酒税法の例外規定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 10:30 UTC 版)
1962年に改正された酒税法は、一定の条件の下で、消費者が自分で飲むための混和を「製造行為」と見なさないとする例外規定を設けている(酒税法第43条11項)。 アルコール度数が20度以上で、すでに酒税が納付された酒類を使う(蒸留酒との見解があり醸造酒を使用する場合は国税庁へ意見を求めること)。 糖類、梅など、下記の物品以外のものを混和する(酒税法施行規則第13条第3項)。米・麦・あわ・とうもろこし・こうりゃん・きび・ひえ・でんぷんまたはこれらのこうじ ぶどう(やまぶどうも含む) アミノ酸もしくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物もしくはその塩類、有機酸もしくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす 新たにアルコール分1度以上の発酵がない(酒税法施行令第50条14項) 醸造酒など、アルコール度数が20度未満の酒を使う場合や、上記の物品を混和した場合は、漬け込む過程で醗酵が生じ、アルコールが生成される可能性がある。つまり、上記は、漬け込む過程で1%以上のアルコールが生成しないという条件に基づいて設けられた規定である。従って10〜14度の一般的なみりんなどに漬け込むと法律違反となる(酒税法施行令第50条第10項の1)。また、使用する酒は蒸留酒でなくてはならない(したがってサングリアなども家庭用であっても酒税法違反である)。 メディア等で、梅酒の作り方を紹介した際に問題となったケースがある。 2007年6月14日、テレビ番組『きょうの料理』(日本放送協会)の「特集★わが家に伝わる漬け物・保存食〜梅酒〜」にて高城順子がみりんを用いた梅酒のつくり方を放送したが、上記のとおり個人がみりんで梅酒を作るのは密造酒となり違法であるため、後日謝罪放送がされた。また、同番組のテキスト2007年6月号にもこれが掲載されていたが、これについても「おわびと訂正」が掲載された。 2012年6月24日及び6月30日(但し放送時間が25:30 - 26:00の為実際の暦日は翌7月1日)に放送された『アニメ女子 おうちカフェ部♪ #2』(AT-X)では、これと同様の理由に加えて、番組内でゲストに提供することが営利目的とみなされたため、後日内容修正版が放送された。 2015年7月3日に放送された『ちちんぷいぷい』(MBSテレビ)では、日本酒を使った梅酒のつくり方を紹介。上記の例外規定について認識せず、出来上がった梅酒を出演者に試飲させるシーンが生放送されたが、後日番組内で謝罪放送がなされた。 なお、1962年の法改正以前は、家庭で梅酒を作る事は酒税法違反行為であった。ただし現実には一般家庭において梅酒を作る事は普通に行われており、酒税法の改正は現実にそぐわない法律の改正という意味合いがあった。決め手となったのは1961年、当時の石橋内閣の下で広報参与を務めていた読売新聞出身の石田穣が、日本経済新聞紙上に梅酒に関連した随筆を寄稿した事から酒税法を巡る騒動が発生した事によるとされている。 日本以外では、中国でも類似のものが製造販売されている。
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