重爆特攻隊菊水隊との出撃とは? わかりやすく解説

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重爆特攻隊菊水隊との出撃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 07:57 UTC 版)

万朶隊」の記事における「重爆特攻隊菊水隊との出撃」の解説

第4航空軍特攻痛撃受けたミンドロ島攻略部隊は、特攻機をかわすため陽動作戦行いミンドロ島直接向かうのではなくパラワン島針路向けた第4航空軍はこの陽動作戦ひっかかりアメリカ軍目標パラワン島もしくはネグロス島誤認した慌てた富永は第5飛行団一〇〇式重爆撃機での全力特攻命じた。第5飛行団100式重爆撃機陸軍対艦攻撃専門部隊として、北海道跳飛爆撃の猛訓練積んで意気揚々とフィリピンにはせ参じていたが、他の跳飛爆撃部隊同様に戦果挙げると無く損失だけが増えて当初56機あった一〇〇式重爆撃機12月13日には9機にまで減っていた。つい先日12月9日にも、レイテ島オルモック湾来襲した連合軍上陸艦隊を7機で攻撃して戦果もないまま2機を損失たばかりであった今まで戦績踏まえて参謀長の隈部らが鈍重な重爆特攻出しても敵戦闘機餌食なるだけだと反対意見述べたが、富永併せて60機の戦闘機護衛に付けることを命じて作戦強行された。富永命令受けた第5飛行団団長小川二郎少将は、今まで戦歴により重爆による艦船攻撃は非常に困難であった痛感させられており、重爆特性理解しない航空用法に反発したが、しかし、どうせ全滅する飛行団であれば特攻潔く散るのも一案思い直して指揮下の飛行95戦隊飛行74戦隊全力出撃命じた小川出撃する重爆指揮官丸山正大尉を呼ぶと、同じ重爆撃機特攻隊であった富嶽隊」の攻撃失敗を例に出して徒らに死に急ぎせず、慎重に機会待て戦闘機出会った直ち退避せよ」「乗員できるだけ少なく」と指示し丸山は「必ずご期待そうようやります」と答えたが、重爆隊員士気極めて高く、また敵戦闘機との交戦予期していたため、丸山小川指示をまもることはなく、8名の定員を1名減の7名に減らした止めた小川指示にも関わらず丸山以下隊員らは初めから生還考えておらず、全員遺品整理し下着取り替え縛帯救命胴衣)を脱ぎ捨てて決死覚悟固めると、死を覚悟しながらも冷静に作戦検討し「一番大きな敵船攻撃しよう。まず私が爆撃をしかけるので、前方射手機銃を全弾撃ち込んでくれ。爆撃後敵船飛び越して海面スレスレを飛ぶから、今度後部射手機銃を全弾、撃ち込んでほしい。それでも敵船が沈まなかったら反転して突っ込むから覚悟してもらいたい」と決めている。 重爆撃機特攻隊は「菊水隊」と命名された。「万朶隊佐々木戦後主張によれば、このとき佐々木はたった1機で「菊水隊」に同行命じられたとしており、このことは小川から丸山ら「菊水隊」の特攻隊員にも伝えられたと推測する者もいるが、小川自身回想ではそのような事実確認できず、また実際に丸山から出撃命令受けた飛行95戦隊中村真によれば丸山からは「それぞれ確実な方法で敵を撃沈せよ」だけの訓示があって、特に佐々木対す言及もなく、実際に中村たちは佐々木同行することは全く認識していなかった。 12月14日午前6時45分飛行95戦隊の7機の一〇〇式重爆撃機でクラーク・フィールド飛行場離陸その後にデルカメルン飛行場から出撃した飛行74戦隊の2機と合流し護衛戦闘機合流するためマニラ向かいしばらく旋回していた。計画であれば午前7時60機の護衛戦闘機合流するはずであったが、同時になって戦闘機の姿は見えなかったので、指揮官丸山は「菊水隊単独での進撃命じた小川出撃前に確実に護衛戦闘機同行するようにと念を押していたのに、「菊水隊」が単独進撃したという知らせ聞いて沈痛な思いになったという。丸山普段から編隊飛行やかましく、編隊での対空戦闘緻密にシミュレーションするような勇壮というよりは慎重な指揮官であったが、なぜ小川指示守らず重爆による単独進撃決断したかは不明である。中野和彦少佐率い飛行第13戦隊の隼13機が護衛についたとも言われているが、隊員中村によれば見えたのは3機の隼と偵察機1機のみで、やがてその護衛機隔てられ分離してしまい、「菊水隊」は護衛戦闘機がいない状況での進撃余儀なくされた。佐々木主張によれば、「菊水隊」は佐々木機と合流するためにカローカン飛行場到達するとしばらく旋回していたが、佐々木機は離陸失敗して滑走路外に機体飛び出してしまい、佐々木そのまま出撃すると無く飛行場上空旋回している「菊水隊」に手を振って見送った佐々木は「菊水隊」と一緒では危なかった考えていたので、離陸失敗してよかったと胸をなで下ろしていたと主張していたが、そのような事実確認できず「菊水隊」がマニラ上空待っていたのは、佐々木ではなく護衛戦闘機であった。 「菊水隊」はミンドロ島達する前のパナイ上空で、アメリカ軍戦闘機P-47」に補足されて、戦闘隊形をとって必死に応戦した次々と撃墜されて、「敵戦闘機に襲わる!」との悲痛な打電最後に全滅した第4航空軍は「菊水隊」を含むこの日の特攻機60機の護衛機をつける計画であったが、飛行第13戦隊の隼13となってしまったことや、飛行第13戦隊護衛任務で3機の隼を失いながらも、肝心菊水隊からは認識されていなかったなど、護衛機としての用をなしておらず、現場部隊連携稚拙さも攻撃失敗原因となった。「菊水隊」の全滅は、とりあえ特攻隊として出撃させればそれで事足りるとする当時日本軍上層部姿勢如実に表した事象として批判されることも多く団長小川は、熟練重爆搭乗員多数一〇〇式重爆撃機擁してフィリピン進出しながら、ほとんど戦果挙げるともなく壊滅したことを「川の中州一軒家洪水会い押し流されてるような」と振り返っている。

※この「重爆特攻隊菊水隊との出撃」の解説は、「万朶隊」の解説の一部です。
「重爆特攻隊菊水隊との出撃」を含む「万朶隊」の記事については、「万朶隊」の概要を参照ください。

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