ISO/TS 16949 の内容
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「ISO 16949」の記事における「ISO/TS 16949 の内容」の解説
ISO/TS 16949 は ISO 9001を基にした共通仕様であるので、基本的な内容はISO 9001と同じである。例えば品質マネジメントの8つの原則は、そのまま ISO/TS 16949 にも当てはまる。品質マネジメント8つの原則とは以下の原則のことである。 顧客重視(Customer focus) リーダーシップ(Leadership) 人々の参画(Involvement of people) プロセスアプローチ(Process approach) マネジメントへのシステムアプローチ(System approach to management) 継続的改善(Continual improvement) 意思決定への事実に基づくアプローチ(Factual approach to decision making) 供給者との互恵関係(Mutually beneficial supplier relationships) これらの原則が実施されていることを示し、また組織に周知させることは経営者のなすべきことであり 、ISO/TS 16949 の各要求事項は、これらの原則のどれかに必ず対応している。 章立ても ISO 9001 とまったく同じである。 0章 序文 ISO 9001の当該部分とほとんど同じであるが、ISO/TS 16949 が目指しているのは、継続的な改善、不良品の予防、ばらつき幅の減少及び無駄の削減を実現する品質マネジメントシステムの構築であることが述べられ、いくつもの認証を受けることを避けるための統一仕様であることが付記されている。 1章 適用範囲 これもISO 9001の当該部分とほとんど同じであるが、デザインセンター、本社、倉庫・配送センターというような部門は、それが製造工場と別の場所にあっても、製造工場のサポート部門と位置づけられ、このサポート部門単独で ISO/TS 16949 の認証を受けることはできない。また、ISO 9001 は非製造業の組織に適用することを想定して、第7章 製品の実現 を適用しないことを許しているが、ISO/TS 16949 は表題にもある通り、最初から製造に携わる組織への適用を想定しているので、適用が除外できるのは 7.3章 設計・開発 のみとしている 。これは完成車メーカーや上位のサプライヤーが設計を担当し、製造だけを当該の組織に任せる場合があるからである。7.3章を除外したとしても、製造プロセスの設計は除外できない。 2章 関連規格 ISO 9001からの引用であり、ISO 9000「品質マネジメントシステム-基礎と用語」の最新版が必要な参照規格であることが述べられている。ISO/TS 16949:2009でこれに付け加えられている追加項目はない。 3章 用語と定義 コントロールプラン、 重要特性(special characteristics)などISO/TS 16949 で使われている12の用語を定義している。 4章 品質マネジメントシステム この章では品質マネジメントシステム全体に対する基本的な要求事項を規定している。システムの個別の要素に対する5章以下の内容と重複している部分もある。ISO/TS 16949:2002 以降の版では、文書化よりも、プロセスそのものに比重を移しており、この章でも効率的なマネジメントシステム作りに重要な要素を規定している。 5章 経営者の責任 この章では経営者の責任を規定している。何よりも、品質マネジメントシステムを構築しそれを適用していくことに経営者が深くかかわってることを示さなければならない。具体的には、顧客の必要や期待をつかみ、それを織り込んで方針を作成し、具体的な目標を設定し、実現のために社内の環境を整えることに経営者が参加することが必要である。また、これらのことが実際に実現・達成できているかどうかレビューすることも経営者に求めている。 6章 資源の運用管理 資源の一つである人については、ポジションに必要な能力をまず規定することが求められている。能力とは単に学歴とか資格ということではなく、そのポジションの業務を成し遂げる力量のことである。設計にかかわるポジションの能力については、特にこのことが明示的に求められている 。労働環境や工場、設備がどうあるべきかについてもこの章で規定している。 7章 製品実現 もっとも分量の多い章である。実際に製品を製造する過程を企画、設計・開発、購買、製造、確認・測定に分けて、それぞれがどうあるべきかを規定している。ISO/TS 16949 では、製品設計および工程設計の成果の一つとしてFMEAが含まれることを具体的に述べている 。また製品実現は顧客の必要や要求を実現する過程でもあり、顧客の必要や要求に合致させるための仕組みを作るべきであることも規定している。 8章 測定、分析、改善 (1) 製品が要求項目に合致していることを示すため、(2) 品質マネジメントシステムがしかるべきものであることを確認するため、さらに、(3) 品質マネジメントシステムの効率を常に改善するために、測定、分析、改善の仕組みを整えなければならないとしている 。測定機器の管理の仕組みについては、前章に規定されている。 ISO 9001の章立てに加えて、ISO/TS 16949 では附則Aとして、コントロールプランの書式を規定している。コントロールプランとは、製造工程にそって、どの工程で、どの項目を、どのように、どれくらいの頻度で確認するかをまとめた一覧表である。ISO/TS 16949 ではコントロールプランを製造工程や部品、材料について必ず作成するように決められている。AIAGのファイブコアツールの手引書の中では、APQPの手引書でコントロールプランについてより詳しく解説している。
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