2020年代 限界を超えて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 06:57 UTC 版)
「CPU年表」の記事における「2020年代 限界を超えて」の解説
最先端半導体工場の設備投資がますます巨大化する中、最先端プロセスの開発競争では、世界最大手ファウンドリであるTSMCの独走状態が定着した。かつて設計と製造の垂直統合(IDM)で圧倒的な強みを誇ったインテルは、2016年以来10nmプロセス(TSMCの7nmプロセス相当)の立ち上げに苦戦し、ファブレスメーカーの攻勢に苦しんでいる。かつてムーアの法則の終わりと考えられていた5ナノメートルを超えても、多層配線技術などを駆使したトランジスタ密度向上の試みは続いているものの、半導体プロセスの微細化が鈍化したため、チップレットなどのパッケージ技術に重点が置かれる。 下位製造メーカーの撤退、レガシー製造設備のスクラップにより半導体の供給余力が減少する中、コロナ禍による「巣ごもり需要」の増加やAI(人工知能)技術の発展、第5世代移動通信システムの普及、車載半導体やIoT機器など需要増要因が重なり、世界的な半導体不足が発生した。 2020年3月3日 Ampere、Armアーキテクチャを採用したクラウド用サーバー向けプロセッサ「Ampere Altra」を発表。64ビット80コアCPU。2018年に設立した同社初の製品で、Neoverse N1アーキテクチャをベースに設計した。 TSMCの7nmプロセスで製造されており、EPYC 7742やXeon Platinum 8280などの競合のx86プロセッサと比較して電力効率だけでなく絶対性能でも並ぶか上回った。 2020年5月 インテル、Comet Lakeアーキテクチャ採用の第10世代core iシリーズを発表。64ビットマルチコアCPU。Core i7が8コア16スレッド、Core i5が6コア12スレッド、Core i3が4コア8スレッド。 Coffee Lakeマイクロアーキテクチャの後継だが、インテルの製造プロセスの停滞により、製造プロセスは14nmプロセスと変わっていない。 2020年6月 インテル、ハイブリッドプロセッサ「Lakefield」を発表。モバイル製品向けPoP。10nmプロセスの高速な「Sunny Cove」コアと22nmプロセスの低消費電力な「Tremont」コアを組み合わせ、GPU、PCH、DRAMなどをパッケージ内に統合した。 2020年8月 IBM、POWER10を発表。64ビットマルチコアCPU。AIの推論処理性能をPOWER9比10倍以上に高めた。ペタバイト級のメモリの利用を前提に他のシステムのメモリを共有できる「Memory Inception」と呼ぶ機能を搭載。搭載システムは2021年下半期に出荷予定。 サムスンの7nmプロセスで製造される。 2020年10月8日 AMD、ZEN 3アーキテクチャを採用した第4世代Ryzenシリーズを発表。TSMCの7nmプロセス。 対応チップセットはX570、B550。BIOSのアップデートで一部のX470、B450が対応する。 2020年11月10日 アップル、M1を搭載したMacBook AirとMacBook Proをリリース。ArmコアとGPU、周辺回路を集積した独自開発のSoC。TSMCの5nmプロセスで製造されており、このプロセスを使用したパソコン用チップとしてはこれが世界初である。 従来スマートフォン向けに展開してきたAppleシリコンをパソコンに適用したもので、パソコンにおいても汎用CPUからカスタムチップへの転換が本格化した。 2021年3月17日 インテル、Rocket Lakeアーキテクチャを採用した第11世代Coreシリーズを発表。14nmプロセスから変更なし。 対応ソケットはLGA1200。 2021年3月23日 インテル、「IDM 2.0」構想を発表。従来の同社の製造と設計の垂直統合(IDM)戦略を転換。CPUの製造でも(TSMCなどの)ファウンドリを活用する一方、インテル自身がファウンドリとなる製造受託を推進する。 2021年4月12日 NVIDIA、データセンター向けCPU「Grace」を発表。NVIDIAとして初の汎用マイクロプロセッサ製品。Armの「Neoverse」コアと、独自開発の「NVLink」バスを組み合わせ、同社GPUとの緊密な連携による高性能を狙う。2023年に市場投入予定。 2021年10月27日 インテル、Alder Lakeアーキテクチャを採用した第12世代Coreシリーズを発表。高性能なPコアと高効率なEコアを搭載し、10nmプロセスとなった。対応ソケットはLGA1700。
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