TPPと衆議院選挙公約問題
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「第2次安倍内閣」の記事における「TPPと衆議院選挙公約問題」の解説
2013年3月15日、TPP交渉参加表明を行った。なお、第46回衆議院議員総選挙の前に麻生太郎が野田佳彦(内閣総理大臣、当時)に電話し、「TPPをやってくれ。それがあなたの最後の仕事だ」と迫っていたことが判明している。6月2日には、山形県の県農協政治連盟が反TPP参加を掲げるみどりの風の舟山康江の推薦を決めたことに対して、自民党の西川公也が「いま自民党を敵にして農業が大丈夫だと思っているのか」と激昂した。 安倍は3月18日の予算委員会でTPP反対の北海道選出議員を念頭に「国益と自民党の党益が相反するときには自民党なんか解散するんですよ。当たり前じゃありませんか」と答弁し、自民党内の慎重派に対して「政府に条件をつけ過ぎている」と批判している日本維新の会の橋下徹との連携も視野に入れているとされる。 2013年3月24日、自動車・保険以外の「非関税措置」に関する協議の決着も、交渉参加に不可欠な米議会通告の前提条件とされていることが明らかになった。長期化して日本の交渉参加を遅らせたり、米側への譲歩を2カ国間の取引で解決することを目指しているとみられる。米国との事前折衝については、4月1日に菅官房長官があくまで7月からの交渉参加を目指す方針を示し、これ以上遅れると日本の立場を『主張できなくなる』ので『ギリギリの時期だ』との見解を示したが、実際には、「著作権保護期間の延長」や「商標権に関して損害額を証明をできなくても裁判所が賠償金額を決められる『法定損害賠償』の導入」などで米側が攻勢を強めているといわれている。 2013年4月9日、自動車・保険分野での米国との事前協議がまとまる公算となり、7月中に交渉参加の方向となった。12日に発表された事前協議の合意によると、実に9つもの分野の非関税措置(「知的財産権」、「保険分野」、「透明性と貿易円滑化」、「食品の安全基準」、企業などの競争を促す「競争政策」、公共事業などの「政府調達」、「投資のルール」、「宅配便」、工業製品などの「規格や基準」)が日米2ヶ国間の直接協議の対象となり、日米経済調和対話や年次改革要望書と内容が重複する部分が多い。さらに、交渉参加との交換条件で、乗用車やトラックにかける関税を最大限維持することが早々に決定されたことに日本自動車工業会からは落胆の声があがり、その一方で農産物の聖域化は具体案が交渉入り後にしか決定されず、聖域が認められてもごく一部に限定されるとみられることから、壊滅的なダメージが出ると予測される北海道を中心に反発が広がっている。また、韓国の国会議員が米議会の議員に対して、歴史認識問題と絡めてTPP交渉を判断するように米国に求める書簡を送っている。2013年5月17日、マレーシアで行われる7月のTPP会合が15日から24日までの日程で開かれる見通しとなったため、米国との事前折衝の目的であった早期の交渉参加そのものが(米国の議会承認は23日であるため)実質的には退けられた形となった。その後、日本側の要請で1日だけ会期が延長され、見解の表明と独自の提案のみは実施できる見通しとなった。 内閣総理大臣の安倍晋三は、政治家となって以来、国を開いて日本の社会や市場をオープンにする事を哲学とし「世界に対してどこまでも、広々と、オープンにつながる日本」を求めており、2013年、6月19日にロンドンで行われた講演で「ではいかにして、成長を図るのか。国を開くこと、日本の市場を、オープンにすることです。これは、政治家となって以来、私の中に流れる一貫した哲学でした。」と国を開いていく意欲を示した。「もはや、国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました。」「(日米)両国が、TPPをつくるのは、歴史の必然です。」との見解を示し、グローバル企業活動の国境の撤廃を目指している。また、2013年7月26日、シンガポールで行った講演では「世界一、ビジネス・フレンドリーな国にしたいと、私たちは言い続けています。この点、シンガポールに追いつき、できれば追い越したい。真剣に、そう思っています。」と述べ、2013年9月25日、ニューヨーク証券取引所で行った講演では、「私は、日本を、アメリカのようにベンチャー精神のあふれる、「起業大国」にしていきたいと考えています。」とも述べている。
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