配電統制令の公布・施行
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「配電統制令」の記事における「配電統制令の公布・施行」の解説
第2次電力国家管理のうち日本発送電の体制強化については、1941年4月25日の電力管理法施行令改正という形で実施に移された。これに基づき日本発送電への設備出資命令が全国の主要事業者に対し発令され、同年10月1日付と翌1942年(昭和17年)4月1日付の2度に分けて設備出資が実施された。 配電統制についてはまず、1941年上旬、逓信省により「配電事業統合要綱」が決定された。その中では配電事業統制によって「高度国防国家」建設に応ずるための合理的・計画的な電力配給ならびに透徹な料金政策の実行などを目指すことが掲げられた。また配電特殊会社への統合の手順は、まず主要配電事業者の統合によって地区ごとに配電会社を新設し(第一次統合)、続いてそれらの配電会社に地区内の残存事業者を統合する(第二次統合)、というものであった。要綱の策定に続き、逓信省では各事業者の代表を招致して統合方針を伝達するとともに、統制令の制定作業を急いだ。 ところが4月の要綱決定後も東京市・大阪市をはじめとする公営電気事業者が配電統制への反対運動を継続した。これらの自治体は公営電気事業の利益を失うことで財政が悪化するとして反対していたことから、政府は財政措置により解決を図った。具体的には、配電統制に伴う収入(配電会社から支払われる株式配当・利子・税金)が統合前における事業利益の95パーセントに満たない場合、差額を公納金として統合後最長10年にわたり配電会社から(その分の法人税を軽減するため実態としては政府から)交付するというものであった。また同様の政治的配慮から、供給事業を兼営していた鉄道事業者に対しても配電統制に伴う収入が統合前における供給事業利益の90パーセントに満たない場合にその差額を交付金として最長5年間交付することとなった。 1941年7月30日、「配電統制令に関する勅令要綱」が第16回国家総動員審議会に諮問第56号として提出され、翌31日より審議が始まった。8月1日には前田利定を委員長とする計15名からなる特別委員会にて議論が続けられ、2日になって配電会社の配当の政府保証、配電統制で生じる地方財政への対策、監督官庁官吏の天下り防止条項の追加、の3点からなる希望条項が付されて総動員審議会にて原案通り可決に至った。以後勅令作成の手続きが進められ、法制局の審査を経て8月26日閣議に提出。29日天皇の裁可があり、1941年8月30日、勅令第832号として配電統制令は配電統制令施行規則(逓信司法省令第1号)とともに公布、即日施行された。
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