雨の表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 21:36 UTC 版)
日本は雨が多く四季の変化に富み、雨に関する語彙、雨の異名が豊富であるとされる。 雨の強さや降り方による表現 霧雨霧のように細かい雨。雨粒の大きさが0.5mm未満の雨(気象庁の定義)。 小糠雨(糠雨)糠のように非常に細かい雨粒が、音を立てずに静かに降るさま。 細雨あまり強くない雨がしとしとと降り続くさま。 小雨弱い雨。あまり粒の大きくない雨が、それほど長くない時間降って止む雨。 微雨急に降り出すが、あまり強くなくすぐに止み、濡れてもすぐ乾く程度の雨。 時雨(しぐれ)あまり強くないが降ったり止んだりする雨。特に晩秋から初冬にかけての、晴れていたかと思うとサアーッと降り、傘をさす間もなく青空が戻ってくるような通り雨を指す。 俄雨(にわかあめ)降りだしてすぐに止む雨。降ったり止んだり、強さの変化が激しい雨。夏に降る俄雨は夕立、狐の嫁入り、天照雨などと呼ばれる。肘かさ雨、驟雨(しゅうう)と同義。 地雨あまり強くない雨が広範囲に一様に降るさま。俄雨に対し、しとしと降り続く雨で、勢いが急に変化するのは稀。 村雨降りだしてすぐに止む雨。群雨、業雨などとも書く。地方によっては「鈍雨」(とんぺい)」とも呼ばれる。 村時雨(むらしぐれ)ひとしきり強く降っては通り過ぎて行く雨。降り方によって片時雨、横時雨、時間によって朝時雨、夕時雨、小夜時雨と分ける。 片時雨ひとところに降る村時雨。地雨性の村時雨。 横時雨横殴りに降る村時雨。 涙雨涙のようにほんの少しだけ降る雨。また、悲しいときや嬉しいときなど、感情の変化を映した雨。 天気雨晴れているにもかかわらず降る雨。 通り雨雨雲がすぐ通り過ぎてしまい、降りだしてすぐに止む雨。 スコール短時間に猛烈な雨が降るさま。熱帯地方で雨を伴ってやってくる突然の強風に由来する。 大雨大量に降る雨(一般的な認識)。大雨注意報基準以上の雨(気象庁の定義)。 豪雨大量に降る激しい雨(一般的な認識)。著しい災害が発生した顕著な大雨現象(気象庁の定義)。 雷雨雷を伴った激しい雨。普通は短時間に激しく雨が降る場合が多い。 風雨風を伴った激しい雨。 長雨数日以上降り続くような、まとまった雨。 季節による表現 春雨(はるさめ)春にあまり強くなくしとしとと降る雨。地雨性のしっとりとした菜種梅雨の頃の雨を指す。桜の花が咲くころは、花を散らせるので「花散らしの雨」とも呼ばれる。 菜種梅雨3月から4月ごろにみられる、しとしとと降り続く雨。菜の花が咲くころの雨。特に三月下旬かる四月にかけて、関東から西の地方で天気がぐずつく時期を指す。 五月雨(さみだれ)かつては梅雨の事を指した。現在は5月に降るまとまった雨を指すこともある。また、五月雨に対して、この梅雨の晴れ間を五月晴れというが、5月の爽やかな晴天をさすことがある。 走り梅雨梅雨入り前の、雨続きの天候。 梅雨(ばいう、つゆ)地域差があるが5月 - 7月にかけて、しとしとと長く降り続く雨。 暴れ梅雨梅雨の終盤に降る、まとまった激しい雨。「荒梅雨」とも言う。 送り梅雨梅雨の終わりに降る、雷を伴うような雨。 帰り梅雨梅雨明けと思っていたところに再びやってくる長雨。「返り梅雨」、「戻り梅雨」ともいう。 緑雨新緑のころに降る雨。翠雨の一種。 麦雨麦の熟する頃に降る雨。翠雨の一種。 夕立夏によく見られる突然の雷雨。あるいは単に夏の俄雨を指す。午後、特に夕方前後に降ることが多い。白雨(はくう)ともいう。 狐の嫁入り夕立の、特に日が照っているのに降る雨をさす。天照雨(さばえ)などともいう。 秋雨(あきさめ)秋に降る、しとしとと降る雨。特に9月から10月にかけての長雨をさす。秋雨前線によって起こり、台風シーズンの特徴。秋霖(しゅうりん)。 秋時雨秋の終わりに降る時雨。 秋入梅秋雨。秋雨の入り。 液雨冬の初めの時雨。立冬から小雪のころの時雨。 寒九の雨寒に入って(小寒を寒の入りという)9日目の雨。豊年の兆しとされる。 寒の雨(かんのあめ)寒の内(大寒から節分まで)に降る雨。 山茶花梅雨11月から12月ごろにみられる、しとしとと降り続く雨。山茶花が咲くころの雨。 氷雨冬に降る冷たい雨。雹や霰のことを指すこともある。 淫雨梅雨のようにしとしとと長く降り続き、なかなか止まない雨。 その他の区分からの表現 私雨(わたくしあめ)ある限られた土地だけに降る雨。転じて個人の利得の意もある。 外待雨(ほまちあめ)局地的な、限られた人だけを潤す雨。 翠雨(すいう)青葉に降りかかる雨。時期によって緑雨、麦雨、草木を潤す雨という視点で甘雨、瑞雨と区別する。 甘雨(かんう)草木を潤す雨。翠雨の一種。 瑞雨(ずいう)穀物の成長を助ける雨。翠雨の一種。 慈雨恵みの雨。少雨や干ばつのときに大地を潤す待望の雨。 比較的新しい雨に関する言葉も生まれている。明確な定義はないものの、微妙に異なった意味で使用されている。 集中豪雨限られた場所に集中的に降る激しい雨(一般的な認識)。警報基準を超えるような局地的な大雨(気象庁の定義)。局地的豪雨。局地豪雨。 ゲリラ雨・ゲリラ豪雨限られた場所に短い時間集中的に降る、突然の激しい雨。 短時間強雨短い時間に集中的に降る強い雨。 ゲリラ雷雨雷を伴ったゲリラ雨・ゲリラ豪雨。
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