【機動】(きどう)
より正確に定義すれば、何らかの軍事的機会を得るために(または失わないために)移動する事。
部隊の展開、突撃、迂回、各種兵器の輸送と配置、兵站輸送、撤退、ドッグファイトなど、様々な視点から見た様々な動きが含まれる。
どの視点から見ても、効率的な機動(高い機動力)が勝利と生存のために不可欠である点で意見が一致する。
ただし、実際に必要な機動力がどの程度なのかについては時代や状況ごとに千差万別で研究者の意見も一致しない。
一般に機動力は破壊力、対応防御、兵員数などと両立しないためだ。
人海戦術や艦隊決戦など膨大な数が入り乱れる戦場では、多少機動力が優れていても数の差を覆すほどの優位は得られない。
だが追随不可能なほど圧倒的な機動力優位を得られれば、ほぼ全ての場面でアウトレンジが成立するため数の差も投射弾量の差もさしたる意味を持たなくなる。
ほとんどの戦争はこの両者の中間で、兵数・火力と機動力をどれだけ“バランス良く”配分できるかが勝敗を大きく左右する。
機動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/02 06:35 UTC 版)
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機動(きどう、英: maneuver:マニューバ)とは、一般に作戦行動において戦力を適切な時点に、適切な地点に位置(占位)させるための部隊の運動である。
概要
機動とは戦闘を構成する最も基本的な要素の一つであり、それは単に部隊の運動(movement)を意味するだけでなく、作戦行動において合理的に選択された運動を指している。より厳密に定義するならば、部隊が単にある地点から別の地点へ移ることは単純に運動と呼ぶことができるが、戦闘状態において敵と相互に有利な位置関係を争っている場面で、戦術的な決断の下で実行される運動は機動である。したがって機動とは、戦場における部隊の戦闘行動の重要な要素であり、アメリカ軍の野戦教範100-5では、敵の包囲、迂回、孤立化を意図した攻撃を意味する行動とも述べている。
さらに効果的な機動を成功させることで、不利な地形へと敵を自ら移動させることが可能であるとも同教範は指摘している。これは指揮官の心理として、部隊にとって脆弱である側面や背後を優先的に守ろうとするためにしばしば生じる事態である。火力によるのではなく、このように機動によって敵の部隊を退かせるような戦闘は機動戦(maneuver warfare)と呼ばれ、紀元前490年のマラトンの戦い、紀元前371年のレウクトラの戦い、216年のカンナエの戦い、1757年のロイテンの戦いなどはそのような機動戦が展開された古典的な戦史と言える。
分類
行軍
行軍(traveling)とは、戦場以外において部隊が移動(運動)することをいう。行軍は敵部隊との接触の蓋然性、地形による隊形・運動への影響、安全性と効率性の関係、続く戦闘展開への移行などを考慮し、移動速度や隊形を定めて行われる。
包囲
包囲(envelopment)とは、敵を捕捉して撃滅することを目的とし、敵を正面に捕捉しつつ主力部隊で敵の背後を攻撃して退路を遮断する攻撃機動の方式。また「反包囲」とは包囲を試みる部隊を逆に包囲する攻撃機動をいう(突破とあわせて攻撃の方式として考えられている)。また包囲された部隊がその包囲に対抗して行う攻撃行動を「解囲攻撃」と呼び通常その攻撃は後続部隊の通路を確保するための突破口形成部隊の突破によって構成される。
迂回
迂回(turning movement)とは、敵をより自軍にとって有利な戦場へ誘い込むことを目的とし、敵の後方連絡線を遮断する攻撃機動の方式。包囲はその場での撃滅を目的としているが、迂回はあくまでも敵が移動せざるを得ないようにし向けることにその目的がある。
突破
突破(penetration,breakthrough)とは、敵防御の正面に位置する戦闘部隊を破砕し、その突破口を拡大して各個撃破することにより敵防御を破砕する攻撃機動の方式をいう。防御陣地を素早く破砕して間隙をつくることを「突破口の形成」、これ行う部隊を「突破口形成部隊」という。
戦略機動
敵に対して戦略的な優位を占めるために実行される機動をいう。最高司令部が立案して実施する全国的な規模の部隊の機動と、地方的統合軍・方面隊が自己の作戦領域の範囲内で行う地域的な規模の部隊の機動の二種類がある。
戦術機動
敵に対して戦術的な優位を占めるために実行される機動を言う。これには接敵機動と戦場機動の二種類がある。接敵機動(movement to contact,advance to contact、接敵運動)とは、戦闘態勢を有利に整えるために戦闘に先立って行われる機動であり、場合によって接触を失った敵に対する積極的な攻勢行動をいう。戦場機動(battle field maneuver)とは、戦場において敵に対してより有効かつ効率的に打撃を行える態勢に移るための機動をいう。
「機動」の語を含む事物
- 軍事に関すること
- 警察の組織に関すること
脚注
参考文献
- Creveld, M. L. Van., S. L. Canby, and K. S. Brower. 2002. Air Power and Maneuver Warfare. Univ. Press of the Pacific.
- Liddell Hart, B. H. 1974. Strategy. New York: Signet Books.
- 市川良一訳『戦略論 間接的アプローチ 上下』原書房、2010年
- Leonhard, R. 1994. The art of maneuver: Maneuver warfare theory and airland battle. Presidio Press.
- Lind, W. S. 1985. Maneuver warfare handbook. Boulder, Colo.: Westview Press.
- Lupfer, T. 1981. The dynamics of doctrine: The changes in German tactical doctrine during the First World War. Ft. Leavenworth, Kans.: Combat Studies Institute.
- Simpkin, R. E. 1985. Race to the swift. London: Brassey's.
- U.S. Department of the Army. Field manual 100-5: Operations. Washington, D.C.: Government Printing Office. 1982.
関連項目
機動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 09:07 UTC 版)
近代以降の歩兵はそのほとんどが装甲兵員輸送車やトラック、ヘリコプターなどで移動することが一般的になっており、地域間の機動力は非常に高まっている。しかし戦場において歩兵が十分に戦闘力を発揮するためには下車し、徒歩で機動しなければならない。歩兵の機動は一定の論理に基づいており、状況に応じて隊形や移動ルート、姿勢、チームワークのパターンに従って機動が行われなくてはならない。基本的に、まず壁や壕、くぼ地などのあらゆる遮蔽物を活用し、銃火にさらされる時間を可能な限り縮めなければならない。そして、どうしても敵に姿を見せなければ移動できない場合は次に移動する場所を予め決め、すばやく低姿勢で2~5秒程度で隠れなければ、敵の狙い撃ちを受ける危険性が高まる。
※この「機動」の解説は、「歩兵の戦術」の解説の一部です。
「機動」を含む「歩兵の戦術」の記事については、「歩兵の戦術」の概要を参照ください。
機動
「機動」の例文・使い方・用例・文例
- 機動隊がデモ参加者によって作られた人間の鎖を打ち破った
- 機動隊がデモ隊を解散させた
- 機動隊はデモ隊を追い返した
- 機動演習をする
- 機動部隊
- 雨のように石が機動隊にめがけて投げつけられた
- この仕組みは機動性に欠ける。
- 機動隊が現場に到着した。
- 2機動部隊の戦闘.
- 機動化部隊, 機動隊.
- 密集した機動隊.
- 紛争をあらかじめ阻止するために機動隊が派遣された.
- 航空機が行う機動
- 太平洋戦争の分岐点と記された、我々の海軍機動部隊の捨て身の勇敢さ−G.C.マーシャル
- グラム陽性の桿菌を持つコリネバクテリウム属有酸素機動性菌の属
- 非常に機動性がある船
- 高い機動性、四輪駆動がよる多目的の軍の車両
- 敵航空機を迎撃するよう考案された、機動性のある高速戦闘機
- 緊急事態に素早く対応できるように訓練された人々(警察、行政官、官僚など)の機動性を持ったグループ
- 米国移民帰化局の機動性のある法律執行部門で、外国人の米国への不法入国を見つけ出して阻止する
機動と同じ種類の言葉
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