第一次統合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 05:31 UTC 版)
太平洋戦争下における配電事業統合は、第一次統合として全国を9ブロックに分かち各地域内の主要事業者に対し各ブロック1社ずつ配電専門の特殊会社を設立させる、第二次統合として各特殊会社にブロック内に残る小事業者を吸収させブロックごとの配電事業の独占を完成させる、という2段階をもって執行された。このうち第一次統合については、配電統制に関する根拠法令である配電統制令が1941年(昭和16年)8月29日付で公布・施行された直後の9月6日付にて、逓信大臣より全国の主要事業者に対し配電統制令に基づく配電会社の設立命令が発令された。 9月20日付で公示された配電会社命令書によると、関西地方に関する部分では、大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山の6府県を配電区域とする「関西配電株式会社」の設立が発令され、その受命者は以下の14事業者からなった。 受命者名所在地払込資本金額電灯電力供給区域大阪市(公営)大阪市港区 - 大阪市の大部分 神戸市(公営)神戸市兵庫区 - 神戸市の大部分 京都市(公営)京都市中京区 - 京都市の一部と愛宕・葛野・宇治3郡 阪神電気鉄道(株)兵庫県尼崎市 6175万円 大阪市の一部と神戸市東部・兵庫県東部(主要都市:尼崎市・西宮市) 阪神急行電鉄(株)大阪府池田市 7000万円 大阪市の一部と大阪府北部・兵庫県東部・京都府下1か村(主要都市:池田市・豊中市・伊丹市) 日本発送電(株)東京市小石川区 - 旧大同電力の配電事業が対象関西では大阪府中南部(主要都市:堺市) 日本電力(株)大阪市北区 1億6845万円 (関西では電力供給区域のみ) 東邦電力(株)東京市麹町区 2億6000万円 関西では奈良県北部・京都府南部・滋賀県下1か村・和歌山県・兵庫県淡路島(主要都市:奈良市・和歌山市・洲本市) 南海鉄道(株)大阪市南区 6435万円 大阪府南部・和歌山県北部・奈良県下1か村(主要都市:岸和田市) 南海水力電気(株)和歌山県海南市 350万円 和歌山県中部(主要都市:海南市) 宇治川電気(株)大阪市北区 1億4625万円 滋賀県東部・奈良県中南部・和歌山県南部(主要都市:彦根市・新宮市) 関西急行鉄道(株)大阪府布施市 1億198万円 大阪府東部・奈良県北西部(主要都市:布施市) 京阪電気鉄道(株)大阪府北河内郡枚方町 7015万8000円 大阪市・京都市の各一部と大阪府北部・京都府南部(主要都市:吹田市) 京都電灯(株)京都市下京区 6320万円 関西では京都府・滋賀県西部・兵庫県北部(主要都市:京都市・福知山市・舞鶴市・大津市) 受命者のうち南海水力電気・宇治川電気の2社は「配電株式会社と為るべき株式会社」に指定され、その他12事業者はそれぞれ電気供給事業設備の出資を命ぜらた。なお後者の出資対象は指定の発電・送電・変電設備および配電区域内にある配電設備・需要者屋内設備・営業設備の一切からなる。出資命令に関しては複数ブロックにまたがる場合もあり、関西配電に加えて日本電力は関東配電・中部配電・北陸配電、東邦電力は中部配電・四国配電・九州配電、京都電灯は北陸配電の設立命令をそれぞれ受命し、各社への設備出資を命ぜられている。 配電会社の配電区域は原則として府県境をもって区画するとされていたが、やむを得ない場合は府県境によらない区画も例外的に認められ、配電会社立ち上げ後に整理するという方針が採られていた。関西配電の配電区域についても府県境によらない区画があり、三重県・岐阜県における宇治川電気区域と福井県大飯郡・遠敷郡・三方郡(京都電灯若狭支店管内に相当)は当分の間関西配電の配電区域に含め、反対に兵庫県内でも山陽配電区域については中国地方を管轄する中国配電の配電区域に含めるものとされた。 関西配電の設立登記がなされた1942年(昭和17年)4月1日付で、関西配電に対する受命者14事業者からの財産引継ぎも完了し、関西配電は成立をみた。
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