採用が減少した。


ラティストラス

ラティストラス

ラティストラス (Lattice truss) は、部材を格子状に組んだものである。主として木材が使用され、施工が容易であるとともに強固である。日本では1917年に国鉄でいくつか採用されたが、その理由は大型鋼板が入手できないことによるガーダー橋の代用品的存在であった。


レンティキュラートラス

レンティキュラートラス。南河内橋

レンティキュラートラス (Lenticular truss) またはレンズトラス (Lens truss) は、水平方向の圧縮力と引張力が釣り合うため、それらの力はアーチを支える橋脚や橋台には伝わらない。これは、ほとんどのアーチ橋と同じ性質である。そのため、トラスを地上で組み立ててからジャッキアップして架橋するという施工方法をとることができる。

19世紀にイザムバード・キングダム・ブルネルにより鉄道用の橋梁として考案された。日本で架橋されたのは3例のみであり、下記の南河内橋が唯一の現存例である。


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  1. ^ http://www.smcon.co.jp/news/2006/060222.html
  2. ^ U.S.Patent529,220
  3. ^ Jackson, Donald C. (1995). Great American Bridges and Dams. New York: John Wiley & Sons. p. 92. ISBN 9780471143857. 
  4. ^ Caplinger, Michael W. (1999年7月16日). “National Register of Histroic Places Nomination: Bollman Truss Railroad Bridge (PDF)”. National Park Service. 2009年3月18日閲覧。
  5. ^ 土木学会選奨土木遺産
  6. ^ 山形県HPJR左沢線最上川橋梁


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