配電会社の設立(第1次統合)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 00:18 UTC 版)
「配電統制令」の記事における「配電会社の設立(第1次統合)」の解説
1941年9月6日、政府は各地域の事業者に対し配電会社の設立命令を発した。各地域の受命者は北海道4・東北13・関東11・中部11・北陸4・関西14・中国4・四国5・九州4で、複数の地域で受命した事業者もある(最大で4地区にまたがる)のでこれを整理すると受命者は全国60事業者となる。 同年9月20日に逓信大臣より公告された各配電会社の設立命令書から、以下に各地域の配電株式会社の商号とその配電区域、受命者の名称をそれぞれ記す。なお、受命者について「指定会社」とあるのは「配電株式会社と為る」ことを命ぜられた株式会社を、特記のないそれ以外は指定範囲の電気供給事業設備を出資すべきとされた事業者を指す。 北海道地区 商号 : 北海道配電株式会社 配電区域 : 北海道 受命者 : 北海道水力電気・大日本電力・室蘭電灯・札幌送電 東北地区 商号 : 東北配電株式会社 配電区域 : 新潟県・宮城県・福島県・岩手県・青森県・山形県・秋田県ただし当分の間は茨城県・栃木県における福島電灯の供給区域ならびに長野県下水内郡・上水内郡・下高井郡における中央電気の供給区域を配電区域に含め、反対に新潟県の一部は関東配電および中部配電の配電区域とする 受命者 : 奥羽電灯=指定会社、青森県(公営)・宮城県(公営)・仙台市(公営)・新潟電力・北越水力電気・東北電灯(※)・中央電気・大日本電力・山形電気・増田水力電気・福島電灯・会津電力※東北電灯については、1941年11月13日付で指定会社に変更。 関東地区 商号 : 関東配電株式会社 配電区域 : 東京府・神奈川県・埼玉県・群馬県・千葉県・茨城県・栃木県・山梨県ただし当分の間は新潟県・静岡県における東京電灯の供給区域および静岡県における富士電力の供給区域を配電区域に含め、反対に茨城県・栃木県の一部は東北配電の配電区域、群馬県の一部は中部配電の配電区域とする 受命者 : 東京電灯・富士電力・甲府電力・日立電力=以上指定会社、東京市(公営)・日本電力・東京横浜電鉄・王子電気軌道・大日本電力・京王電気軌道・京成電気軌道 中部地区 商号 : 中部配電株式会社 配電区域 : 静岡県・愛知県・三重県・岐阜県・長野県ただし当分の間は新潟県・群馬県における長野電気の供給区域を配電区域に含め、反対に静岡県の一部は関東配電の配電区域、長野県の一部は東北配電の配電区域、三重県・岐阜県の一部は関西配電の配電区域とする 受命者 : 中部合同電気・信州電気=以上指定会社、静岡市(公営)・伊那電気鉄道・揖斐川電気工業・日本電力・東邦電力・中央電力・中央電気・長野電気・矢作水力 北陸地区 商号 : 北陸配電株式会社 配電区域 : 福井県・石川県・富山県ただし当分の間は福井県の一部を関西配電の配電区域とする 受命者 : 北陸合同電気=以上指定会社、金沢市(公営)・日本電力・京都電灯 関西地区 商号 : 関西配電株式会社 配電区域 : 大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県ただし当分の間は三重県・岐阜県における宇治川電気の供給区域ならびに福井県大飯郡・遠敷郡・三方郡を配電区域に含め、反対に兵庫県の一部は中国配電の配電区域とする 受命者 : 南海水力電気・宇治川電気=以上指定会社、大阪市(公営)・神戸市(公営)・京都市(公営)・阪神電気鉄道・阪神急行電鉄・日本発送電(旧大同電力の配電事業が対象)・日本電力・東邦電力・南海鉄道・関西急行鉄道・京阪電気鉄道・京都電灯 中国地区 商号 : 中国配電株式会社 配電区域 : 広島県・鳥取県・島根県・岡山県・山口県ただし当分の間は兵庫県における山陽配電の供給区域および愛媛県における広島電気の供給区域を配電区域に含める 受命者 : 山口県(公営)・出雲電気・山陽配電・広島電気 四国地区 商号 : 四国配電株式会社 配電区域 : 徳島県・香川県・愛媛県・高知県ただし当分の間は愛媛県の一部を中国配電の配電区域とする 受命者 : 高知県(公営)・伊予鉄道電気・東邦電力・土佐電気・四国水力電気 九州地区 商号 : 九州配電株式会社 配電区域 : 熊本県・長崎県・福岡県・大分県・佐賀県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県 受命者 : 九州電気・九州水力電気=以上指定会社、日本水電・東邦電力 翌1942年(昭和17年)4月1日、9配電会社が一斉に設立され第1次統合が完了した。配電会社に統合された資産は約35億9200万円、承継された負債は約12億9000万円に達する。同日には日本発送電への発送電設備第2次出資も実施されており、日本発送電と配電会社の両方に出資した事業者も存在する。 60の配電会社設立命令受命者のうち公営事業者は11で、これを除くと49の電力会社が統合されたことになる。49社のうち指定会社となって消滅したものは13社で、これ以外にも電気供給事業設備を出資した会社の中から22社が出資と同時またはその後に解散している。解散しなかった会社は日本発送電、鉄道会社9社(鉄道兼営は11社だが王子電気軌道・伊予鉄道電気は解散)、化学メーカーの揖斐川電気工業と、証券保有会社に転身した3社(大日本電力・日本電力・土佐電気)のみであった。
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